IMF理事会、2023年の対日4条協議を終了
IMF News, March 31, 2023
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- Published: March 31, 2023
概要
- IMF理事会は対日4条協議を終了した(プレスリリース No. 23/100、2023年3月30日)。
- 日本経済は外需の減速が重しとなる一方、国内需要に牽引され回復を続けている。
- 実質GDPは2022年に1.1%増加したが、依然として2019年の水準(年間ベース)を下回っている。
- 物価の総合指数上昇率は、4月以降は前年同月比で2%を上回っている。
- 2022年の経常収支黒字は、一次産品輸入額の急増により対GDP比2.1%に縮小した。
- 銀行部門は自己資本比率と流動性比率が規制要件を上回り強靭性を維持しているが、金利リスクと信用リスクが高まっている。
経済見通し・予測(短期~中期)
- 短期見通し:ペントアップ需要、サプライチェーンの改善、国境再開、政策支援により短期的に回復が続く見通し。
- 成長率予測:
- 実質GDP成長率は、民間消費と企業設備投資に牽引され、2023年には1.3%に加速すると見込まれる。
- 2024年の実質GDP成長率予測は1.0%。
- 需給ギャップは2023年の早い時期に解消する見込み。
- 輸出は供給制約の緩和と訪日観光客の回帰に伴い増加見込み。
- 物価上昇率は短期的に上振れし、その後再び鈍化すると見込まれる。
- 財政:
- 基礎的財政赤字は、2022年10月の財政政策パッケージの導入を受け、2023年においても引き続き高水準。
- 経常収支黒字は、一次産品価格の下落と訪日観光客の増加により、2023年には平均で対GDP比2.9%に回復すると予測。
主な下振れ・上振れリスク
- 下振れリスク(挙げられているもの):
- 地経学的分断と地政学的緊張の高まり
- 世界経済の急減速
- 一次産品価格の乱高下
- 自然災害
- サイバー攻撃の脅威
- 現行金融政策枠組みの何らかの突然の変更に伴うリスク
- 上振れリスク:
- サービスを中心に消費がこれまで以上に力強く回復すること
- 訪日観光客の予想以上の回復
- 物価上昇率については双方向のリスクがあるが、短期的には上振れリスクの方が大きい。
理事会の評価と政策助言
- 短期政策の重点:
- 2%の物価目標の持続的な達成
- 金融安定の維持
- 中期政策の重点:
- 財政の脆弱性を低減させること
- より動的でデジタル化されたグリーンで包摂的な経済への移行
- 財政政策に関する助言:
- 成長に配慮した財政健全化の必要性。基礎的財政赤字を減らし公的債務対GDP比を明確な下降軌道に乗せるための信頼性のある中期財政枠組みによる裏打ちが必要。
- パンデミック関連の財政支援策を適時に縮小すべきであること。
- 財政健全化には、脆弱な世帯へのより的を絞った財政支援など、歳入と歳出双方の措置を含むべきこと。
- 金融政策に関する助言:
- 2%の物価目標を持続的に達成するために緩和的な金融政策スタンスを維持することが概ね適切。
- 多くの理事は、物価上昇率の双方向リスクに留意しつつ、YCC(イールドカーブ・コントロール)の枠組みにさらなる柔軟性を持たせるための選択肢を検討することを奨励。
- 一方で、金融緩和の時期尚早な解除を避ける必要性を強調し、現行の金融政策枠組みの維持が適切である点で当局と一致。
- 金融政策の変更には、移行の円滑化と金融安定保護のために十分なコミュニケーションが必要。
- 為替介入は無秩序な市場環境を含めた特殊な状況下に限定されるべきであり、為替レートがショックを吸収する主要なものとして機能すべきである。
- 金融安定に関する助言:
- 金利リスクと信用リスクの上昇を注意深く監視する必要がある。
- 金融脆弱性が顕在化した場合、マクロプルーデンス政策の適切な実施を検討することを推奨。
- 構造政策に関する助言:
- 構造政策は所得の伸びを押し上げ、スタートアップを支援し、デジタル化を進め、気候目標達成に資する。
- 労働市場政策は、より多くの女性と高齢者の労働力参加を促し、労働市場の二重構造を解消し、移動性を高めるものでなければならない。
- デジタル庁に対し、公共部門のデジタル化に向けた政策を調整・実施することを奨励。
- 炭素価格の引き上げは、日本の成長に配慮した形での気候関連目標の達成に資する可能性があり、その際には最も脆弱な人々を保護するための措置や高排出産業から低排出産業への秩序ある移行を可能にする措置を伴うべきである。
主要統計(抜粋:表1からの数値)
- 実質GDP(%変化)
- 2019: -0.4
- 2020: -4.3
- 2021: 2.1
- 2022: 1.1
- 2023(予測): 1.3
- 2024(予測): 1.0
- 民間投資(項目別の一部)
- 民間設備投資総額(過去数年の一部):0.2、-5.4、0.8、2.5、2.0(表内の年次対応は表参照)
- 企業投資:-0.7、-4.9、1.9、3.1、2.4(表内の年次対応は表参照)
- 物価(年平均、%変化)
- 消費者物価指数(CPI)総合指数:-0.2、2.7、2.2(表内の年次対応は表参照)
- GDPデフレーター:0.6、0.9、0.3、3.8、2.6(表内の年次対応は表参照)
- 財政(対GDP比)
- 歳入:34.2、35.5、36.6、36.2、35.7、35.4(年次対応は表参照)
- 歳出:37.3、44.6、42.8、44.0、42.1、39.4(年次対応は表参照)
- 財政収支:-3.0、-9.1、-6.2、-7.8、-6.4、-4.0(年次対応は表参照)
- 基礎的財政収支:-2.4、-8.4、-5.6、-7.5、-3.8(表内の年次対応は表参照)
- 公的債務総額:236.4、258.7、255.4、261.3、258.2、256.3(年次対応は表参照)
- 国際収支・貿易(10億米ドル)
- 経常収支:176.3、147.9、197.3、90.0、131.8、180.3(表内の年次対応は表参照)
- 貿易収支:26.6、15.6、-117.8、-83.0、-25.6、-2.8(表内の年次対応は表参照)
- 財輸出(FOB):695.0、630.6、748.6、751.2、779.3、814.6(表内の年次対応は表参照)
- 財輸入(FOB):693.6、604.0、732.9、869.1、862.3、840.2(表内の年次対応は表参照)
- エネルギー輸入:131.9、89.1、127.8、194.0、162.3(表内の年次対応は表参照)
- 為替相場等
- 円・ドル:109.0、106.8、109.8、131.5(表内の年次対応は表参照)
- 実質実効為替相場(ULCベース、2010=100):75.2、75.3、73.0、62.0(表内の年次対応は表参照)
- 人口動態指標
- 人口増加率:-0.3(表内の年次対応は表参照)
- 老年人口指数:47.6、48.3、48.7、48.9、49.3、49.8(表内の年次対応は表参照)
出所:プレスリリース No. 23/100、IMF理事会(2023年3月30日)