IMF世界経済見通し

世界経済見通し 2020年10月

2020年10月

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総括

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今年に入ってから、新型コロナウイルスによ って 100 万人以上の命が失われており、犠牲 者の数は増え続けている。深刻な症状に見 舞われた人はもっと多い。9,000 万人近くの人 が今年中に極度の貧困に陥ると予測されて いる。

今は試練の時だが、希望が持てる理由も いくつかある。検査の数が増え、治療法の改 善も見られ、そしてワクチンの治験もかつてな い速さで進められている。中には、すでに試 験の最終段階に達しているものもある。いくつ かの面で国際的な連帯も強化されている。例 えば、医療機器に係る貿易制限の撤回から、 脆弱国に対する資金支援の拡大だ。さらに、 最近のデータからは、「大封鎖」後の経済再 開を経て多くの国で景気回復が予想よりも速 いペースで始まってきていることも見て取れる

私たちは、2020 年の景気後退が 6 月の予 測に比べて若干緩やかになるものの、依然深 刻であると予測している。この修正は、主要先 進国における第 2 四半期の GDP 実績値が予 測されたほどのマイナスとはならなかったこと、 中国における成長回復が予想以上に強力で あったこと、そして第 3 四半期に景気回復が 加速する兆候が見られることに由来している。 財政や通貨、規制の面で大規模かつ迅速で 過去に例を見ない対応がとられていなければ、 実績値はもっと低いものとなっただろう。そうし た対応によって家計の可処分所得が維持さ れ、企業のキャッシュフローが守られ、信用供 給が下支えされた。こうした行動が合わさって、 これまでのところ 2008-09 年に見られた金融 崩壊の再来は避けられている

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第一章の要旨

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世界経済は4月の「大封鎖」の最中に沈み込んだ深みから回復しつつある。しかし新型コロナウイルス感染症のパンデミックが続くなか、多くの国が経済再開を遅らせ、一部の国では国民を感染から守るために再び部分的封鎖を実施する動きもある。中国の回復は予想を上回る速さで進んできたものの、世界経済がパンデミック以前の活動水準に戻るまでの長い登り道には、まだ幾度かの後退もありそうだ。

世界の成長見通しとリスク

短期見通し 世界経済の2020年の成長率はマイナス4.4%になると予想される。20206月の「世界経済見通し(WEO)改訂見通し」で示された予想ほど深刻な収縮ではない。この修正は主に、第2四半期のGDPが予想を上回る結果になったことと、第3四半期により力強い回復の指標が見られる点を反映している。前者については、主に先進国で5月と6月にロックダウン(都市封鎖)が緩和された後、経済活動が予想よりも早く回復しはじめた。世界経済は2021年には5.2%の成長が見込まれる。2020年の景気後退が予想より緩やかになりそうなこと、そして社会的距離の確保が続くと予想されることを反映し、20206月のWEO改訂見通しより若干低くなっている。世界経済の2020年の収縮と2021年の回復によって、2021年の世界GDP2019年を0.6%とわずかに上回る水準になると予想される。成長予想は先進国と新興市場国の両方において、大幅なマイナスのGDPギャップが存在すること、また今年から2021年にかけて失業率が高水準にとどまることを示唆している。

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世界経済見通し(WEO)による最新の成長率予測

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