デジタルな未来

金融の イノベーション
から包摂へ

ジョン・フロスト
レオナルド・ガンバコルタ
ヒュン・ソン・シン



誰もがテクノロジーの恩恵を享受するには、公共財が民間のイノベーションを支援しなくてはならない。

デジタル技術は金融業界に変革をもたらし、決済や貯蓄、融資、投資サービスの提供方法、またサービス提供者のあり方を変えつつある。フィンテック企および「ビッグ・テック」と呼ばれる大手ハイテク企業は、今や市場の様々な分野において、銀行や従来型の金融機関と競合している。一方、デジタル通貨は、金融の核心であるお金そのものを変えることになるのは疑いの余地がない。

データ経済の優れた
未来を実現するために

ヤン・キャリエール＝スワロー
ヴィクラム・ハクサル



私たちのデジタルフットプリントは莫大な価値を生むが、その大半が大手テック企業によってサイロ化されている。

人間がこれほどまでに網羅的な記録の対象になったことはかつてない。スマートウォッチが私たちの心拍数をリアルタイムで測り、遠くにある人工知能（AI）がそれをもとに心臓病のリスクを評価している。BluetoothやGPSは、私たちの誰がグルメ食品店で買い物をし、お菓子売り場で立ち止まるのかを追跡している。ソーシャルメディア上で私たちが押す「いいね」や閲覧に費やしている時間は、私たちの信用リスクを予測するために収集されている。



世界に広がるサイバー攻撃の脅威

ティム・マウラー
アーサー・ネルソン




増大するサイバー攻撃の脅威から金融システムを守るためには、国際社会の協調が不可欠だ。

重大なサイバー攻撃が金融安定性リスクをもたらすとの見立ては自明だ。サイバー攻撃は、発生するか否かという問題ではなく、いつ発生するかという問題なのだ。

経済学者の声

グローバリゼーション
研究の先駆者

グローバリゼーションの可能性と危険性をいち早く指摘したテルアビブ大学のエコノミスト、アサフ・ラジン氏の横顔をIMFのプラカシュ・ラウンガニが紹介している。