IMF クォータ

2016年7月2日

IMFの融資財源は、加盟国が振り込むクォータ(出資割当額)が中心となっています。各加盟国には、総じてそれぞれの世界経済での相対的な地位を基に、クォータが割り当てられます。各国のクォータが、IMFへの各国の資金上のコミットメントの上限及びその議決権を定めるとともに、IMF融資へのアクセスに影響します。

IMFに加盟する際、経済的規模及び特質が総じて同じと思われる、加盟済みの国々のクォータ と同じ範囲内で、最初のクォータが割り当てられます。IMFでは、加盟国の相対的地位を評価する際の助けとして、クォータ計算式を活用します。

現行のクォータ計算式 は、GDP(比重50%)、開放度(同30%)、経済変数(同15%)、及び外貨準備高(同5%)の加重平均を採用しています。GDPは、市場為替レート(比重60%)を基にしたGDPと、購買力平価(PPP)為替レート(同40%)をベースとしたGDPの、混合的なGDPを使い計測されます。またクォータの計算式には、計算されたクォータのシェアの加盟国間でのギャップを減らすための「圧縮因子」も含まれています。

クォータは、IMFの会計単位である特別引出権(SDRs) 建てとなっています。IMFの最大の加盟国は米国で、現在のクォータ(2016年1月25日現在)は421億SDR(約580億ドル)となっており、一方最小の加盟国はツバルで、現在のクォータは180万SDR(約250万ドル)となっています。

2016年1月26日に、第14次クォータ一般見直しで合意されたクォータ増額を実施するための条件が整いました。結果、IMF加盟189カ国のクォータの合計は、2,385億SDR(約3,290億米ドル)から増え4,770億SDR(約6,590億米ドル)となります。

クォータのIMFでの役割

クォータは、IMFと加盟国の資金面と組織上の関係を決めます。

クォータ出資額 加盟国により振り込まれるクォータは、加盟国がIMFに提供する資金の上限を決定します。 IMFに加盟する際には、出資金を全額支払わなければなりません。その場合、最大25%までをSDR若しくは広く受け入れられている通貨(米ドル、ユーロ、円、またはスターリング・ポンドなど)を利用して支払わなければならず、残りは加盟国自身の通貨で支払われます。

議決権。 クォータは加盟国のIMFの意思決定の際の議決権を決める主要素です。各加盟国は、投票権として基礎票に加えクォータ・10万SDRにつき1票が与えられます。2008年の改革では、基礎票の総投票権に占める割合を5.502%に固定しました。現在の基礎票数は2008年改革の施行以前から約3倍増となっています。

融資へのアクセス。 加盟国へのIMFによる融資の額(利用限度)は、クォータをベースとしています。例えば、スタンドバイ取極や拡大取極 の下では、加盟国は最高で年間ではクォータの145%、累計で435%の融資を受けることができます。しかし、特別な場合には、アクセスが高く設定されることもあります。

クォータの見直し

IMFの総務会 は、定期的に(通常5年毎に)クォータの一般見直しを行います。クォータの変更は、総議決権の85%という大多数に承認されなければならず、また加盟国のクォータは、当該国の同意無しには変更することはできません。クォータの一般見直しでは、増額の規模および加盟国間での増加分の割り振りが主な対処事項となります。第一に、クォータの一般見直しにより、加盟国の国際収支上の融資ニーズ、及びそのようなニーズを充足させるIMFの能力という二つの観点から、IMFはクォータの妥当性を評価することができます。次に、一般見直しにより、加盟国のクォータが、加盟国の世界経済における相対的地位の変化を反映するよう、増額を行うことができます。一般見直し以外の特別増資は頻繁には行われませんが、直近の例として、2008年の改革のなかで承認された54カ国を対象としたクォータの増資が挙げられます。

クォータ一般見直し

クォータ見直し

決議採択

クォータ総増資( %

第一回5年毎の見直し

増資提案なし

---

第二回5年毎の見直し

増資提案なし

---

1958/59 1

1959年2月・4月

60.7

第三回5年毎の見直し

増資提案なし

---

第四回5年毎の見直し

1965年3月

30.7

第五回一般見直し

1970年2月

35.4

第六回一般見直し

1976年3月

33.6

第七回一般見直し

1978年12月

50.9

第八回一般見直し

1983年3月

47.5

第九回一般見直し

1990年6月

50.0

第十回一般見直し

増資提案なし

---

第十一回一般見直し

1998年1月

45.0

第十二回一般見直し

増資提案なし

---

第十三回一般見直し

増資提案なし

---

第十四回一般見直し

2010年12月

100.0

 1 同見直しは、5年サイクルとは別途行われた。

クォータの倍増及びクォータ・シェアの大規模な再調整

2010年12月15日、IMFの最高意思決定機関である総務会は、IMFのクォータ及びガバナンスの大規模な改革パッケージを含む第14次クォータ一般見直しを終了しました。2016年1月26日に有効となったこの改革パッケージにより、総クォータ額が100%増え、クォータのシェアが大規模に再調整されます。これにより、IMF加盟国の世界経済での相対的地位の変化をより良く反映することができます。

これらの改革パッケージは、2011年3月3日に発効した2008年の前改革に基づいたものです。54カ国に対しクォータの特別増資を実施することで、新興市場国を中心としたダイナミックな国々の代表権を強化しました。また、基礎票を3倍増とすることで、低所得国のボイス(発言権)と参加の向上も目指しています。

2008年改革に基づく第14次クォータ一般見直しでは、以下が実施されることになります。

  • クォータを約2,385億SDRから約4,770億SDRへと倍増 (現為替レートで約6,590億米ドル)。

  • クォータのシェアを、過大に評価されていた国々から過小に評価されていた国々へ6%以上移行させる。

  • ダイナミックな新興市場及び途上国(EMDC)へ、クォータ・シェアを6%以上移行させる。

  • クォータのシェアの再調整を大々的に行う。中国がIMFにおいて第3位の地位を占めることになり、EMDCのうち四カ国(ブラジル、中国、インド、ロシア)がIMFの10大出資国入りを果たすことになる。

  • 最も貧しい加盟国のクォータと議決権を維持する。最貧国とは、低所得国を対象とした貧困削減・成長トラスト(PRGT)の適格国で、一人当たりの国民所得が、(国際開発協会:IDAが定める適格国基準である)2008年の1,135ドルを下回る国、或いは小国の場合はその倍の額を下回る国を指す。

現行のクォータ計算式の抜本的な見直しは、2013年1月に理事会が総務会に報告書を提出し終了しました。この見直しの結果は、理事会が第15次クォータ見直しの一環として、新たなクォータ計算式に概ね合意するための基盤となります。第15次見直しは、2010年の改革が実現していないことから、遅れています。