危機に立ち向かう 世界経済のために優先すべきこと
IMF News, April 9, 2020
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- Published: April 9, 2020
はじめに 他に類を見ない危機
- 新型コロナウイルスは「稲妻のようなスピード」で社会的・経済的秩序に混乱をもたらしている。
- ウイルス対策のための外出禁止令が何十億人もの人々に影響を及ぼし、通勤や通学、家族や友人との団欒がリスクとなっている。
- 医療関係者が昼夜を問わずウイルスと戦っており、科学者が解決策を発見すると期待される。
- IMFは「最も脆弱な人々を守り、経済を再活性化する上で役立つよう、国際社会が持つ力を駆使する」役割を有すると明示。
私たちが置かれている世界経済の現状
- 世界経済は非常に大きな不透明感に直面している。
- IMFは2020年の世界経済が「大幅なマイナス成長」に陥ることは明白で、経済への影響は「世界恐慌以来最悪」と予測。
- 「わずか3か月前」は、2020年に160以上の加盟国で1人あたり所得の伸びがプラスになると予測していたが、現時点では「今年は 170以上の国で1人あたり所得の伸びがマイナスになる」と見込んでいる。
- 封じ込め措置が小売業、ホスピタリティ産業、運輸業、観光業に甚大な影響を与えている。これらの産業従事者の大半は自営業者か中小企業の社員で、特にリスクにさらされている。
- 脆弱な国が経済危機の打撃を最も大きく受けると予測。アフリカとラテンアメリカの全域、アジアの大半の新興市場国と低所得国でリスクが大きい。
- 新興市場国からの資本流出はこの2か月間で「約1,000億ドル」に上り、これは世界金融危機時の同じ期間の額の「3倍」を超える。
- 多くの一次産品輸出国は一次産品価格の下落で二重の打撃を受け、国外からの送金は減少すると見られる。
- IMFは新興市場国と発展途上国が「何兆ドルもの対外資金調達を行う必要がある」と試算し、そのうち自力で確保できるのはごく一部で「残りの何千億ドルもの資金が不足」すると見込む。
- 前向きな動きとして、各国政府は迅速に行動し顕著な協調が見られる。IMFの「財政モニター」によれば世界各国で「 約8兆ドル」に上る財政措置が講じられている。
- 多くの国で大規模な金融政策措置がとられている。より貧しい国でも財政面・金融政策面で大胆な措置が講じられているが、動員可能な力は限られる。
何をなすべきか 4 つのポイント
- 優先事項は次の「4 つ」:
1. 医療・封じ込めの継続と医療制度支援
- 検査や医療機器のための医療支出を優先し、医師や看護師に報酬を支払い、病院や仮設診療所の稼働を確保する。
- 新興市場国や発展途上国では限られた公的資源を慎重に再配分する必要がある。
- サプライチェーンの寸断最小化と医療用品や食品の輸出制限の即刻停止を求める。
2. 大規模かつタイムリーで対象を絞った財政・金融政策措置で人や企業を保護
- 例:納税猶予、賃金補助、脆弱な人々への現金給付、失業保険・社会扶助の拡充、信用保証、融資条件の一時的調整。
- 家計と企業のライフラインを確保し、流動性の圧力が支払い能力の問題に変わるのを防ぐ。
3. 金融システムへのストレス軽減とリスク波及の回避
- 銀行は過去10年に資本と流動性を積み上げてきたが、急速に変化する環境で試される。
- 金融刺激策や流動性ファシリティが必要不可欠。主要中央銀行はスワップ取極を発動し、新たなスワップラインを設定。
- より多くの新興市場国に対する流動性強化が信頼を高め、さらなるストレス軽減につながる。
4. 回復フェーズへ向けた計画を現下の封じ込め段階で準備
- 制限緩和は感染症の収束状況を示す「明確な証拠」に基づいて慎重に検討。
- 企業が正常化し始める時には需要喚起のため迅速に行動し、協調的な財政刺激策が重要。
- 物価上昇率が依然低く、インフレ期待のアンカリングが安定的であれば金融政策は緩和的であり続けるべき。
- 財源と政策余地が大きい国はさらに多くを行い、財源に限りがある国はさらなる支援を必要とする。
総力を挙げる IMF
- IMFの対応:
- IMFは政策助言、技術支援、融資の提供を通じて加盟国支援に取り組んでいる。
- IMFは加盟国のために「全体で1兆ドルの融資財源」を有している。
- これまでに「約90の国」から緊急融資の問い合わせが寄せられており、この規模での緊急融資対応は「75年に及ぶIMFの歴史上で初めて」。
- IMF理事会は緊急融資制度の利用可能額を「倍増」することに合意。これにより必要性が見込まれる「 約1,000億ドル の融資が可能」となる。
- 既にキルギス共和国やルワンダ、マダガスカル、トーゴなどへの融資が承認されており、今後融資対象国は大きく増える見込み。
- IMFはツールキットの見直しを実施中。予防的クレジットラインの利用改善、短期流動性枠の新規設定、特別引出権(SDR)利用の検討を含む。
- 債務が持続不可能で融資できないかもしれない国に対しては「不可欠な資金供給を可能にする解決策」を模索。
- 低所得国向けに債務救済を提供するため、大災害抑制・救済基金(CCRT)の財源を「14 億ドルまで引き上げる」べくドナー国と取り組んでいる。
- IMFは世界銀行とともに、世界の最貧国について二国間債権国に対し「債務返済を停止するよう」呼びかけている。
終わりに 人類にとっての試練
- ヴィクトル・ユーゴーの言葉を引用:危機の時には「見知らぬ人同士の連帯に光があたる」。
- 共通の脅威が協力を促し、連帯、勇気、創造性、共感が重要。
- 危機の出口に立った時には強靭さが高まっていることを期待。
出典: IMFコミュニケーション局、スピーチ クリスタリナ・ゲオルギエバ、2020年4月9日