日本とIMF—力を合わせ、包摂的かつ持続的な経済成長を促進
IMF News, November 7, 2017
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- Published: November 7, 2017
I. はじめに(要旨)
- 日本とIMFのパートナーシップは過去65年間にわたり育まれてきた。
- 日本はIMFの分析、政策助言、融資の提供、加盟国のガバナンス強化支援に一貫して関与してきた。
- 包摂性と経済の安定が協力関係の中心的優先事項である。
II. アジア太平洋地域の将来(見通しと課題)
- 世界経済成長の見通し:
- 今年の世界経済成長見込み: 3.6%
- 来年の世界経済成長見込み: 3.7%
- 過去10年において、アジアの発展が世界の経済成長の3分の2を担ってきた。
- 地域的課題(長期的に重要):
- 人口動態
- 生産性
- 人口に関する区分けと対応:
- 若年人口が多く人口増加中の国(例: インド、インドネシア)は人口ボーナスを活かす機会がある。
- 高齢化が進む国(例: 中国、日本、韓国)は高齢化の経済的影響を緩和する施策が必要。
- 生産性向上にはさらなる余地がある。
III. 第一線を走る日本(経験と政策イノベーション)
- 日本の政策的強みと事例:
- 科学技術イノベーション(人工知能、ビッグデータ、ロボット工学、バイオテクノロジー)を通じた「第4次産業革命」の推進。
- 2020年の東京オリンピックでの先端技術展示の期待(例: 大規模ホログラム、空飛ぶ車の開発)。
- 女性の労働参加促進:
- 過去5年間で、女性の労働者の数は160万人増加。
- さらなる施策例: 保育の利用容易化、長い労働時間の削減、「同一労働同一賃金」の推進。
- 女性のエンパワーメントは潜在成長率の押し上げと包摂性向上に資すると強調。
- 不平等の現状(数値例):
- アジアの億万長者637人が保有する資産総額は33%近く増え、2兆ドル規模に達した(UBS/PwC報告)。
- 比較として、13億人の人口を抱えるインドのGDPにほぼ相当する規模である。
- 政策含意:
- 成長の恩恵を広げることが、成長をより力強く、持続的、強靭にする。
- 税制と支出政策の改革(低所得世帯向け条件付所得移転、保健医療や質の高い教育への投資等)が重要。
IV. 一層の国際協力を促進(IMFと日本の協力)
- IMFの能力開発と実績(事例と資金):
- カンボジア中央銀行との協力による金融制度の近代化支援。
- 歳入確保の効率化支援。
- 経済学のオンラインコースを無償提供し、3万人近い受講者。
- 過去30年間で、日本はIMFの能力開発活動のために、およそ6億ドルを拠出し、これらの資金は130か国で利用された。
- IMFのグローバル活動と日本の貢献:
- IMFの加盟国数: 189か国。
- 東京のIMFアジア太平洋地域事務所は設立20周年を迎えた(設立以来の日本の支援に感謝)。
- 国際的課題への協働:
- 持続可能な開発目標、国際課税、金融犯罪対策、気候変動対策などで協力。
- 気候影響の試算例: 年間平均気温が25℃の国で気温が1℃上昇すると、1人あたりのGDPが1.5%近く減少する可能性(バングラデシュ、ハイチ、ガボン等の例)。
- 国際金融のセーフティネット強化:
- 2009年に日本はIMFの融資プログラムに1,000億ドルの拠出を確約。
- 地域レベルの金融取極との関わりを深め、折り重なった国際的セーフティネットが切れ目なく機能するようにする取り組みを日本と共に進めている。
- 人的交流と知見の共有:
- 過去10年間だけでも、150人ほどの日本人エコノミストがIMFで勤務。
- IMFと日本の「以心伝心」の関係が職員交流を通じて築かれている。
V. 終わりに(価値と呼びかけ)
- 日本の道徳規範「和を以て貴しとなす」を引用し、協力と信頼の重要性を強調。
- 共同の努力によって「調和のある経済」、すなわち全ての人々が恩恵を享受できる経済の実現に貢献できるというメッセージで締めくくる。
出典: 国際通貨基金 専務理事 クリスティーヌ・ラガルド 基調講演(2017年11月7日)