急激に変化する世界債務
IMF Blog, December 12, 2022
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- 急激に変化する世界債務
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- Authors: Vitor Gaspar, Paulo Medas, Roberto Perrelli
- Published: December 12, 2022
概要と主要統計
- 2021年の公的・民間債務の合計は世界の国内総生産(GDP)の247%に相当。
- 2021年の債務は2020年のピークから10%ポイント減少したが、ドルで表すと世界の債務は増え続け、2021年は過去最高の235兆ドルに達した。
- 民間債務はGDPの153%(2016年からのIMF集計で民間債務が最も減り、6%ポイント減)。
- 公的債務は対GDP比96%(4%ポイント減)で、過去数十年で最も大幅に減少。
国別・グループ別のばらつき
- 先進国:2021年には民間債務と公的債務の両方が対GDP比で5%減少。これは2020年に急増した債務のほぼ3分の1に相当。
- 新興市場国(中国を除く):2021年の債務比率の低下は、2020年に増えた分のほぼ60%に相当。民間債務が公的債務よりも大幅に減少。
- 低所得途上国:民間債務の増加により、2021年も総債務比率が上昇。
世界債務が大幅に変動した主因
- 経済成長の大きな変動:パンデミック初期の景気後退でGDPが顕著に落ち込み、2020年の債務対GDP比率が急上昇。2021年に景気が回復することで債務比率が低下。
- 高インフレ、不安定なインフレ:インフレ率はパンデミックの最初の年に低下し、2021年に多くの国で急上昇。インフレと経済活動は連動し、名目GDPの変動が債務比率を大きく揺らした。
- 政府、企業、家計の予算への経済ショックの影響:2020年は景気後退と大規模な支援で債務と赤字が大幅増。2021年は財政赤字は減ったが、パンデミック前の水準を上回ったまま(2022年 10月の財政モニター参照)。
- 具体例:
- ブラジル、カナダ、インド、米国では景気回復とインフレ上昇により債務減少幅は対GDP比で10%ポイントを超えたが、政府と民間の資金調達ニーズにより実際の債務はそれほど減少しなかった。
- 中国やドイツでは、名目GDPの上昇を上回るペースで赤字が増えたため、公的債務が増加。
- 広範な定量効果の推計:
- 景気回復は公的債務を対GDP比で2—3.5%押し下げ(先進国で最も顕著)。
- インフレ率は公的債務を対GDP比で1.5—3%ポイント押し下げ(新興市場国でより顕著)。
- 財政赤字は公的債務を対GDP比で約4.5%押し上げ(国によってかなりのばらつき)。
リスクと今後の懸念
- 経済見通しの悪化と借入コストのさらなる上昇は、高債務の管理を一層困難にする。
- 高インフレは当面、債務比率の削減に寄与している国もあるが、「インフレサプライズ」と一時的な景気回復に基づく債務改善は永続的ではない。
- 持続的な高インフレは支出増(例:賃金)をもたらし、投資家が政府や民間部門に貸し出す際に高いインフレ・リスク・プレミアムを要求する可能性がある。
- 債券市場の最近の動向は、マクロ経済のファンダメンタルズの悪化と限られた財政バッファーに対する投資家の感応度が高まっていることを示唆。
政府への政策含意(推奨戦略)
- 成長見通しの鈍化と金融引き締めを踏まえ、債務管理と財政政策の実施に慎重さを要する。
- 中期的に債務の脆弱性を軽減する財政戦略を採用すること。具体的には目下のインフレ圧力を和らげるための歳出抑制を含めること。
- 生活費危機で最も打撃を受けた人々への支援を含む優先分野の政策を維持する必要性。これらの政策は中央銀行の作業を促進し、金利上昇を抑える助けにもなる。
- 激動期においては、長期的な安定性を確信させることが貴重な資産となる。
本ブログは、ユーソフ・キエンドリビエゴとヴィラット・シン、魏鐘濠、アンドリュー・ウォーマー、張晨璐の研究を取り入れている。