国際金融安定性報告書(GFSR) 2024年4月
Global Financial Stability Report, April 2024
Source details
- Canonical URL
- 国際金融安定性報告書(GFSR) 2024年4月
Other formats
Bibliographic details
- Published: April 16, 2024
概要と主要結論
- 世界的なディスインフレが「最後の1マイル」に入りつつあり、短期的な金融安定性リスクは後退している。
- 中期的な脆弱性は高まっている。
- 期待される金融政策の緩和によりグローバルな金融環境が緩和している。
- 新興市場国は強靭性を示し、一部のフロンティア諸国は国際債を発行している。
- 世界経済がソフトランディング(軟着陸)する可能性が高まっているが、商業用不動産セクターや企業信用の悪化など、差し迫ったリスクが存在する。
第1章:ディスインフレの最後の1マイルにある金融脆弱性
- 世界的なディスインフレが「最後の1マイル」に入るとの期待が高まり、短期的金融安定性リスクは後退。
- しかし「最後の1マイル」には幾つかの顕著なリスクが存在する。
- 商業用不動産セクターの逼迫や企業信用の悪化の兆しが確認される。
- ディスインフレの停滞が投資家を驚かせると、資産価格の調整や金融市場のボラティリティ再燃につながる可能性がある。
- 公的部門と民間部門での債務積み上がりなどにより、中期的な脆弱性が高まっている。
- 参照事項:2023年10月の「国際金融安定性報告書(GFSR)」以降の動向を踏まえた分析。
第2章:プライベートクレジットの増加とそのリスク
- プライベートクレジットは従来、商業銀行のローン市場や社債市場の外で中堅企業に対し融資を提供することが中心だった。
- プライベートクレジット市場の規模は今、他の主要な信用市場に匹敵するまでに拡大している。
- 同章が特定する主な脆弱性:
- 比較的脆弱な借り手の増加。
- 流動性が低い投資ビークルの増加。
- 重層的なレバレッジ。
- 古い情報に基づき且つ主観的でありうるバリュエーション。
- 市場参加者間の不透明な連関。
- リスク評価と対応の要点:
- 透明性が改善しないまま緩いプルデンシャル監督下で急拡大し続ければ、脆弱性がシステム上重要な意味を持つ恐れがある。
- データギャップの解消と報告義務の強化が包括的なリスク評価の鍵。
- モニタリング重視、ファンドの流動性リスクと行為規範リスクへの対処が必要。
- 特により高い償還リスクを抱えるファンド、個人投資家向けファンドに対する対応が重要。
- 当局の検討事項:
- プライベートクレジットに関してより積極的な規制監督体制を検討しうる。
第3章:サイバーリスク — マクロ金融安定性に対し高まる懸念
- デジタル化、技術進歩、地政学的緊張の高まりによりサイバーリスクが上昇している。
- これまでのところサイバーインシデントは金融システムを脅かすまでには至っていないが、重大なサイバーインシデントが起きる確率が高まっている。
- 重大インシデント発生時の懸念される影響:
- 信頼の喪失。
- 重要なサービスの途絶。
- テクノロジーや金融面でのつながりを通じた他の金融機関への波及。
- 結果としてマクロ金融の安定性が脅かされる可能性。
- 政策的対応と強化策:
- サイバー関連法制の整備と企業内のサイバー関連ガバナンス強化によるリスク逓減。
- 新興市場国と発展途上国を中心に、サイバーセキュリティ政策の枠組みは依然として総じて不十分である点を指摘。
- 金融セクターの耐性強化には、国家レベルでの十分なサイバーセキュリティ戦略、適切な規制監督の枠組み、有能なサイバーセキュリティ人材、国内・国際的情報共有体制の整備が必要。
- サイバーインシデントの報告体制を強化してモニタリングの実効性を高めるべきである。
- 監督当局は金融会社の役員に対し、サイバーセキュリティ管理、リスクカルチャーの醸成、サイバー衛生の徹底、サイバートレーニング・サイバー意識向上についての責任を課すべきである。
- 金融機関はサイバーインシデントへの対応と復旧の手順を定め、テストすべきである。
- 各国当局は有効な対応手順と危機管理の枠組みを整備する必要がある。
出典: 国際金融安定性報告書(GFSR) 2024年4月 — International Monetary Fund
Content in this bundle
- 国際金融安定性報告書(GFSR);2024年4月;第2章「プライベートクレジットの増加とそのリスク」
- 国際金融安定性報告書(GFSR);2024年4月;第3章「サイバーリスク:マクロ金融安定性に対し高まる懸念 」
- Executive Summary