IMFの財源

2016年6月23日

IMFの融資財源の大半は、主に加盟国が払い込むクォータ(出資割当額)を原資としています。また、借り入れにより一時的にクォータ資金を補うこともできます。世界経済危機の際はこれが重要な役割を果たし、例外的な金融支援を求める加盟国のニーズにIMFは応えることができました。低所得国向けの譲許的融資及び債務救済は、別途、拠出ベースの信託基金により賄われています。

クォータ制度

IMFの各加盟国にはクォータが割り当てられます。クォータは、各国の世界経済における相対的規模を概ね反映したもので、IMFの融資財源への拠出の最高限度額を定めています。IMFに加盟する際、各国は通常定められたクォータの4分の1までは、広く受け入れられている外貨(米ドル、ユーロ、円、スターリング・ポンドなど)或いは特別引出権(SDR)で払い込みを行ないます。残りの4分の3は自国通貨で払い込みます。

クォータは、少なくとも5年に一度見直しを行ないます。2010年に第14次クォータ一般見直しが終了し、IMF加盟国はIMFのクォータ財源をそれまでの2倍の4,770億SDRにすべきという点で合意しました。2016年1月に14次見直しの下でのクォータの増額が実施されました。

金の保有

IMFは、9,050万トロイオンス(2,814.1メトリックトン)の金を保有しており、世界最大規模の公的な金の保有者となっています。 しかし、IMF協定によりこの金の使用は厳しく制限されています。加盟国の総 借入取極 があります。例えば、大規模な金融危機が発生するなど、クォータ資金が加盟国のニーズを満たすことができないと判断された場合、IMFはこれらの借入取極を発動することができます。

2011年、NABは、新興市場国複数国を含む14参加者が新たに加わり380億SDRから3,700億SDRまで拡大されました。拡大されたNABは、これまで最長6カ月間・全額で10回発動されています。最後に発動された日は2016年10月1日でした。

2010年12月の第14次クォータ一般見直しでIMFのクォータ財源を倍増するという合意の枠組みのなか、これに伴いNABを縮小させるべきだという点で意見が一致しました。この結果、IMFの融資財源の構成がNABからクォータへとシフトすることになります。2016年2月の第14次見直しのもとでのクォータ増額の払い込みの後、NABは3,700億SDRから1,820億SDRまで縮小されました。また最後に発動されたNABは2016年2月25日で終了しました。

世界危機の初期から、IMFはクォータ資金を補強するために、加盟国との融資やノート・パーチェス・アグリーメント(債券購入契約)を複数結んできました。最初の加盟国からの借り入れは、2009~2010年に行われました。2013年4月1日以降、2009~2010年の加盟国からの借り入れ資金の利用は中止されています。

2012年、ユーロ圏で経済・金融状況が悪化するなか、複数国がIMFの財源を二者間の借入取極を通して強化することにコミットしました。2016年3月10日時点で、2,790億SDRにのぼる34の合意が有効になっています。2012年の二者間借入取極は、はじめは2年間を期限とし、1年間・2回新たに延長することができるとしました。同合意は、2014年に1年間、そして世界経済で脆弱性が依然残っていることを考慮し、2015年に新たに1年間延長となりました。こうした資金は、IMFのクォータ及びNAB資金に次ぐ第2の防波堤の役割を果たします。

IMF の譲許的融資及び債務救済

IMFは現在、低所得国に対し、貧困削減・成長トラスト (PRGT)の下での低金利融資、ならびに重債務貧困国(HIPC)イニシアティブ、及び 大災害抑制・救済(CCR)基金の下での債務救済という、2種類の金融支援を主に行っています。これらの財源は、クォータではなく、加盟国とIMFの拠出により賄われています。

2009年7月、IMFの理事会は譲許的融資制度の大々的な改革 を承認しました。これには、全ての低所得国を対象とした譲許的融資について、これらの国々の危機への対応を支援すべく一時的に利払いをゼロとすることも含まれました(その後、期間は2016年末まで延長されています)。これらの改革に加え、IMFは2009年から2014年の期間に、追加的な108億SDR(約148億ドル)の新たな融資コミットメント、及び15億SDR(2008年末の現在価値ベースで約23億ドル)の新たな補助金財源を動員することで、譲許的融資能力の増強に努めました。

2012年9月IMFは、PRGTの自立性を確保し、譲許的融資により長期的に年平均12.5億SDR(約20億ドル)規模の支援を行うことを支える戦略を採択 しました。また、この戦略維持に必要な財源をPRGTに提供するため、理事会は金の売却に伴う想定外の利益から17億5,000万SDR(約24億ドル)をIMFの一般準備金から一部配分する2度目の配分を承認しました。この配分には、準備金の配分に占める加盟国のシェア、またはその他の新たな拠出という形で、少なくとも15億7,500万SDR(少なくとも配分の90%相当)を加盟国がPRGTの補助金財源として拠出する十分な確約が得られた場合のみ有効とするとの条件がありました。この確約は、151の加盟国が配分の92.43%に相当する拠出を約束したことで、2013年10月に取り付けられました。 現在までに、合計156カ国が拠出額の95%にコミットしており、136カ国が自らの分の払い込みをすませました(総拠出額の86.5%にあたります)。

PRGT-HIPC信託基金は、HIPCイニシアティブ の下での債務救済とPRGT融資の補助のために設立されました。この信託基金は、93の加盟国によるグラント(贈与)及びコミットされた預入金、そしてIMFの拠出から構成されています。IMFの拠出の大半は、1999年から2000年に行なわれた金の市場外取引を原資としています。

2006年に設立されたマルチ債務救済イニシアティブ(MDRI)は、二つの信託基金(MDRI-I及びMDRI-II)の資金を用いています。内訳は、IMFの特別支払勘定(SDA)からの15億SDR 、そしてPRGTから移転された二者間資金11.2億SDRです。MDRI-I信託基金は、一人当たりの国民所得が年間380ドル以下(2004年の国民総所得を基準)の国々(HIPC及び非HIPC)に対し、債務救済を行いました。MDRI-II 信託基金は、一人当たりの国民所得が年間380ドル以上のHIPCに対する債務救済を行いました。MDRI救済を受けることのできる債務が残っていなかったため、2015年にこの二つのMDRI信託基金は清算され、残った資金の多くが、CCRTに移転されました(以下参照)。

大災害後債務救済基金(PCDR) は、大災害後の債務救済を行うために2010年6月に設立されました。この基金はIMFの自己資金2億8,000万SDR(約3億8,400万ドル)を原資としていました。2015年、IMFはPCDR基金を拡大し大災害抑制・救済基金(CCR)を設立しました。これは、複数国をまたぎ人命や経済活動、国際交易を脅かす国際的な公衆衛生面の大きな問題を抱える加盟国に特別な債務救済を行うためのものです。この新たな基金から、今日までに、エボラ出血熱拡大により大きな被害を受けた国々に対し合計約1億ドルの債務救済のための資金が捻出されました。PCDR基金に残っていた資金(1億200万SDR)を活用するとともにMDRI-I基金(1,300万SDR)の清算などに加え、CCRが十分な資金を確保できるよう二者間の拠出を求めています。こうしたなか、MDRI-II基金(二者間資金)に残っていた資金の大半(3,900万SDR)がCCRTに移転となりました。IMFは、1億5,000万ドル相当の追加的二者間の拠出も求めています。そのうち、約8,900万ドルが公約され5,300万ドルが支払われています。