ブレトンウッズの時、再び
IMF News, October 15, 2020
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- Published: October 15, 2020
講演概要と文脈(はじめに)
- 発表者: 国際通貨基金 専務理事 クリスタリナ・ゲオルギエバ。場所: ワシントンDC。日付: 2020年10月15日。
- 歴史的比喩: 1944年ブレトンウッズ会議を引用し、現在を「ブレトンウッズの時を再び迎えた」局面と位置づける。アンドラ公国を190番目の加盟国として歓迎する旨を表明。
- 危機の現状と影響:
- パンデミックで「すでに100万人以上の命が失われている」。
- 世界経済は「今年マイナス4.4%の成長」と予測され、「来年までに世界GDPから11兆ドルもが失われる試算」である。
- 何十年にもわたり解消が進んだ貧困が再び拡大。
- マクロの評価: 国際的銀行システムには資本と流動性のバッファーが存在するが、多くの新興市場国には体力の弱い銀行があるため、中期的な金融リスクの蓄積を阻止する措置が必要。
- 「長い登り道」: 回復は「困難で、ばらつきが大きく、不確実で、そして幾度かの後退もありそう」だが、持続的成長・包摂性・気候対応の機会もあると指摘。
未来を見据えた復興 — 3 つの至上命題
- 要旨: 復興のために優先すべき3点を提示。
- 1) 正しい経済政策
- 慎重なマクロ経済政策と強固な制度が成長・雇用・生活水準向上に不可欠。
- 支援は段階に応じて設計すべき(初期は幅広く、復興段階では的を絞る)。
- 中期的枠組み整備(金融政策、財政政策、金融セクター政策)、貿易促進、競争力・生産性向上の改革が信頼醸成と強靭性構築に寄与。
- 債務リスク監視: 2021年の債務水準予測(対GDP比)を提示: 先進国で125%、新興市場国で65%、低所得国で50%くらい。
- 債務救済・再編の必要性と、債務透明性向上および債権者間調整の強化を主張。G20での議論(民間部門参加を含むソブリン債務再編の仕組みの改善)を歓迎。
- 2) 人々への投資(弱者の保護と人的資本強化)
- 医療制度の強化、教育と研修による機会拡大と格差縮小、男女平等の加速。
- 「男女格差が最も大きい国では、それを解消することにより、GDPが平均で35%増加する可能性がある」。
- 若者への投資(医療、教育、インターネットアクセス)は未来への投資。
- デジタル包摂の効果例: 「サブサハラアフリカで人口の10%が新たにインターネットを利用できるようになると、同地域における1人あたり実質GDPの伸びが4%ポイントも増加しうる」。
- デジタル化は金融包摂と貧困削減にも寄与。
- 3) 気候変動対応(マクロ経済的重要性の認識)
- この10年間に気候関連の災害によってもたらされた直接の損害は「総額で約1.3兆ドル」。
- IMF研究: グリーン投資と炭素価格の引き上げを正しく組み合わせれば、2050年までの排出ゼロ実現へ舵をとりつつ「数百万の雇用を新たに創出することができる」と示唆。
- 低金利環境下での適切な投資は「四重の配当」をもたらすと主張(将来の損失回避、経済成長刺激、人命の救済、社会・環境面での利益)。
IMF の役割と対応
- 資金供給と支援枠: パンデミック発生直後から「1,000億ドル以上の融資を約束」。IMFの「1兆ドルの融資財源にはまだ相当額の資金が残っている」。
- 脆弱国支援: 新興市場国・低所得国、とりわけ小国や脆弱国の緊急ニーズ(医師・看護師の給与支払いや最も脆弱な層の保護)に重点。
- 加盟国の貢献と制度対応:
- 新規借入取極(NAB)の倍増、国別借入取極の延長によりIMFの資金力を保持。
- 加盟国は大災害抑制・救済基金(CCRT)と貧困削減・成長トラスト(PRGT)への拠出を拡大。
- これらにより、IMFは低所得国向けに債務救済を提供し、譲許的融資を「3倍にした」ことが可能に。
- IMFは譲許的融資能力のさらなる引き上げ、融資ツールキットの適応、能力開発支援の増加について加盟国と協議中。
- 組織の対応力: IMF職員およびマネジメントチーム、理事への謝辞。
政策上の主要な推奨事項(要点の箇条)
- 医療措置とワクチンの生産・流通を優先し、「どの国でも利用できるよう」支援を促進すること。
- パンデミックから持続的に脱するまで、企業や家計を支援し続けること。
- 支援の撤退は段階的かつ慎重に行い、早過ぎる撤退は重大で不当な経済的損害をもたらす可能性があると警告する。
- 債務透明性向上、債権者間調整の強化、そして持続不可能な債務に対する速やかな債務再編を推進すること。
- 人的資本、物理的資本、デジタル化、教育・研修、男女平等、若者投資を通じた包摂的成長の加速。
- グリーン投資と適切な炭素価格設定の組合せによる脱炭素移行と雇用創出を促進すること。
結び(終わりに)
- 故ジョン・メイナード・ケインズの言葉を引用し、「より大きなもの」、より持続可能で公正な世界の創造を今の最優先課題として掲げる。
- IMFの創設者たちが果たした役割に次ぎ、現在の国際社会がこの「好機」を活かすべきであると強調。
- 次の登壇者として世界銀行グループ 総裁 デイビッド・マルパスの紹介を行う旨で締めくくる。
出典: 国際通貨基金、クリスタリナ・ゲオルギエバ スピーチ(ワシントンDC、2020年10月15日)