世界経済回復の重荷となる民間債務
IMF Blog, April 18, 2022
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- 世界経済回復の重荷となる民間債務
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- Authors: Silvia Albrizio, Sonali Das, Christoffer Koch, Jean-Marc-Natal, Philippe Wingender
- Published: April 18, 2022
概要
- 各国政府はコロナ禍で消費者や企業に大規模な流動性を提供するため、信用保証、貸付条件の優遇措置、利息支払猶予を活用し、危機による経済的な痛みを軽減した。
- これらの政策はバランスシートを支える一方で、民間債務の急増をもたらした。
- 世界の民間債務は2020年に対世界GDP比で13%と急上昇し、増加ペースは世界金融危機(2008年)時より速く、公的債務の増加スピードとほぼ同じである。
- 本ブログは、2022年4月「世界経済見通し(WEO)」の分析章第2章「Private Sector Debt and the Global Recovery(民間債務と世界経済回復)」に基づく(2022年4月18日)。
主な発見
- 直近のレバレッジの水準から推計する経済回復の鈍化幅は、今後3年間の累計で、先進国が平均0.9%(対GDP比)、新興市場国が平均1.3%(対GDP比)となる。
- レバレッジ増加は2008年以降の好金融環境下で着実に進行しており、コロナ禍での政策対応がそれをさらに加速させた。
- 詳細データが入手可能な国では、消費者の家計債務比率の伸びが中国と南アフリカで最大であったが、債務増加の分布は国ごとに大きく異なる。
- 中国ではレバレッジの増加は所得の低い世帯で最大。
- 南アフリカでは大半が所得の高い世帯による増加。
- 先進国では、低所得世帯の債務はアメリカ、ドイツ、イギリスにおいてフランスやイタリアより相対的に大きく増加している。フランスやイタリアでは、より貧しい世帯のレバレッジはむしろ減少している。
- 対面型サービス業に集中する脆弱企業はコロナ禍で収入が減少したため借入が増え、将来の投資減少リスクが高い。
債務の重荷が大きくなりうる国の特徴
- 債務が金銭的に余裕のない世帯や脆弱な企業に集中している。
- 政府の財政余地が限定的である。
- 破産制度が非効率的である。
- 金融政策の引き締めを急ピッチで行う必要がある。
インフレ上昇と金利引き締めの影響
- 経済が復興し物価上昇が加速する中で、支援政策を終了する際は金銭的に余裕のない消費者や企業への影響を考慮すべきである。
- 試算では、例えば100ベーシスポイントの引き締めが予期せぬかたちで実施された場合、レバレッジが最大の企業による投資が2年間の累計で6.5%ポイント鈍化すると見積もられている。
- この減少幅は、レバレッジが最小の企業と比べると4%ポイント大きい。
- 景気回復が順調でバランスシートが健全な国は、財政支援の削減をより速く実施でき、中央銀行がその役割を果たす上でプラスに働く。
- その他の国では、復興に向けた移行期間に最も脆弱な層に財政支援を絞る一方、信頼できる中期的な財政枠組みとの整合性を保つ必要がある。
- 金融政策の急速な引き締めによる長期化する大規模な混乱を避けるため、政策当局者は金融部門の望ましくない動向を注視すべきである。
倒産処理・事業再生・債務整理に関する政策提言
- 企業倒産が相次ぎ余波が広がる国では、企業の清算より再建を促すインセンティブを設けることができる。必要に応じて支払能力支援も提供可能である。
- 政府は、資本と労働力が最も生産的な企業に再配分されるよう、特別な私的整理の枠組み等を通じて事業再編と倒産処理の制度を強化すべきである。
- 家計債務が景気回復を脅かす場合、政府は相対的に脆弱な層への資金提供を目的とした、費用対効果の高い債務整理制度を検討すべきである。
- こうした制度は、得られた所得が消費に回る可能性が高い層を対象とする。
- 制度設計においてはモラルハザードを最小化する努力が必要である。
結論(政策上の示唆)
- 近年急増した家計債務や企業債務は景気回復のペースに対するリスクであるが、そのリスクは国や国内の層ごとに均等に分布していない。
- 低所得世帯と脆弱企業のバランスシートを注意深く、リアルタイムで監視することが、支援策終了の進め方を調整する上で鍵となる。
- これにより、金融環境が逼迫した際に突然のストレスが生じる事態を阻止できる可能性がある。
出典: 世界経済回復の重荷となる民間債務(2022年4月18日)