アベノミクスを再充電するには
IMF News, August 3, 2016
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- Published: August 3, 2016
概要と現状認識
- IMFの対日4条協議は、日本が20年にわたる緩やかなデフレと低い成長から脱却するためには「大規模な政策のアップグレード」が必要と指摘している。
- 現在の勢いの減退とデフレリスクの再高まり。円の2015年からの相当な上昇、世界貿易の減速により輸出が急減。コモディティー価格下落の追い風は波及しなかった。
- 政策の不確実性と株式市場のボラティリティが企業・消費者心理と需要を悪化。人口の減少かつ高齢化が成長と投資を抑える要因。
重要な見通しと数値
- 2016年の成長率は0.3%、2017年は0.1%。
- 総合インフレ率は2016年の0.2%から、2017年は0.4%へ上昇。
- 2016年6月時点の失業率は3.1%。
- ベース賃金の2016年の上昇率は0.4%。
- アベノミクスの目標:消費者物価インフレ率2%、実質成長率2%、2020年までの基礎的財政収支の均衡—現行政策では達成困難。
- 2016年の財政赤字額はGDPの約5%。
- 日銀のバランスシートは先進国中で最も肥大化したグループに入る。政策金利はマイナス。
解決策の焦点 ― 3 主要分野
- 所得政策を再充填し
- 最低賃金を既に決定されている3%上昇に加え、企業に賃金上げを促す対策を推奨。
- 具体策例:企業ガバナンスで用いられる「順守するか説明せよ」メカニズムと同様の賃上げルールの導入、税制上のインセンティブ拡大(最終的には罰則導入も視野)、行政的に管理された賃金と物価の引上げの整合化。
- 労働市場改革
- 所得政策の効果発現には大規模な労働市場改革と持続的な財政・金融による需要下支えが並行的に必要。
- 目標:正規社員と賃金の低い臨時雇用社員に二分された市場の解消、新規雇用で雇用保障と賃金上昇のバランスを取る雇用契約の促進。
- 「同じ仕事には同じ報酬を」プログラムの加速。
- 障害除去策:税・社会保障システム改革、育児施設の増設、外国人労働者受入促進。
- 継続的な需要下支えは、賃金から物価への転嫁と構造改革によるデフレ圧力回避に不可欠。
- 財政政策への新たな注目
- 長期的財政持続可能性の達成が課題。
- 当局は消費税の段階的ながら着実な引上げをできる限り早期に開始することを勧告。
- 社会保障支出の伸びを抑制する明確な支出規則の制定が必要。
- 例示的手段:より独立的なマクロ財政予想による財政制度の強化、より現実的なマクロ経済想定に基づく予算想定の確保。
日本の5つの優先課題(箇条化)
- より野心的な構造改革を実行すること。特に労働市場分野で二重性を縮小し、女性、高齢者、専門性を持つ外国人労働者の参加を奨励すること。
- 賃金・物価のダイナミクスを拡大するポリシーミックスにより、強力な所得政策を加えること。これは継続的かつバランスの取れた財政・金融政策によって実現されるべきである。
- 事前に公表された着実な消費税引上げの行程を伴った信頼される財政健全化計画にコミットすること。加えて、課税ベースの拡大、社会保障制度改革、財政枠組み強化が必要。
- 金融政策の有効性と信頼性を向上すること。より明確な対話とフォワードガイダンスのより有効的な活用でインフレ期待を引き上げることが必要。
- 金融安定性をセーフガードすること。銀行収益や国債市場流動性のモニタリング強化、さらなる規制改革を通じた地方銀行の耐性向上を含む。
IMF カントリー フォーカス「アベノミクスを再充填するには」、2016年8月3日