エネルギーの安全保障を求めて
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- エネルギーの安全保障を求めて
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- Authors: Marjorie Henriquez
- Published: October 28, 2022
概要
- ブルッキングスのエネルギー安全保障・気候イニシアチブのディレクター、サマンサ・グロス(SG)へのインタビューを基にした記事(マージョリー・エンリケス、2022年12月)。
- 現在のエネルギー危機は、エネルギー安全保障を達成しつつ気候変動に取り組む推進力となり得ると主張。
危機の起点とダイナミクス
- パンデミック期の需要急減:外出制限により石油ベースの輸送用燃料需要が大幅に減少し、生産者は投資と生産のペースを落とした。
- 需要回復が供給を上回る形で逼迫が発生。これはウクライナでの戦争以前からの傾向。
- 欧州の危機は、石炭削減と再生可能エネルギー導入の転換期におけるロシア天然ガス依存が主因であり、パンデミックだけに起因するわけではない。
- LNG(液化天然ガス)の台頭で天然ガス供給はグローバル化し、欧州が世界のLNGを大量購入することでアジアなど他地域の価格も押し上げる構図に。
1970年代の危機との相違点
- 1970年代:供給者側が「石油を売らない」戦略で市場を絞った。
- 現在:買い手側が「ロシアの石油を買いたくない」と選択している点で逆の構図。
- 今回が初の世界的な天然ガス危機であること。かつて天然ガスは地域燃料であり、パイプラインを介した長期的安定関係が基本だったが、LNGによるグローバル市場化が相違点。
エネルギー転換と短期的対応のジレンマ
- エネルギーシステム転換の速度には限界があり、当面は既存インフラでの対応が必要。
- 一時的に石炭火力に戻ることがあるが、長期的にはエネルギー源の転換(脱炭素化)が解決策であると強調。
- 再生可能エネルギーへの依存度が低いほど危機の影響を受けにくいという認識が欧州で広がっている。
- 短期的に排出量増加を招く可能性はあるが、経済活動を止めるわけにはいかないため現行システムでの対応が不可避。
水素の位置づけ
- 水素は「燃料」ではなく「エネルギーキャリア」に分類される。
- 水素は再生可能エネルギー等で水分子を分割して生産するか、天然ガス由来で炭素隔離を伴って作る方法がある。
- 効率の観点から、別の形態のエネルギーを直接使える場合は水素利用は望ましくないという指摘。
- 水素の特性:貯蔵や輸送が可能、エネルギー密度が高く重量当たりの運搬エネルギーが大きい。
負担の分配と価格シグナル
- エネルギー価格は「14年ぶりの高水準」にある旨の指摘(価格上昇が続く状況)。
- 経済的観点からは、資金に余裕のある世帯がコストを担うべきであるという立場。これはガス暖房を電気に置き換えるインセンティブとなり、環境保全にも資する。
- 一方で、脆弱な世帯を保護するために助けを必要とする層の定義を寛大に行うべきという提言。
- 価格は需要に影響を与える強力な手段である。
発展途上国への影響
- 燃料価格の高騰は、所得が低い国にとって「手の届かない水準」に達している。
- 欧州によるLNG大量購入は発展途上国の天然ガス入手を困難にする可能性。
- 多くの途上国政府はエネルギー助成金を提供する余裕がない。
- アルゼンチン、エクアドル、スリランカでは既に物価上昇に対する大規模な抗議運動が発生している。
- エネルギー設備やあらゆる形態のエネルギーが高価であるため、低炭素への移行が遅延し得ることが懸念。
分断化されたエネルギー市場のリスク
- エネルギー市場の分断化は安全保障性を低下させ、価格をさらに押し上げる可能性が高い。
- ロシアは今後、信頼できるエネルギー供給国とは見なされにくくなる見込み。
- 化石燃料需要を減らすエネルギー転換が進む中で、ロシア産燃料の段階的廃止が優先される可能性が高いが、それが市場のさらなる分断化に繋がらないことが望まれる。
最も深刻な影響
- ロシア経済にとって非常に深刻な影響が生じる可能性。ロシア経済は化石燃料輸出に大きく依存しているため、影響の到来が早まり急になる。
- リーダーは、化石燃料依存度の低い経済・エネルギーシステムがこうした危機を防ぐことを理解する必要がある。
- 再生可能エネルギーやゼロカーボン電力に基づくエネルギーシステムは、地域に根付く、地政学に左右されないシステムを構築する手段となる。
出典: ファイナンス&ディベロップメント、マージョリー・エンリケス(2022年12月)