クリスタリナ・ゲオルギエバ

専務理事

クリスタリナ・ゲオルギエバ氏は2019年10月1日以降、国際通貨基金(IMF)の専務理事を務めている。IMF理事会は、2024年4月にゲオルギエバ氏の2期目の再任を決めた。

ゲオルギエバ氏は1期目に、新型コロナウイルスのパンデミックと戦争、大幅なインフレという複数の世界的ショックにおけるIMFの対応を率いた。この間、IMFは6,500億ドルという歴史的な規模のSDR配分を含め、準備金と流動性に約1兆ドルを充て、100か国近くの加盟国と融資取引をした。また、初めての気候戦略を採用したほか、初めての長期融資のツールとなる強靭性・持続可能性トラスト(RST)を設けた。2023年には第16次クォータ一般見直しを完了し、加盟国がそれぞれのクォータに均等に比例する形でクォータのシェアを50%増やすことで合意した。

ゲオルギエバ氏のIMFでの在任期間中は、理事会にサブサハラアフリカの3つ目の議席を追加することや、マネジメント・職員採用の地域の多様性とジェンダーバランスの向上など、多様性、公平性、包摂性に関する進展も際立った。

IMF専務理事として就任する以前、ゲオルギエバ氏は2017年1月から2019年9月まで世界銀行の最高経営責任者(CEO)を務めた。同職在任中には3か月間、世界銀行暫定総裁の役を担った。

世界銀行のCEOに就任する前、ゲオルギエバ氏は欧州委員会で予算・人的資源を担当する副委員長として欧州連合(EU)のアジェンダを形成する一員だった。その職務において、1,610億ユーロ(1,750億米ドル)のEU予算と3万3,000人の職員を管理した。また、ユーロ圏債務危機と2015年難民危機への対応も統括した。それ以前には、国際協力・人道支援・危機対応を担当する欧州委員として、世界最大規模の人道支援予算を管理した。

ゲオルギエバ氏は1993年、世界銀行の環境エコノミストとして公的機関でのキャリアを始めた。持続可能な開発担当局長、ロシア連邦担当局長、環境担当局長、東アジア・太平洋地域の環境・社会開発担当局長などさまざまな幹部・管理職を歴任した後、2008年には副総裁兼官房長に任命された。同職においては、世界銀行幹部、理事会、出資国の間での対話を調整した。

ゲオルギエバ氏は、気候変動適応グローバル委員会の共同議長、国連事務総長の人道資金の調達に関するハイレベルパネルの共同議長、世界経済フォーラムの評議員会のメンバー、パリ平和フォーラムの諮問委員会のメンバーなど、多くの国際パネルに参加する。また、ミクロ経済学とマクロ経済学の教科書など、環境政策・経済政策に関して著者、共著者として100点を超える出版物を執筆している。

ゲオルギエバ氏はブルガリアのソフィア出身。1953年生まれ。ソフィアにある国家世界経済大学で政治経済学と社会学の修士号、経済科学博士号を取得。1977年から1993年には同大学の准教授を務めた。研究者であった期間には、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスやマサチューセッツ工科大学(MIT)の客員研究員も務めた。

2010年にゲオルギエバ氏は、EUの人道危機対応で発揮したリーダーシップを理由にヨーロピアンボイス紙の「今年の欧州人」「今年の欧州委員」に指名された。2020年には、タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出された。  2020年10月、ゲオルギエバ氏の公職における顕著かつ卓越した貢献を理由に、アトランティック・カウンシルから「卓越した国際指導者賞」を授与された。2024年には、国際協力への貢献が評価され、「ウーゴ・ラ・マルファ賞」を受賞した。

最終更新日:2024年10月3日