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日本-IMFアジア奨学金プログラム・ニューズレター
Pre-Graduation Ceremony at The University of Tokyo
2014年7月25日
vol 6. 2014年 9月
当ニューズレターはJISPA創設20周年を記念する2013-14学年度、年4回にわたり、JISPAの最新イベント、同窓生や現在の奨学生に関する特集記事をお届けします。JISPAは日本の大学院で経済学や公共政策関連分野の研究を望む、アジア太平洋地域諸国の経済関連省庁の幹部候補生に奨学金を供与しています。
最新号JISPAニューズレター第6号となる今号は、2014年6月から8月までのJISPAの活動をご報告する中で、2014年6月23日に行われた修士論文発表会を特集します。また、今号は現役奨学生の代表としてフィリピン中央銀行のテイタム・ブレイズ・タン氏にご登場いただきます。
JISPA ニュース
JISPA セミナー
JISPA修士論文発表会と卒業レセプション:2014年6月23日 には、昨年に続き、OAP主催第2回JISPA 修士論文発表会が開かれ、JISPAプログラムを修了する奨学生の代表が学業の成果を発表しました。発表された論文のテーマは、マクロ経済政策や金融・財政政策から貧困問題まで多岐にわたりました。各論文の発表の後に、発表者とは別の提携大学に在籍する1名の奨学生が討論者として、続いて、教授陣やOAPエコノミストがコメントを述べました(プログラムは こちら)。
昨年の発表会と同様、発表者は非常に熱心に論文発表を行い、討論者やコメンテーター、また他の奨学生からの質問・コメント対して真摯に対応していました。活発な議論を通し、実践的な政策の持つ意味合いや分析などについてさらに洞察を深めることができました。
修士論文発表会に対する奨学生のコメント: 私にとってはJISPA 奨学生でいること自体が光栄ですのに、その上2013年6月18日の初回、2014年6月23日の第2回と開かれた「IMF-OAP主催JISPA修士論文発表会」に続けて参加できて非常に幸運だと思っています。JISPA 奨学生に自身の輝かしい成果を発表する場だけでなく、お互いから多くのことを学ぶ場も与えていただきまして、このような新しい取組を進めたIMF-OAPの皆様に心から感謝します。JISPAの奨学生プログラムには、さまざまな背景、異なる出身母体、多様な経験とスキルを有する奨学生が集っていますが、このような機会を通し、さらにその資質が高められ知見が強化されます。この修士論文発表会は、JISPA 奨学生の代表による研究成果の発表後、傾聴すべき価値あるコメントや討論者・参加者からの提案が続きました。大変良く計画され、組織されているといえます。時間の制約がある中で、さまざまな経済問題が発表、討議され、アイデアが引き出されました。私の個人的見解ですが、このように成功している会が、将来もさらにさまざまな経済分野から多くのテーマやふさわしい問題を取り上げ、継続されることを希望いたします。
(シュレスチャー・アニル氏、 2012年-2014年、国際大学、ネパール国家計画委員会事務局)
修士論文発表会に続き、卒業レセプションが開かれ、奨学生の学業が無事修了したことを祝いました。 続く
現在、留学中のJISPA奨学生
Tatum Blaise Tan氏はフィリピン中央銀行(Bangko Sentral ng Pilipinas:BSP)から出向し、現在2013年-2015 学年度のJISPA奨学生として東京大学に留学中です。
Tatum氏は、日本で出会った多くの多彩な友人たちと日本を探訪する(色々な場所を訪れ、レストランを開拓して食べ歩く)のがお気に入りです。
続く


修了式と受賞者: 国際大学(6月26日)、東京大学(7月25日)、一橋大学(7月31日)で修了式が挙行されました。JISPA奨学生の1人、ネパール国家計画委員会事務局のシュレスチャー・アニル氏は国際大学国際関係学研究科修了生の中で最優秀の成績を修め、総代として謝辞を述べました。もう1人のJISPA奨学生、中国人民銀行のShaowei Cheng氏は、一橋大学アジア公共政策プログラムから最優秀論文賞を受賞するとともに、クラス成績優秀賞を受賞しました。
私はフィリピン中央銀行で、母国のために優れた公共サービスを提供し、自行の貴重な人材でありたいとずっと努力しています。そのためには、常に自分の職業上の技術を改善し、スキルを磨く必要があります。IMFフィリピン駐在代表事務所で研究員助手としての在籍期間が終了した後、私にはまだまだ学ぶべきことが多いと気づきました。その頃、JISPA のことも知りました。IMF駐在代表事務所での経験から熟練したエコノミストになるという自分の目標は強固なものになり、さらに高度な学術的訓練を自らに課す必要があると感じるようになりました。JISPA はそんな私が海外で修士学位を取得する上で完璧な機会を提供してくれました。海外での教育は、全く新しく異なる視点から自国の問題を分析することができ、そのため自分の分析力や技術的なスキルを共に高めてくれると信じています。
来日前は、異国で暮らすことに意気込みと興奮を覚える中、実のところ、居心地の良い場所や友人たちから離れることに少々心細い思いもありました。日本でも同じような仲間ができるかどうか不安を感じていました。でも、異国で暮らしたいと思いながら、皮肉なことにどうも内心では、同じような、なじみのある環境を望んでいる自分の甘さも分かっていました。結局のところ、現実は期待を上回り希望さえも上回る、ずっと素晴らしいものでした。日本に到着して以来、友人がどんどん増えるおかげで、その分つき合いも増え忙しくなっています(学校が常に最優先なのはもちろんです)。私は見知らぬ人と友人になる術を学びました。このおかげで、私は以前より自分に自信を持ち、礼儀正しく社交的な人間になることができたと確信しています。このように、本当のところ、私を幸せにしてくれたのは、その時だけの特別な出来事ではなく、日本での全ての経験とそれによって私に起きた前向きな変化だったのです。日本では、ただただ、見たい場所、食べたい食物、やりたいこと、そして会いたい人々が多過ぎます!私にとって、日本での日々は、毎日が驚きと発見の連続です。
ここで高めた知見を自分の職務の改善のために活用したいと思います。研究や統計の業務でもっと学術的な成果を生むだけでなく、国の資金循環(FOF) 報告書の分析手法をより深め、さらに発展させたいです。同様に重要なことは、フィリピン中央銀行の同僚たちと自分が得た技術的スキルを分かち合うことです。さらに、自分の職務に深く関わる研究に着手し、最終的には研究論文の形にしたいと思います。できれば、研究成果が将来銀行の公表する定期的な統計の結果に反映され、採用されてほしいです。