IMFの低所得国向け支援

2016年6月22日

低所得国の経済状況の変化、及びこれらの国々の脆弱性が世界経済危機の結果増大したことを受け、IMFは2009年に低所得国向け支援を強化しました。なかでも、短期的かつ緊急な支援のニーズに一段と直接応えることができるよう、融資制度を刷新しました。2015年、IMFの最貧国への支援は、こうした国々の譲許的資金へのアクセスが拡大されたことから増大しました。また、より長期的に年間約18億ドルの譲許的融資を支援する戦略を採用しました。その資金の一部は金売却利益の配分に関連した拠出によって賄われています。

成功の兆し

これまでに、多くの低所得国(LIC)がマクロ経済の安定に向け大きく前進してきました。しかし1990年代に入り、低所得国の大半が長引く経済問題に直面しました。この結果、多くの場合、債務救済や債務帳消しを伴う抜本的で長期的な政策変化が求められました。現在では、これらの国の多くは、より開放的となり世界経済にこれまで以上に融合されています。多くのLICは、国際的資本市場に加わるようになり、また海外投資を呼び寄せ、自国の民間金融部門を育てています。

融資制度の見直し

金融支援が、より柔軟で低所得国の多様性に合わせたものになるよう、2010年にIMFは3つの譲許性の高い融資手段を有する貧困削減・成長トラストを設立しました。

拡大クレジット・ファシリティ (ECF)。国際収支上の問題が長期化した場合、中期~長期的に持続的に関与します。

スタンドバイ・クレジット・ファシリティ (SCF)。 国内あるいは国外に起因するショックもしくは政策のズレなどによる、実際のあるいは潜在的な短期の国際収支上の問題や調整ニーズを抱える低所得国に融資を行います。リスクや不確実性が上昇した際には予防ベースで利用することもできます。

ラピッド・クレジット・ファシリティ (RCF)。 緊急の国際収支上のニーズに直面している低所得国に対し、一括払いで迅速な金融支援をコンディショナリティを課すことなく行います。また、国際収支上のニーズが繰り返し発生する場合あるいは、これが継続している場合は、期間内で融資を繰り返し実行することをオファーします。

上記の制度は全て、LIC諸国の多様なニーズに見合った融資を譲許的条件で行います。また、LIC諸国は、譲許的融資制度でのIMFに対する金利の支払いを2016年末まで全て特別に免除されています。 RCF融資の金利は、脆弱な状況にあるあるいは自然災害に見舞われたPRGT適格国への支援を一段と強化する目的で、恒久的にゼロに設定されています。

政策支援およびシグナルを送信するために、各国は政策支援インストルメント(PSI)の下で、非金融支援を要請することができます。PSIは

  • 承認時にマクロ経済状況が概ね安定していることから、IMFの金融支援を必要としない低所得国を支援します
  • 今後資金ニーズが生じた場合、SCFへのアクセスを促進します

より多くの資金

世界金融危機の間・そしてその後に、低所得国の資金調達ニーズが増加しました。これに応えIMFの譲許的融資コミットメントは大幅に増え、2009年~2014年で合計110億ドルに達しました。

2012年9月、理事会はより長期にわたりPRGTを維持可能にするための戦略の一環として、金売却利益によるIMFの一般準備の一部を配分することを承認 しました。この戦略は幅広い需要シナリオに耐えうると予想されており、3つの柱からなっています。すなわち(1)年間12.5億SDR(約18億ドル)の融資基本枠、(2)長期にわたり平均の融資ニーズがベース枠を実質的に上回り続けた場合発動できる不慮の事態に備えた措置、(3)低所得国向けファシリティの全ての修正は、PRGTの財政自立と整合的であるべきという期待です。

2015年2月、IMFは大災害後債務救済 ( PCDR) 基金(これによりIMFは、最も壊滅的な自然災害に見舞われた極めて貧しい国々に対する、債務救済の国際的な取り組みに加わることができるようになりました)、を修正し 大災害抑制・救済基金(CCR) を設置しました。この新しい基金によりIMFは、貧しい国々が自然災害の甚大な被害を受けた際に国際的な債務救済努力に加わることができるようになるとともに、伝染病の拡大など公衆衛生上の大きな危機に直面した貧しい国々に、債務の支払いから救済するためのグラントを提供することで、支援をすることができるようになりました。エボラ出血熱の被害を受けた国々(ギニア、リベリア、シエラレオネ)は、同基金からの支援を要請、その額は2015年2月~3月で約1億米ドルに達しています。

2015年7月、IMFは幾つかの新規イニシアティブを導入しました。そのマンデート(責務及び権限)内で、新たな「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現に乗り出す加盟国を支援するためです。こうしたなか、IMFは低所得国向けの金融セーフティネットを一段と強化、全譲許的制度へのアクセスを50%拡大しました。これに加え、譲許的資金の使用についてはより貧しくより脆弱な国々に一段とターゲットが絞られる一方で、より良い状況にある国への金融支援の組み合わせの内容は、譲許的資金から非譲許的資金へと再調整されることになるでしょう。最後に、IMFの譲許的融資活動を支えるため、約150億ドル(110億SDR)の追加的な融資財源を確保するための取り組みが現在、進められています。