2019年対日4条協議の記者会見:クリスタリナ・ゲオルギエバIMF専務理事による冒頭挨拶
IMF News, November 26, 2019
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- Published: November 26, 2019
来日の目的と背景
- 主な目的は例年行っている対日4条協議への参加。
- 10月に起きた台風19号による被害を受け、日本の気候変動対策と国土強靭化の取組を直接学ぶ機会があった。
- 日本は多国間主義の旗手であり、IMFの加盟国能力開発における主要な支援国である。
マクロ経済見通し(短期・中期)
- 2019年の日本の実質経済成長率(現行政策下のIMF予測)は0.8%。
- 2020年の実質GDP成長率は0.5%と予測(外需の軟調と輸出関連投資の減退が要因)。
- IMFは日本の成長率は潜在成長率の予測値である0.5%前後で推移すると予測。
- 消費者物価上昇率は日銀の物価目標である2%に向けて緩やかに上昇するものの、依然2%には届かないと予測。
- 直近の景気は堅調、消費税引き上げ(10月)は政府の景気対策により円滑に実施されている指標がある。
主要な下振れリスク
- 世界的な景気減速が予想以上に進むリスクおよび不確実性の高まり。
- 内需の短期的な持続力の軟化。
- 長引く金融緩和策を背景とする金融安定性リスクの高まり。
- 気候変動や自然災害に対する脆弱性。
アベノミクスの評価と課題
- アベノミクス7年間の成果:
- 経済成長率は3年にわたり潜在成長率を上回っている。
- 一人当たりGDP成長率は他の先進諸国と比べて高い。
- 可処分所得の不平等性は抑えられている。
- デフレリスクは沈静化し、財政赤字は減少傾向。
- 失業率はきわめて低く、多くの女性が労働市場に参加している。
- 残る課題:
- インフレ率は日銀目標を依然大幅に下回る。
- 公的債務は持続的な軌道にはまだ乗っていない。
- 家計所得は停滞している。
政策提言(財政・金融・構造改革の統合)
- 総論:
- 財政、金融、構造改革政策の抜本的見直しと協調が必要。各政策要素が互いに強化し合うパッケージとして実施すべき。
- 財政政策:
- 短期的には成長確保とインフレの勢いを促す役割を果たすべき。
- 長期的には財政の持続可能性に明確に取り組むことが不可欠。
- 財政の持続可能性に対処することは、経済成長とインフレの促進にも寄与し得る。
- 金融政策:
- 日銀の緩和スタンスは引き続きリフレーションと成長を支える必要がある。
- 金融安定性リスク上昇を抑えるため、金融業界の監視を強化すること。
- 構造改革(アベノミクス第3の矢の再活性化):
- 労働市場改革が最優先。労働生産性向上と需要刺激による賃金・物価への波及効果を高めることに注力。
- 女性の労働参加増加を踏まえ、研修やキャリアアップの機会をより提供する必要がある。
- コーポレートガバナンス改革の深化、貿易自由化の促進、および日本の生産性を解き放つ施策の推進。
長期シナリオと改革の効果
- 今後40年は人口動態の悪化を背景に日本の実質GDPは低下すると見込まれる。
- IMFの分析では、大胆かつ協調的な改革プログラムを導入すれば、実質GDPの低下分の最大15%を相殺できると示されている。
その他の指摘
- 日本は他の先進国に比べて人口動態の変化を先取りしており、世界の注目を集めている。
- IMFスタッフは日本の人口動態変化に伴う経済課題の分析をまとめ、来年刊行予定の書籍に収録する準備をしている(概要は会場で配布済み)。
出典: 2019年対日4条協議の記者会見:クリスタリナ・ゲオルギエバIMF専務理事による冒頭挨拶