ブレトンウッズの未来
IMF News, July 16, 2019
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- Published: July 16, 2019
はじめに
- スピーチの主旨:国際通貨基金(IMF)が変化に適応できる機関としての役割を維持・強化し、今後の75年を見据えて行動する必要性を説く。
- スピーチの場:ブレトンウッズ75周年会議(パリ、フランス銀行)。
- 強調点:
- IMFは設立以来、変化に適応してきた機関であること。
- 多国間主義とルールに基づく環境で経済と金融の安定性を追求する意志の重要性。
過去 75 年間
- 歴史的背景と教訓:
- 戦間期の保護主義、金本位制の機能不全、通貨切り下げ競争が多国間主義と国際秩序の崩壊を招き、世界恐慌や戦争を助長した。
- ブレトンウッズ創設者は、経済発展と世界金融の安定が平和にとって必要条件と判断。
- 成果の列挙:
- 1945年と比較して、1人あたりの世界GDPは5倍。
- 10億を超える人々が貧困を脱した。
- 世界貿易の恩恵が何十億人にも及ぶ。
- IMFの適応事例:
- 固定為替相場制から変動相場制への移行。
- ラテンアメリカ債務危機への対応。
- 共産主義から移行する東側諸国の支援。
- 国境を越えた資本流入の急増(「21世紀型危機」)への対応。
経済活動の大きな変化
- 加盟国とガバナンス:
- IMF加盟国は創設時の44か国から現在189か国へ拡大。
- ガバナンスにクォータ制が組み込まれており、急速に成長する加盟国の重要性に応じた調整が可能である点を評価。
- しかし、IMFの数式が変化のペースに完全に追いついていないという認識。
- 世界経済の力配分の変化に関する見通しと数値:
- 世界GDPに占める割合で、現在50%を超える先進国の割合が25年後までに約3分の1へと減少すると予測される。
- 人口動態と資本の含意:
- 若年人口が多い国々では投資資金が必要に。高齢化が進む先進国では貯蓄の取り崩しが進む可能性。
- 世界全体がそれほど遠くない未来に高齢化の問題に直面する可能性が高い。
- IMFの基本的役割の重要性:
- 世界各国を一堂に集める役割、信頼される助言者、金融の消防士としての機能がこれまで以上に重要となる。
新しいテクノロジーへの適応
- 技術進歩の二面性:
- 生産性上昇と世界の所得向上の大きなチャンス。
- 同時に構造的変化により一部の雇用は消失し、新たな雇用が創出される。
- フィンテックと金融包摂:
- フィンテックは金融業界の効率性と透明性を高め、発展途上国で銀行サービスを利用できない17億人に金融サービスを届けうる潜在力を持つ。
- モバイルバンキングの影響例として、アフリカでは今後数十年、人口増加に合わせるだけでも毎年2,000万の雇用を生み出す必要があると指摘。
- IMFと世界銀行が協力して「バリ・フィンテック・アジェンダ」を策定。
- 中央銀行デジタル通貨とステーブル・コイン:
- 中央銀行デジタル通貨の誕生可能性、民間が裏付けを行う「ステーブル・コイン」の出現に注目(例としてフェイスブックのリブラに触れる)。
- 利点:使いやすく、コストが低く、世界中に届く。
- 指摘されたリスク:
- 新たな独占の発生と個人データの収益化。
- 弱い通貨への影響、ドル化の拡大の可能性。
- 不正活動の機会増加。
- 金融安定性への脅威。
- 企業による貨幣発行と巨額利益の獲得(貨幣発行は従来中央銀行の役割)。
- 対応:規制当局とIMFによるリスク最小化のための取り組みと助言が必要。
- IMFの役割:
- テクノロジー恩恵を享受させつつリスクを最小化する環境作り。
- 加盟国が試練に直面した際に支えられる備えを維持。
世界的な繁栄への脅威に立ち向かう
- 信頼と社会的調和の崩壊:
- 先進国で顕著な高まる怒り、政治的二極化、大衆迎合主義。
- ブレトンウッズの逆の瞬間となりうるリスク。
- 格差と統合の課題:
- 1980年以後、世界中で貧困率は下がっている一方で、世界人口の上位0.1%が下位50%とほぼ同じだけの経済的利益を得ている。
- 多くの発展途上国で先進国水準への収斂が停滞。IMFの予測では、低所得国が先進国並みの生活水準を実現するためには半世紀ほどかかるとした。
- 世界の統合が揺らげば収斂はさらに遅れる可能性。
- 政策的対応(財政・税制・規制など):
- 格差対策に財政施策を活用すること。
- IMFは加盟国を支援するために社会支出の枠組みを策定。
- 将来の支出に必要な歳入を確保しつつ公平性を保つことが不可欠。
- 世界的な企業税制では抜け穴を塞ぎ、利益移転を防ぎ、底辺への競争を避ける必要。
- 不正な資金流れや資金洗浄と戦うことが重要(汚職が社会的信頼を侵食するため)。
- サービス分野とeコマースを含めた国際貿易制度の近代化により貿易摩擦を緩和する必要性。
- 人的資源の活用:
- 女性のエンパワーメントの推進:ブレトンウッズ当時と対照的に進展はあるが、国々の約9割で女性の経済参加に対する障壁が残る。
- 気候変動対策:
- 気候変動は時代最大の課題のひとつ。行動を起こさない場合の経済的結果は悲惨。
- IMFは加盟国に対し気候変動の緩和と適応を促進し、エネルギー補助金や炭素価格に関する助言、自然災害への耐性強化支援を行う。
終わりに(提言と精神)
- 行動呼びかけ:
- 希望は捨てないが、待つことはできない。今こそ手を携えて行動する必要がある。
- IMF創設者の思いに忠実であり続けながら、安定性、繁栄、平和の目標を追求すること。
- 結語:聴衆への謝辞と未来志向の決意。
出典:国際通貨基金(IMF)ウェブページ「ブレトンウッズの未来」