IMFの融資制度
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- Published: January 26, 2023
概要
- 国際通貨基金(IMF)は、開発銀行のように特定のプロジェクトに対する融資は行わない。危機に直面する国に対して融資を行い、その国が経済の安定と成長の回復に向けて政策を実施する上で、財政の余裕を確保することを目的とする。
- IMFは危機を防ぐための予防的融資も提供する。融資制度は加盟国のニーズの変化に応じて継続的に改良されている。
- 低所得国への融資はゼロ金利で行われている。
- 新設の強靭性・持続可能性トラスト(RST)は低所得国と脆弱な中所得国を対象とし、外的ショックに対する強靭性を育むための低金利の長期融資である。
危機の原因(IMFの分類)
- 国内要因の例:
- 不適切な財政政策や金融政策 → 大幅な経常赤字や財政赤字、多額の公的債務が生じる可能性。
- 為替レートが不適当な水準に設定される → 競争力の喪失、外貨準備高の損失の恐れ。
- 脆弱な金融システム → 景気の急加熱や急後退。
- 政情不安や脆弱な社会制度。
- 国外要因の例:
- 自然災害、一次産品価格の大幅な変動。
- 市場心理の急変による資本フローの乱高下。
- 他国の経済危機や政策の波及。
- 特殊事例:
- 新型コロナウイルスの大流行(パンデミック)は外的ショックの例であり、IMFは異例の融資支援で対応した。
- 危機の現れ方の例:
- 必要な輸入や対外債務返済不能 → 国際収支上の問題。
- 流動性不足や債務超過の金融機関 → 金融危機。
- 過剰な財政赤字や債務 → 財政危機。
- 危機の結果として、成長の減速、失業率の上昇、所得の低下、不確実性の拡大、深刻な不況、場合によっては公的債務の不履行や再編が生じ得る。
IMF融資が果たす役割と効果
- 目的:
- 国家が秩序ある政策調整を実施する余裕を確保し、経済の安定と持続可能な成長の地盤を固めることを目指す。
- 機能:
- 価格急落や深刻な資本流出など各国の事情に応じた支援を行う。
- 政策コンディショナリティ(条件付け)は、適切な政策が実施されている合図となり、民間投資家の呼び戻しを促す。
- 最も脆弱な人々を政策条件で保護することを目的とする。
- 低所得国向け融資は他のドナーや開発パートナーからの支援の呼び水となることを意図している。
- 柔軟性:
- 健全な政策に取り組む約束を順守している国は、コンディショナリティ無し、または限定的なコンディショナリティのもとで資金にアクセスできる可能性がある。
- 緊急融資ツールは差し迫った即時のニーズに対応して迅速化される場合がある。
- リスク回避効果:
- IMFの時宜を得た融資がなければ、調整プロセスがより急で困難になり、政府支出や輸入、経済活動が厳しく圧迫される恐れがある。
IMF融資のプロセス
- 概要の手順:
- 1. 金融支援を必要としている加盟国がIMFに要請する。
- 2. 当該国の政府とIMF職員が経済や財政の状況と資本ニーズについて協議する。
- 3. 通常、IMFが融資する前に、当該国の政府とIMFが経済政策プログラムについて合意する。政策コンディショナリティ(政府による一定の政策措置を遂行する約束)は、ほとんどの場合IMF融資の不可欠な要素である。
- 4. 合意に達すると、政策プログラムが「レター・オブ・インテント(趣意書)」の形でIMFの理事会に提出され、「覚書」に詳細が記される。IMF職員はIMF理事会に対して対象国の政策意図を支持し、融資を提供するよう勧告する。IMFの緊急融資メカニズムではこのプロセスが迅速化されることがある。
- 5. IMF理事会によって融資が承認されると、IMFは融資条件の政策措置が加盟国で実施されているか状況を監視する。対象国の経済と財政が健全な状態に回復すれば、IMF資金は確実に返済され、他の加盟国がその資金を利用できるようになる。
- 緊急融資ツール:
- 緊急融資ツール(例: 迅速融資ツール)は審査と事後条件がない場合があるが、場合によっては事前条件がある。
主な制度と特徴(IMFの分類に基づく)
- 一般的な注記:
- IMF加盟国は一般資金勘定を非譲許的な条件(市場ベースの金利)で利用する資格を持つ。
- 貧困削減・成長トラスト(PRGT)による譲許的融資(現在、ゼロ金利)は低所得国向けである。
- 強靭性・持続可能性トラスト(RST)は低金利の長期融資で、気候変動やパンデミックに対する準備など長期的課題の解決に資する。
- 個別制度(目的/制度/資金源/期間/コンディショナリティ):
- 顕在化した、見込まれる、または潜在的な国際収支上のニーズ:
- スタンドバイ取極(SBA)/一般資金勘定/3年以下しかし通常12~18か月/事後条件、必要に応じて事前条件
- スタンドバイ与信制度(SCF)/貧困削減・成長トラスト/1~3年/(コンディショナリティ欄空欄)
- 長期化する国際収支上のニーズ/中期的な支援:
- 中期融資制度(EFF)/一般資金勘定/4年以下/事後条件、構造改革に重点を置く 必要に応じて事前条件
- 中期与信制度(ECF)/貧困削減・成長トラスト/3~4年、5年まで延長可/(コンディショナリティ欄空欄)
- 緊急を要する国際収支上のニーズ/緊急金融支援:
- 迅速融資ツール(RFI)/一般資金勘定/一括買入れ/審査と事後条件はないが、場合によっては事前条件がある
- 迅速与信制度(RCF)/貧困削減・成長トラスト/一括支払い/(コンディショナリティ欄空欄)
- 極めて堅固なファンダメンタルズと政策を有する国向け:
- 柔軟与信枠(FCL)/一般資金勘定/1~2年/事前条件(資格基準)と、2年間の取極の場合は年次審査
- 資本収支圧力から生じる大規模でない短期ニーズ(極めて強固なファンダメンタルズと政策):
- 短期流動性枠(SLL)/一般資金勘定/承認期間は12か月、後継のSLLも可能/事前条件(資格基準)
- 顕在化した、見込まれる、または潜在的な国際収支上のニーズ(健全なファンダメンタルズと政策):
- 予防的流動性枠(PLL)/一般資金勘定/6か月(流動性枠)、1年、または2年/事前条件(資格基準)と事後条件
- 見込まれる国際収支上の長期ニーズ、または政策によって生じる国際収支上のニーズ:
- 強靭性・持続可能性制度(RSF)/強靭性・持続可能性トラスト(RST)/最低18か月、並行するUCT級プログラムを超えてはならない/事後条件、並行するIMFUCT級プログラムが必要
- 非金融/シグナルインストルメント:
- スタッフ監視プログラム1(SMP)(IMF理事会が関与する監視プログラム(PMB)も含む)/該当なし/6~18か月、より長期も可/事後条件、必要に応じて事前条件
- 政策調整ツール(PCI):
- 制度: NA/期間: 6か月~4年/事後条件、必要に応じて事前条件
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