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日本-IMFアジア奨学金プログラム(JISPA)奨学生、卒業を祝う

[2019年6月18日、東京] アジア諸国の若手行政官ら奨学生30数人は今日、東京で開かれた日本-IMFアジア奨学金プログラム(JISPA)の卒業論文発表イベントに参加、各自の大学院修了を祝し、自らの研究結果と学業成果を披露しました。

同イベントは、本奨学金プログラムの目玉であり、JISPAパートナーシップ大学4校の各大学代表者4人と、博士課程プログラムを修了したオープン・トラック奨学生の代表者2人が、論文の概要を発表しました。6人の奨学生は、金融政策の策定や金融安定性、金融市場の発展、政府支出と所得不平等への影響、労働市場のダイナミクスと企業の生産性に対する影響、保健サービス改善に向けた政府プログラムの有効性など、タイムリーなトピックに関するプレゼンテーションを行いました。

教授と仲間の奨学生たちは、発表者の研究に対するコメントを共有し、今後の研究テーマに関する提案を行いました。

論文発表の後、奨学生は大学院修士・博士課程プログラムの修了を祝うため、送別会に参加しました。別れの挨拶では、一橋大学の武田真彦教授が、世界的に不確実性が高いこの時代に、奨学生たちは自国経済のマネジメントに重要な役割を果たすことになるだろうと述べました。

これに続き、フィリピン中央銀行のマリア・ロマラテが、修了奨学生を代表してスピーチを行いました。ロマラテは、「JISPA奨学生としての私たちの旅は、2年前のオリエンテーションプログラムから始まりました。このプログラムを通して、私たちは異文化から集ったにも関わらず友人になることができました」とコメント。IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事との対面と、第1回サマー・ワークショップへの参加が最も思い出深い経験だと語りました。

さらに「私たちにとって、家族のような存在となった人々との別れは非常に寂しいです。スキルだけではなく、すべての思い出と、アジア地域の未来の政策立案者たちとの繋がりを持ち帰りたいと思います」と述べました。

JISPAは、日本の大学院で経済学の学位取得を目指すアジアの中央銀行、財務省、及び関連機関の若い行政官のための奨学金です。今年度は、31人の修士学生と2人の博士学生を含む、計33人の奨学生が卒業しました。

同イベントに先立ち、奨学生は6月17日に財務省と日本銀行を訪問し、会議や議論を通して組織の運営方法について学ぶ機会を得ました。奨学生は、財務省では日本の債務管理政策について、日本銀行ではフィンテック開発と規制当局である中央銀行への影響について理解を深めたほか、債務持続可能性とフィンテックの利益及びリスクについても意見交換をしました。

2019年度の卒業生は、700人以上のJISPA卒業生からなるJISPAファミリーに加わることになります。これまでの卒業生の多くは、それぞれの国の中央銀行総裁や大臣を含めた政府高官として、自国の経済政策立案に積極的に携わっています。今年の卒業生たちにも、先輩たちのように後に続く若手行政官たちにインスピレーションを与える存在になってほしいと期待されています。