暗号資産を 規制するには
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- Authors: ADITYA NARAIN, MARINA MORETTI
- Published: September 9, 2022
概要
- 暗号資産は10年以上前から存在しているが、規制が最重要政策課題となったのはここ最近のこと。
- その背景には、暗号資産が投機的投資、弱い通貨に対するヘッジ、将来的な決済手段としてここ数年で主流化したことがある。
- 暗号資産の時価総額が不安定ながらも目覚ましい成長を遂げ、規制対象の金融システムへの組み込みが進んでいる。
主な課題(規制が困難な理由)
- 業界の急速な進化と規制当局の人的・技術的資源の不足。
- 市場参加者が何千にも及び、通常の開示義務・報告義務の対象にならない可能性があるため監視が困難。
- 用語や定義の世界的統一がないこと(「暗号資産」という用語は幅広いデジタル商品を指す)。
- 暗号資産が使われる目的に応じ、銀行・商品・証券・決済など根本的に異なる複数の国内規制当局の関与が必要となる点。
- マイナー、バリデーター、プロトコルデベロッパー等、従来の金融規制の対象になりにくい多様な参加者の存在。
- 特定が難しい参加者や臨時参加・任意参加の参加者へ、従来のガバナンス・プルーデンス・受託者責任を適用する困難さ。
- 暗号資産を作る基礎技術と他の公共政策目標(例:マイニングに必要な膨大なエネルギー)との両立に関する立場決定の必要性。
技術的・運用上のリスク
- 暗号資産は本質的に電子的に保管・アクセスされる単なるコードであり、物的担保・金融的担保の有無はまちまち。
- 電子ライフサイクルが技術関連リスクを増幅:
- 主にサイバーおよび運用に関連したリスクがあり、ハッキングによる制御・アクセス・記録の喪失や不慮の喪失が問題化している。
- 以前は非公開だったシステムが公開化・主流化した結果、レバレッジと流動性の提供、融資、価値の貯蔵といった金融システムの機能が暗号資産市場で模倣されている。
- 「同じビジネス、同じリスク、同じルール」原則を必要な変更を加えたうえで適用すべきという要請が強まっている。
- 中央金融機関やセーフティーネットとの統合に関する公共政策上の難題が生じている。
各国・国際機関の対応
- 国内の対応は多様:
- 一部の国(例:日本やスイス)は暗号資産とサービスプロバイダーを対象とする法改正や新たな法案を実施・提出。
- 欧州連合、アラブ首長国連邦、英国、米国を含む他の国は起草段階にある。
- 極端な差では、発行・所有・支払い等を禁止する国もあれば、市場開発を奨励する国もあるため、対応はバラバラ。
- 結果として、事業体が最も規制の緩い法域に移転することで公平な競争や底辺への競争の防止が保証されない事態が生じている。
- 国際的な基準設定機関の動き:
- 金融活動作業部会(FATF)は、仮想資産サービスプロバイダーのためのグローバルな枠組みを提供。
- 証券監督者国際機構(IOSCO)は暗号資産取引に関する規制ガイダンスを公表。
- リブラの発表が国際的対話に弾みをつけた。
- 金融安定理事会(FSB)は暗号資産市場の監視を開始し、グローバルステーブルコインの規制取扱いの原則を公表。現在は裏付けのない暗号資産を含む幅広い暗号資産向けのガイダンスを作成中。
- 決済・市場インフラ委員会(CPMI)とIOSCOはシステム上重要なステーブルコインに関する取決め、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は金融機関の暗号資産へのエクスポージャーのプルーデンシャルな取り扱いに関する取り組みを行っている。
IMFの提案するグローバルな対応の特徴
- IMFは以下の特徴を有するグローバルな対応を呼びかけている:
- (1)部門や国境をまたぐ発行から生じる規制上のギャップを埋めて、公平な競争の場を保証できるよう調整されていること。
- (2)一貫性があり、活動・リスクの範囲全般において主流な規制アプローチを取っていること。
- (3)包括的であり、暗号資産エコシステムのすべての参加者およびすべての局面を対象とすること。
- グローバルな規制枠組は、市場に秩序と消費者の信頼をもたらし、許される行為の範囲を明確にし、有益な革新の継続を可能にする安全な場を提供すると期待される。
出典: 暗号資産を 規制するには — アディティナ・ナレイン, マリーナ・モレッティ, 2022年9月
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