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写真:Gopixa/iStock by Getty Images

IMF サーベイ・マガジン : 中国人民元、IMFの特別引出権の構成通貨採用へ

2015年12月1日

  • 人民元が、SDRバスケットの5番目の構成通貨に
  • 人民元の採用は、中国を世界の金融システムに統合していく上での重要な一里塚
  • 決定は、人民元の国際的な利用と取引が増加していることを反映

国の人民元(RMB)が、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)を構成する通貨バスケットに含まれることになった。

人民元を数える銀行員:IMF理事会は中国の通貨が「自由利用可能」であると判断した(写真: Imaginechina/Corbis)

人民元を数える銀行員:IMF理事会は中国の通貨が「自由利用可能」であると判断した(写真: Imaginechina/Corbis)

IMF SDR バスケット

SDRを構成する通貨の内容が変わるのは15年 以上ぶりで、この度の変更はSDRバスケットを構成する通貨の定期見直し受け、IMF理事会が合意した。

クリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事は「RMBをSDR構成通貨に含むとする理事会の決定は、中国経済を世界の金融システムに統合していく上での重要な一里塚である。同時にこの決定は中国当局が同国の通貨金融システム改革で過去数年にわたり成し遂げた前進の承認でもある」と述べた。

「こうした努力の継続と深化は、より堅固な国際通貨金融システムを作り、それは転じて中国と世界の経済の成長と安定を支えることになろう」

SDR: 国債準備資産

SDRは加盟国の準備資産を補完する手段としてIMFが1969年に創設した国際準備資産である。ユーロがドイツマルクとフランス・フランに取って代わった1999年以降、SDRの価値は、構成通貨に含めるためのIMFの基準を満たしている米ドル、ユーロ、日本円、及び英ポンドの4通貨が構成するバスケットを基準としてきた。

SDRの構成内容と価値は通常、SDRが確実に世界貿易及び国際金融システムにおける通貨の相対的な重要性を反映するよう5年に1度見直される。

IMF理事会による直近の見直しで、中国と中国の通貨はバスケットに加わるための二つの基準を満たしているとの結論に及んだ。ここでいう二つの基準とは、通貨発行国が世界最大の輸出国のひとつであり、その通貨が「自由利用可能通貨」であることである。

国際取引の支払いで広く使われており、主要な取引市場で広く売買されている通貨を、自由利用可能通貨と判断する。IMF理事会のRMBは自由利用可能通貨であるとの決定、及びSDRバスケットへの採用は、ともに2016年10月1日に行われる。

また、この度の見直しで、中国当局による、外貨準備高の管理者や担当機関にオンショアの債券市場及び外国為替市場への完全なアクセスを認めるという最近の措置、並びにデータ公開の向上を図る措置を認めた。

SDRの構成比重

新規SDRバスケットは以下の比重を基盤とする:米ドル-41.73% 、ユーロ-30.93% 、RMB-10.92% 、日本円-8.33% 、英ポンド-8.09% 。これら比重は、IMFが今回の見直しで採用した新計算式を用いて算出された。

この新計算式にしたがい、SDRバスケットの構成通貨の比重は、通貨発行体の輸出額、関連通貨の発行体ではない他の金融当局が保持する加盟国(もしくは通貨同盟)通貨建ての外貨準備高、外国為替市場での売買額、及び関連通貨建ての銀行の対外負債と国際債券を基盤としている。

世界経済の変化を反映するIMF

RMBをSDRバスケットに加えるという決定は、世界経済の大きな変化を反映したものであり、また、これまで20~30年間のより開かれた市場ベースの経済への転換での中国の前進を承認したものである。

理事会に提出されたIMFのスタッフによる報告書は、2010年の前回のSDR見直し以降、多国間決済におけるRMBの使用が著しく増加していると指摘している。加えて、三つの主要なタイムゾーンにある外国為替市場のうちの2カ所での元の取引が大幅に増えており、IMFの業務に伴う規模の大きさの取引を受容することができる。

こうした変化は、より安定しより強靭な国際金融システムを構築する機会が今後到来することを告げるものとなり得る。IMFのシダート・ティワリ戦略政策審査局長は「中国の統合は進みさらに深化しており、他の新興市場国・地域でも同時にこれが起こっている。これは、より強固な国際通貨金融システムを作り、それは転じて世界の経済の成長と安定を支えることになろう」と述べた。

IMFの業務とRMB

アンドリュー・トゥウィーディIMF財務局長は「RMBが加わることで、バスケットの多様化が進みSDRがより世界の主要な通貨を代表することになることで、SDRの国際準備資産としての価値が高まるだろう」と述べた。

実際IMFの融資活動の大半が自由利用可能通貨で行われている。このことからRMBは、自由利用可能通貨としてIMFの活動において重要な役割を担うことになる。IMFからの借り入れコストの基であるSDR金利も、10月からRMBの商品を含むことになる。

中国当局を含む全てのSDRバスケット構成通貨の当局には、IMF、IMF加盟国及び他のSDR利用者のSDR構成通貨でのオペレーションを促進する政策枠組みを維持することが期待される。