科学技術分野で活躍する女性を増やし日本経済押し上げを
IMF News, November 13, 2023
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- Published: November 13, 2023
要旨
- 日本は高齢化が進み、1990年代後半から生産年齢人口が減少しているが、2012年から2019年にかけて一人当たりのGDP成長率は「アベノミクス」を背景に目覚ましく伸び、米国に次いで2位であった。
- 女性の労働参加率の上昇(2012年の63%から2022年には74%)が一人当たりGDPの伸びに大きく寄与したが、参加率の伸びは鈍化し、頭打ちになる可能性が高い。
- STEM分野での女性参画を拡大することで、生産性向上の新たな原動力を得られる。われわれのモデルでは、女性が直面するSTEM分野の障壁を取り除くことで生産性の伸びが20%加速すると推計している。
主要な事実と統計
- 女性の労働参加率: 2012年 63% → 2022年 74%.
- 日本における労働力に占める外国人労働者の割合: 2.8%.
- 大学でのSTEM専攻生の割合: 女性 7%、男性 36%.
- モデル推計: STEM職に就く女性が直面する障壁を取り除くと生産性の伸びが20%加速。
- モデル推計: 日本の全労働者の福祉は平均で約4%上昇。
成長メカニズムと分配への影響
- 生産性向上の主因:
- STEM労働者数の増加に伴う、自動化、デジタル化、イノベーション領域の拡大。
- 分配面での効果:
- 恩恵を受ける層: STEM分野に参入する女性(能力に応じて男性の収入に近づく)、およびSTEM以外の全労働者(生産性伸びの波及)。
- 影響を受ける層: 既存のSTEM分野の男性労働者は賃金が低下する可能性がある。特に最も劣後する男性STEM労働者は女性に置き換えられる可能性がある。
障壁の類型
- 明確な賃金格差:
- 給与データで観察可能な格差。特定が比較的容易であり、政策で対処しやすい。
- 間接的な賃金格差:
- 家庭での負担の偏り、職場での差別などに起因し、女性のキャリア形成や賃金に影響を与える。
- 参照:
- ハーバード大学のクラウディア・ゴルディン氏の2021年の著書「なぜ男女の賃金に格差があるのか:女性の生き方の経済学」は、家族の世話の責任によるキャリア中断が賃金格差の大きな原因であると指摘。
政策提言
- 賃金格差の透明化と同一労働同一賃金の推進:
- 「女性版骨太の方針」による男女間賃金格差に関するデータの透明性向上は歓迎すべき一歩。情報開示は「同一労働同一賃金」規制の実施と格差縮小に寄与。
- 間接的格差の解消に向けた改革:
- 働き方改革と労働市場の柔軟性向上を推進。年功序列ではなく実力に基づく雇用・昇進制度への転換は、女性にとってSTEM教育のリターンを高める。
- ジェンダーバイアス是正のための能動的措置:
- クオータ制やその他の政策を模索し、STEMを含む各分野でジェンダーバイアスを是正する。
- 長期的な視点の重要性:
- 障壁解消は数年、もしくは数十年を要する可能性があるが、時間経過とともにロールモデル効果により女性のSTEM参加が促進され、イノベーションと経済的繁栄への寄与が期待される。
許睿 著、2023年11月13日、International Monetary Fund.