Debt relief IMF

国際通貨基金(IMF)と世界銀行は、貧困国が制御不能な債務負担に陥ることがないよう、1996年に重債務貧困国(HIPC)に対するイニシアティブを立ち上げました。2005年には、国連の持続可能な開発目標に向けた進展を加速させるため、多国間債務救済イニシアティブが追加されました。HIPCイニシアティブのプロセスを完了する国はこれにより、IMF、世界銀行およびアフリカ開発基金から適格債務の全額免除を受けることができるようになります。2007年には、 米州開発銀行が西半球の5か国のHIPCに対し追加の債務免除(「HIPCを超えて」)を実施しました。

 

各国がHIPCイニシアティブに参加するには

HIPCイニシアティブに参加するには、各国が一定の基準を満たし、貧困削減のための政策変更に同意し、それを実績で示す必要があります。各国が HIPCイニシアティブによる支援の検討対象となるためには、 以下が必要です。

  • 世界で最も貧しい国々に無利子融資と贈与(無償資金)を提供する世界銀行の借り入れ、および低所得国に譲許的レートで融資を提供するIMFの貧困削減・成長トラストの借り入れ適格国である。
  • 従来の債務救済の仕組みでは対処することができない持続不可能な債務負担を抱えている。
  • IMFと世界銀行の支援プログラムによる改革の実績と健全な政策を有する。
  • 幅広い参加プロセスを通して貧困削減戦略(PRSP)を策定する。

IMFおよび世界銀行の理事会が債務を救済する国の適格性を正式に決定し、持続可能と考えられる水準に債務を削減することを国際社会が約束します。この段階を決定時点といいます。決定時点に到達した国は、即座に暫定的な債務救済を得ることができます。各国がHIPCイニシアティブのもとで完全な債務削減を受けるためには、以下が必要です。

  1. IMFおよび世界銀行の融資による支援プログラムのもとで良好な成果を挙げ、実績を伸ばす。

  2. 決定時点で同意した主要な改革を実施し、成功させる。

  3. PRSPを採択し、 少なくとも1年は実施する。

以上の基準を満たした国は、完了時点に到達します。各国はこれにより、決定時点で約束された完全な債務免除を受けることができます。HIPCイニシアティブの支援に適格と決定されたか、またはその可能性のある39 か国のうち、36 か国はそれぞれ完了時点に達し、IMF その他の債権者から完全債務免除を受けているところです。

債務救済は貧しい国と人々にどのように役立つか

債務救済を受けている36か国で支払われた債務費用は、2001~2015年の間にGDPの約1.5パーセントポイント減少しました。最近では、低所得国の公的債務の増加に伴い、債務返済の負担額が再び上昇し始めていますが、2017年時点におけるHIPCイニシアティブ 導入前の水準よりまだ1パーセントポイント低い状態を維持しています。

How does debt relief help poor countries?

 

HIPCイニシアティブの財源

IMF 

IMFが分担している費用は、二国間の寄付による資金提供、およびIMFの財源を原資としています。IMFの財源は主に、1999年の市場外の金売却から得た売上代金がIMFのPRGT・HIPCトラストに預けられたものの投資運用収入です。

トラストの財源は、IMF への債務返済の遅滞が長期化している残り2か国(ソマリアおよびスーダン)の債務救済に充てるには不十分でした。この2か国は債務救済の最初の条件は満たしており、決定時点に達していましたが、イニシアティブの当初の資金計画にはIMF に対し返済の遅滞が長期化している国の債務救済費用は含まれていませんでした。

2019年12月と2021年5月、IMF理事会はソマリアとスーダンの債務救済に必要な財源を手当てするための資金計画をそれぞれ承認しました。エリトリアもHIPC イニシアティブによる債務救済の適格国ですが、IMF に対する金銭債務はありません。

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HIPCイニシアティブが次に目指すのは

HIPCイニシアティブの困難な課題のひとつは、適格国がすべての債権者から完全な債務免除を確実に受けられるようにすることです。貧困国の最大の債権者である、世界銀行アフリカ開発銀行、 IMF、米州開発銀行、そしてすべてのパリクラブ加盟国は、HIPCイニシアティブのもとで、またそれを超えて、それぞれが分担する債務救済を完全に提供してきました。しかし、他の債権者はそのような取り組みをしていません。

HIPCイニシアティブへの債権者の参加は任意であるため、IMFと世界銀行は、債権者がHIPCイニシアティブの債務救済に参加し、その負担を共有するよう、引き続き働きかけていきます。

HIPCイニシアティブの支援を受ける資格のある国、適格と決定されたかその可能性がある国、 支援を受けることを希望している国
(2023年1月現在)


完了時点に達した国(36か国)
アフガニスタン ガンビア ニカラグア
ベナン ガーナ ニジェール
ボリビア ギニア ルワンダ
ブルキナファソ ギニアビサウ サントメ・プリンシペ
ブルンジ ガイアナ セネガル
カメルーン ハイチ シエラレオネ
中央アフリカ共和国 ホンジュラス タンザニア
チャド リベリア トーゴ
コモロ マダガスカル ウガンダ
コンゴ共和国 マラウイ ザンビア
コンゴ民主共和国 マリ
コートジボワール モーリタニア
エチオピア モザンビーク
     



暫定国
(決定時点から完了時点までの間) (2か国)
ソマリア スーダン

 




決定時点より前の国(1か国)
エリトリア
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更新は 2023年2月でした