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写真:Gopixa/iStock by Getty Images

IMF サーベイ・マガジン : 域内の研修指導者が集い、アジア太平洋諸国の優先課題を議論

2016年2月9日

  • 研修担当代表の定期会議、IMFの地域のコースの適切性の維持を目的に開催
  • 域内の課題の変化を背景に、経済・金融の専門知識が重要に
  • 研修所を通し、各国間のベストプラクティスの共有が可能に

日開かれた研修と能力開発に関する会議で参加者は、強固な制度と優れた公務員を擁する国は、一段と効果的かつ強力な政策を策定することができるという指摘に耳を傾けた。これは経済発展と安定性、そして最終的にはより持続可能な成長に寄与する。

シンガポールの摩天楼:政府関係者向けのIMFの研修は、世界経済の変化に遅れることなく変わり続けている(写真: Marc Dozier/Corbis)

シンガポールの摩天楼:政府関係者向けのIMFの研修は、世界経済の変化に遅れることなく変わり続けている(写真: Marc Dozier/Corbis)

IMF 能力開発

しかし、能力開発は一夜にして成功するものではない。制度と能力の構築が成功するには、長期にわたる持続的なコミットメントが不可欠である。

2月1日~2日、シンガポール政府との共催で開催された第4回IMFシンガポール研修所(STI)研修担当局長会議には、アジア太平洋地域33カ国の中央銀行や財務省で研修の責任者を務める高官が参加した。同地域のIMF加盟国に提供される研修の質と適切性を維持するための取り組みの一環で、この会議は3年ごとに開かれる。

シンガポール外務省技術協力局のHeng Aik Yeow氏(Director-General)は「この研修担当局長会議は、研修機関の全ての責任者が、能力構築に関する課題について意見を交換するとともに、どのようにしたらアジア太平洋地域でSTIが経済と金融の専門的コースへの需要により良く応えることができるかを見直す有益な場である」と述べた。

複雑さを増す世界環境

STIは、IMF加盟37カ国を支援するアジア太平洋地域の主要な地域研修センターである。1988年に設立されたSTIは、これらの国のスタッフに対しマクロ経済政策及び金融部門政策の策定と実施に関する研修を行い、より持続可能な成長に向け一段と強固な制度の構築に取り組む同地域を支えてきた。

同会議では、研修責任者によるパネルディスカッションやIMFスタッフによるプレゼンテーション、さらにSTIドナーによる考察などが取り上げられた。

討論の対象は、各国のIMFの能力開発の経験、加盟国向けIMF新規研修カリキュラム、さらには技術支援と研修の最善の調整手法や研修や技術支援活動の影響の正確な測定という課題など幅広いものだった。

ベトナム国家銀行国際協力局のHa Hai An氏(Deputy Director General)は、STI研修の「重要かつ根本的な」性質に言及した。同氏は、研修後のスタッフは自らが得た知識を同僚と共有し、研修が組織にもたらす価値を最大限に生かそうとしていると指摘した。

会議を通し、参加者は地域の研修ニーズの変化に遅れないようにすることが重要だと強調した。たとえば世界金融危機の後、同地域の国々は一連の金融規制及び監督の改革という課題に直面したが、これには全く新しいスキルが必要だった。このことから同地域における研修プログラムは、外部環境の変化を十分反映している必要があるが、これは時に困難である。

パプアニューギニア銀行の人事局のNaomi Kedea氏(Director)は、「従来の考え方を捨てるべきではないが、新たな情勢に通じている必要がある」と述べた。

ドナーの認識

この会議には、STIに資金を拠出している国の代表者も参加した。能力構築に対するドナーの考えに関するセッションでは、シンガポール外務省、シンガポール通貨監督庁、日本の財務省、及びオーストラリアの高等弁務団の高官が、それぞれの考察を共有した。

財務省国際機構課の亀田勉係長は、日本の能力開発へのアプローチは具体的な実地体験を支持するものだと述べた。他のドナー代表は、IMFの研修と技術支援の評価システムについて「成果重視の管理」システムへのシフトを評価した。

また参加者は、オンライン学習といった技術の進歩を活用しそれぞれの研修プログラムにこれを取り入れるための最善の手法について議論した。IMFは世界中の誰もが参加できるオンラインのコースを無料で提供している。

多様な地域

アジア太平洋地域は、開発と人口面で多様な国々を擁している。香港特別行政区や韓国といった高所得国・地域、マレーシアやタイといった新興市場国・地域、さらにはカンボジアやネパールといった低所得国も含まれている。また、中国やインドといった人口が10億人を超える世界の人口大国の隣には、人口が2万5,000人に満たないパラオやツバルといった小国がある。 STIは、こうした国々全ての政策課題を考慮しなければならない。

さらに同地域では、経済環境が不透明であることからも、研修などを通した能力構築の継続が必要である。アジアは耐性を備え政策枠組みは概ね健全だが、最近の世界的なボラティリティは、政策のトレードオフが急速に悪化する可能性があることを示している。こうした新たな課題により、マクロ経済や金融の脆弱性の評価に関する専門知識が重要になっている。

シンガポール通貨監督庁のLeong Sing Chiong氏(Assistant Managing Director)は「政策形成はより複雑さを増し多面的になっている。このことから、政策担当者にはこうした現在の複雑な世界環境に対応するうえで必要なスキルと知識、判断力が求められている」と述べた。「したがって、この地域における能力開発は重要なのだ」