Typical street scene in Santa Ana, El Salvador. (Photo: iStock)

写真:Gopixa/iStock by Getty Images

IMF サーベイ・マガジン : 若者の失業ギャップ、教育と包摂性で解消が可能

2015年10月8日

  • 若者は世界の失業の約40%を占める
  • 中東と北アフリカ、若者の3分の1が失業状態に
  • 成功のためのレシピ:情熱、自信、つながり

ルーで開かれている国際通貨基金(IMF)の年次総会の「ユースダイアローグ」に世界の青年リーダーが参加し、若者の失業対策としての教育の役割と、より多くの若者が、より良いキャリアの見通しと雇用の保護が期待できるフォーマルセクターで働けるようにするにはどうした良いのかについて、それぞれの経験や考えを述べ共有した。

青年リーダーが、若者の失業という現代の課題と考えられる解決策について意見を交わした(写真: Ryan Rayburn/IMF)

青年リーダーが、若者の失業という現代の課題と考えられる解決策について意見を交わした(写真: Ryan Rayburn/IMF)

ユースダイアローグ

オープニングスピーチでカルラ・グラッソIMF副専務理事は、他のどの世代よりも、教育を受けテクノロジーにも精通し順応性が高い若者が多い。しかし、彼らの職探しはより困難だと指摘した。同氏は、世界で18億人の若者が世界の未来を築く可能性を秘めていると述べるとともに、「雇用者やビジネスが求めるスキルと、若者が学校や大学、職業訓練センターで学ぶ内容との間に明らかにミスマッチが存在する」と述べた。

難しい雇用見通し

討論の司会を務めたジャーナリストのアフマド・シハブ・エルディン氏は、アフリカ、アジア、及びラテンアメリカから参加した青年リーダーに、若者の失業という現代の問題と考えられる解決策について幾つかの質問をした。

主に議論では、テクノロジーやインターネット、ネットワーキングや学習ツールへのアクセス、グローバルにつながったベストプラクティス(最善慣行)をもたらす組織が取り上げられた。2015年CADE 大学プレジデント(ペルー)のマリエル・レンテリア氏は、刺激となる人物とつながることが、大きな課題のひとつだと述べた。同氏は、男女平等については楽観視しており、テクノロジーで成功する女性の数が増えていると述べた。さらに、「テクノロジーにアクセスできるペルー人はごく僅かだ」と述べ、オンライン教育へのアクセスなどペルーはグローバルな接続をさらに推進することができるのではないかと述べた。

教育と教師の役割、雇用機会への不平等なアクセス、及び機会を求め海外へ脱出する若者による「頭脳流出」も影響している。アフリカの起業家でAndelaの創設者のひとりであるイノルア・アボヤジ氏は、失業の最大の要因は、教育システムが雇用市場とマッチしていないことだと指摘した。Andelaはナイジェリアを拠点とするソフトウェア研修会社で、アフリカの眠っている人材とトップ雇用者とを結びつける。しかし、アフリカへ資本がなだれ込んでいる現在、若者はこれから20年間新たな職を大いに利用する絶好の機会を手にしている。

インドネシアのWe the Teachersの創設者であるアマンダ・ウィトダルモノ氏は、教師への無関心が増えているとするとともに手本となる人物の存在の重要性を指摘した。 同氏は「教師になりたいと願う子供はほとんどいない。最も求められている職ではなく最も名誉ある職でもない。これは、教師はそのスキルを磨かねばならないことから、深刻な課題である」と述べた。

自信と楽観がカギ

就職活動をはじめる若者へのアドバイスとしてパネリストは、機会をとらえつながりを維持するために、自信を持ち楽観的であることが重用だと述べた。活動家で社会起業家であり国連の対ソマリア青年アドバイザーを務めるジョアオ・フェリペ・スカルペリーニ氏は、「自分が何に情熱を傾けられるかを知ることが大事だ。コミュニティに根を張り何をなすべきか知っていれば、50年続く仕事を探す必要はない。今からスタートして経験を積むべきだ」と述べた。

ペルーのダニエル・マウラテ労働雇用促進相は、自身のペルーの地方からの「移民」としての経験と新たな社会へ溶け込む難しさについて語った。同氏は、なかでも人的資本の構築を通した雇用促進の重要性を強調した。さらに同氏は若者へのアドバイスとして自尊心が重要だと述べた。「自分自身と自らのバックグラウンドを大切にする必要がある」と語るとともに、若者の雇用において、職業学習や雇用にマッチしたスキルも重要だと述べた。

パネリストは、官僚主義を減らし技術インフラを改善するとともに、政府のアウトリーチや関与での若者とのコミュニケーションの改善のために、政府は政策策定の早い段階から、若者の意見を聞き彼らを取り込むべきだと同意した。

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(写真左より:マリエル・レンテリア、イノルア・アボヤジ、カルラ・グラッソ、アフマド・シハブ・エルディン、アマンダ・ウィトダルモノ、ジョアオ・フェリペ・スカルペリーニ-敬称略)