基準と規範とは

基準と規範は、経済政策や金融政策を立案・実施する際に用いられる「ゲームのルール」です。「ルールに従って行動する」国は、経済活動がより良好で金融の安定性が高い傾向があります。つまり、国際的に認められた基準と規範を遵守することは、その国の利益となります。

IMFと世界銀行 による基準と規範の取組みは、1990年代の新興市場国危機の後に開始しました。その後、世界金融危機により欠陥や弱点が浮き彫りになったため、一部の基準と規範を改正・更新し、進化する国際的な優良慣行を反映しました。基準と規範の定期的な審査により、その有効性を継続的に向上することを図っています。

Standards and Codes: The Role of the IMF

透明性基準

データの公表: IMFには、特別データ公表基準(SDDS)、特別データ公表基準プラス(SDDSプラス)、強化された一般データ公表システム(e-GDDS)があり、これらは共にIMFデータ基準イニシアティブを構成しています。同イニシアティブは、各国が自主的に、主要なマクロ経済データや金融データを適時に公表することを奨励するものです。各国のデータ品質を評価するために、IMFのデータ品質評価フレームワーク(DQAF)を使用しています。詳しい情報は、公表基準掲示板(DSBB)ウェブサイトでご覧いただけます。

財政政策の透明性: 財政政策の透明性の分野では、財政透明性評価(FTE)で、 財政透明性規範.に照らして各国を評価します。

中央銀行の透明性: IMFの中央銀行透明性規範(CBT)は、中央銀行の透明性慣行のための国際規範です。ガバナンス、政策、オペレーション、成果、公的関係の5つの分野における透明性を通じて、中央銀行の説明責任と政策有効性を強化することを目的としています。CBTウェブサイトに詳細を記載しています。

 

金融セクター基準

銀行監督: Bバーゼル銀行監督委員会の「実効的な銀行監督のためのコアとなる諸原則」

証券規制:証券監督者国際機構(IOSCO)の「証券規制の目的と原則」

危機の解決と預金保険: I国際預金保険協会の「実効的な預金保険制度のためのコアとなる諸原則」および、金融安定理事会の「金融機関の実効的な破綻処理の枠組みの主要な特性」。

保険監督:: 保険監督者国際機構の「保険基本原則」

金融市場インフラ:決済・市場インフラ委員会および証券監督者国際機構専門委員会の「金融市場インフラのための原則」。

Standards and codes IMF 

制度および市場インフラ基準

破綻・債権者の権利: 世界銀行の「実効的な破綻および債権者/債務者制度に関する原則」および国連国際商取引法委員会の「倒産法に関する立法ガイド」に基づく基準。同基準は、IMF職員との協議の下でまとめられました。

コーポレート・ガバナンス: G20/経済協力開発機構(OECD)の「コーポレート・ガバナンス原則」

会計・監査: 国際会計基準審議会の「国際財務報告基準」および国際監査・保証基準審議会の「国際監査基準」

市場のインテグリティ: 2012年の金融活動作業部会(FATF)による「資金洗浄およびテロ資金供与対策(AML/CFT)に関する40の勧告」。これらの勧告は、IMFのAML/CFTの取組みに向けて、IMF理事会の承認を受けています。随時、強化・更新しており、直近では仮想資産と受益所有権に関して強化・更新しています。IMFとFATFネットワークは、各国のAML/CFT枠組みとその有効性を評価するために、共通の手法を使用しています。

国際統計基準

IMFは国際的に合意した統計基準と手法について、世界的なリーダーシップを発揮しています。これらの基準は、産出、価格、政府債務、貨幣、外貨準備、貿易などのマクロ経済の概念を測定するための定義、分類、会計規則を提供します。

Standards and codes IMF

基準と規範の遵守状況の評価

各国は、自国の基準および規範の遵守状況について、IMF、世界銀行、またはその両方による評価を要請することができます。データ公表の分野では、データ基準イニシアティブの下でIMFが各国の実績を月単位でモニタリングし、SDDS加入国とSDDSプラス加入国については年次遵守状況報告書で公開します。データ品質と統計システムの評価は、「基準・規範の遵守状況に関する報告書(ROSC)」のデータ・モジュールで報告します。

金融セクターの規制と監督では、金融セクター評価プログラム(FSAP)において基準が評価される場合、結果をROSCに要約します。

財政政策の透明性の分野では、財政透明性評価(FTE)で、財政透明性規範に照らして各国を評価します。2023年3月末の時点で、さまざまな地域および所得水準の国を対象とした40件を超えるFTEを実施し、そのうち36件を公表しています。公表したFTEの一覧は、こちらのリンクでご覧いただけます:「財政透明性」(imf.org)

AML/CFTについては、FATFまたはFATFに準ずる地域機関が評価を実施します。FATFネットワークに参加する国は、定期的な評価を受けます。最初の評価は総合的なものであり、5年後に対象を絞ったフォローアップ評価が行われます。

各国は、基準の評価または審査からの推奨事項を実施する責任があり、多くの国々がそれを行う上で、IMFや他の国際機関の技術支援を要請します。

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前回の更新は 2023年3月でした