第3回G20財務相・中央銀行総裁会議終了にあたっての ギータ・ゴピナート第一副専務理事の声明
2025年7月18日
クワズール・ナタール(南アフリカ): 国際通貨基金(IMF)のギータ・ゴピナート第一副専務理事は、南アフリカのクワズール・ナタールで開催された第3回G20財務大臣・中央銀行総裁会議において、以下のとおり述べた。
「今週のG20会合を主催してくださった南アフリカ政府、また、経済・金融部門におけるいくつかの重要な課題について実りある議論を主導してくださったゴドングワーナ大臣およびクガニャゴ総裁に心から感謝いたします。今回も、政策に関する不確実性の高さが重要なテーマでした。同時に、この不確実性の中を舵取りし、国内でも集団としてでも、成長を促進する方法を模索するという共通の目的も重要なテーマでした。
世界経済の展望 : 今のところ強靭性はある一方、確実性からはほど遠い
4月の世界経済見通し(WEO)では、世界経済の成長率が2025年に2.8%、2026年に3.0%となり、従来の平均である3.7%を大きく下回る予測を示しました。これには、政策の不確実性の高まりや貿易摩擦、需要の勢いの鈍化などによる、米国や中国などの主要経済国の大幅な下方改定も含まれていました。世界の総合インフレ率は、2025年に4.3%、2026年に3.6%と、前回予測よりやや遅いペースで減速する見込みでした。
経済指標は4月以降、貿易摩擦によって形作られた複雑な背景を映し出しています。関税引き上げや貿易転換に先立って、前倒しの購入が行われたことを示す強い兆しが見られます。また、一部の貿易協定によって平均関税が引き下げられたことで、世界的な金融環境が改善しました。需要の冷え込みとエネルギー価格の下落からは、インフレが、国によってばらつきはあるものの、引き続き減速していることが示唆されます。
IMFが7月末に世界経済の成長率予測の改訂を控える中、見通しにおいて引き続き下振れリスクが支配的であり、不確実性は依然として高い状態です。
政策の優先課題:強靭性を構築し、中期的な成長を促進する
こうした背景の下、政策当局者は貿易摩擦の解消と、根底にある国内不均衡に対処するためのマクロ経済政策の実施に注力すべきです。それには、財政余地を取り戻すことや、債務が持続可能な道筋に乗るようにすることも含まれます。物価と金融の安定を維持するためには、金融政策を各国固有の状況に合わせて慎重に調整し、明確かつ一貫性のあるコミュニケーションを用いる必要があります。中央銀行の独立性は守らなければなりません。中期的な成長を押し上げ、人口動態の変化の影響を相殺するためには、構造改革が引き続き不可欠です。生産性を高め、雇用創出を支え、新しいテクノロジーを活用するのです。
財政の強化
IMFは、国内歳入の動員に改めて焦点が当てられていることを歓迎しています。これは、財政を強化し、ここアフリカを中心とした国々の開発目標の達成を支援する上で不可欠です。IMFの分析では、低所得国が税徴収能力推計値を達成することができれば、税収がGDPの7%増えることが示唆されています。
IMFは、各国の国内税制改革と課税ベースの拡大、徴税とその効率性向上のための行政強化、租税法の確実性向上を支援し、国内外の投資を呼び込むことで自らの役割を果たしています。
IMFはまた、公共支出の効率性に重点を置くことを支持しています。これは、厳しい財政制約の中で持続可能な開発に投資する上で不可欠です。IMFは、ガバナンス診断、マクロ財政枠組みの設計、公共投資管理と国有企業経営の改善を通じて支援しています。
資本フローと債務の管理
金融市場のボラティリティの高まりと政策の不確実性にもかかわらず、新興市場国と発展途上国への資本流入は2025年に総じて底堅さを保っていましたが、依然として低迷しており、多くの借り手にとって資金調達環境が依然として厳しい状況です。
資本コストを下げ、民間投資を誘致するための取り組みは、国内改革から始まります。しかし、債務が持続可能でありながらも債務返済コストが莫大である状況に直面している一部の国については、改革の恩恵が表れるまでの間、財政余地を生み出すための手助けを必要とする可能性があると私たちは認識しています。この理由から、IMFでは3本柱のアプローチの実施に向けて世界銀行との共同作業を進めています。
持続不可能な債務を抱える国は、債務の持続可能性を取り戻すための積極的な取り組みが欠かせません。そのためには、効率的かつタイムリーな再編メカニズムを整備する必要があります。その点では、良い進展が見られています。グローバルソブリン債務ラウンドテーブルの「再編プレイブック」の公表や、共通枠組みの下での債務処理の手順を概説したG20の見解書は、債務再編を検討している国にとって有用であり、補完的な資料となります。しかし、中所得国を対象としたり、予見可能性を高めたりすることを含め、再編メカニズムを一段と発展させなければなりません。
金融部門の混乱
金融環境は4月以降緩和していますが、貿易や地政学的な不確実性が依然として高い中、金融安定性リスクに引き続き注目する必要があります。資産価格がまたしても過大評価されているほか、金融システムの一部ではレバレッジが依然として高い水準にあります。また、国債利回りと市場機能に周期的に見られる圧力は、特に巨額の財政赤字と流動性不足の高まりを考慮すると、広範な影響を及ぼすリスクを伴っています。
注意深いサーベイランスと強固な監督が引き続き最優先事項であり、金融部門の監督における最近の進展を継続しなければなりません。金融部門の50%超を占めるNBFIについては特に言えることです。
新しい金融テクノロジーの活用を含め、クロスボーダー決済の制度を改善することは、成長を押し上げ、マクロ金融の安定性を高める上で有用となるでしょう。
最後になりますが、IMFは、マクロ経済的な脆弱性への対処も含め、議長国がアフリカの潜在成長力の強化に注力していることを歓迎します。アフリカは人口が若く、天然資源が豊富にあります。この可能性を活用するには、大陸全体の成長と発展を促進できる改革と投資が必要です。また、十分な譲許的融資や能力開発、債務の脆弱性対策への支援などの、国際的な支援を継続することが引き続き重要であり、IMFはこの点に関して自らの役割を果たすことを約束します」
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