IMFの能力開発

2017年6月15日

IMFの能力開発(CD)は、世界の経済・金融情勢のモニタリング及び対外収支危機にある加盟国への融資とともに、IMFのマンデート(責務及び権限)の中核に位置付けられる業務です。CDは加盟国の経済制度の策定(技術面での支援)と人的資源の能力開発(研修)で構成され、加盟国の効率的な政策・制度の構築に寄与しています。IMFのCDへの取り組みは、加盟国の経済の強化、包括的な成長、雇用創出に役立っています。

IMFのCD業務は、加盟国の効率的な政策・制度の構築と、人的資源の強化に焦点を当てています。これにはたとえば、加盟国の歳入拡大、金融制度改革、強力な法的枠組み、マクロ経済や財政に関する統計の改善、経済分析・予測の改善などにおける支援が挙げられます。IMFは加盟国の財務省や中央銀行などの政府機関と協力し、実践的な助言やピアラーニング・ワークショップ、政策に焦点を当てた研修を行っています。IMFのCD業務は、本部からのスタッフ使節団(ミッション)の短期派遣、駐在アドバイザーの長期配置、地域能力開発センター(RCDC)の設置、そして 世界に投資するテーマ・ファンド の組成 など、様々な方法で加盟国を支援しています。また、IMFのCDに対する需要を満たす上で加盟国の各機関および多国籍機関のパートナーが重要な役割を果たしており、現時点でこれらの機関がIMFのCDに必要な資金の約半分を供与しています。IMF理事会は定期的にCD戦略のレビューを行い、 次回レビュー は2018年に予定されています。

すべての IMF 加盟国が CD の恩恵を享受

IMFのCDは、加盟国の要請を受けて実施される需要主導型の支援で、すべての加盟国189カ国が活用しています。人的資源と組織的資源の能力を国内で育成することは、政府が更に有効な政策を実施することにつながり、より良い経済的成果をもたらします。2016年度にIMFが行った全技術支援の約半分が低所得の途上国向けでした。一方、新興国と中所得国向けは約40%でしたが、新興国は、IMFが実施した政策に関する研修では最大のシェア(50%強)を占めました。

能力育成は IMF サーベイランスと融資と一体

CDはIMFの他の中核的な業務であるサーベイランスと融資の重要な補完的役割を果たします。たとえば、CDを通じて加盟国政府と政策やプロセスの改善に向け加盟国政府と協働することは、加盟国におけるIMFの政策助言への理解を深め、その有効性を高めることにつながるとともに、技術革新やグローバル経済に影響する可能性のあるリスクに関する最新情報が常にIMFに集まるようになります。また、加盟国の危機と他国への波及に関連した様々な課題への対応にも役立ちます。一方、IMFのサーベイランスと融資業務は、CDが加盟国に最大限の効果を上げ得る分野の特定に役立ちます。たとえば、IMFは包摂的成長と金融包摂の促進、及び対外的脆弱性の軽減に向けたCDの提供に積極的に取り組んでいます。

IMF CD は以下の中核的能力の育成に注力しています:

  • 財政政策: 加盟国政府に対して税制・関税制度、予算編成、公的財管理、対内・対外債務、社会保障など、歳入拡大の方法や効率的な歳出管理について助言を行います。これにより政府は学校、道路、病院などのより良い公共サービスを提供できるようになります。

  • 通貨・金融セクター政策: 加盟国の中央銀行と共同で、為替政策、インフレ対策、債務運営など金融システムと銀行監督機能の近代化を図ります。これにより国内の金融安定性が向上し、国内成長や貿易の活発化が図れます。

  • 法的枠組み: 加盟国が安定した財政・金融改革を進め、腐敗対策に取り組み、マネーロンダリングとテロリズムへの資金供与を撲滅できるよう、法的およびガバナンスの枠組みを国際的な基準に引き上げることを支援します。

  • 統計: 加盟国のマクロ経済や金融財政関連の統計データの集計、管理、公表方法を支援します。こうすることにより国内経済をより正確に把握することが可能となり、より多くの情報に基づいて政策を策定できるようになります。

    さらにIMFは、マクロ金融の連関性、金融政策と財政政策、国際収支に関する課題、金融市場や金融機関、そして、統計および法的枠組みなど、幅広い分野の研修コースを提供しています。IMFはまた、マクロ経済の安定と持続可能な成長の実現に取り組む加盟国を支援するため、2017年に研修カリキュラムとコースを見直しました。IMFはオンライン カタログ で1年先の研修コースの告知を行います。この カタログ を補完する形で、優先順位の見直しおよび需要の変化を反映したオンラインコースの告知が行われます。

    研修 対面および オンライン で行われます。実践的で政策指向型の研修は、地域の能力開発センター(RCDC)でも実施しています。IMFは政府関係者のための研修の方法として、オンラインコースを大幅に増やしました。 オンラインコース に関しては、「大規模公開オンラインコース(MOOCs)」を一般の人も自由に受講することが可能です。2013年末のプログラムの設定以来、これまでに8,400人以上の政府関係者(及び185カ国8,200人の一般人)がコースを修了しました。

能力開発のモニタリング

IMFは、成果重視型の管理運営枠組みを強化しており、これによりCD活動の体系的な計画策定やモニタリングが可能となっています。これは、IMF全体で様々なタイプの技術支援や研修の実績を評価・比較する実力を向上させるための、新たな共通した評価の枠組みで補完されています。

たとえば評価は、どの技術支援がマクロ経済の安定性、財政管理のシステム、経済統計や金融ガバナンスの質をどの程度向上させたかを策定するのに有益でしょう。また同様に、研修により政府関係者の仕事のパフォーマンスが向上したか、さらに経済動向を分析し政策の実効性を評価する能力が改善したかを見極める際にも効果を発揮するでしょう。

IMFは、技術支援と研修の有効性を評価するために、内部評価と独立した外部による評価を今後も活用していきます。評価は、地域技術支援センター(RTAC)の資金交付サイクルの中盤とコース終了時に行われます。RTACを通して技術支援を受けた国は、IMFの技術支援の有効性を一貫して「良」または「優秀」であると評価しています。2015年の調査では、回答した機関の92%が、職員は他機関が提供する同様のテーマの研修より、IMFの研修を高く評価していると答えました。