財政モニター 2019年10月
Fiscal Monitor, October 2019
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- 財政モニター 2019年10月
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- Published: October 10, 2019
要旨と問題意識
- 地球温暖化は海面上昇、沿岸洪水、極端気象、食糧供給の途絶などを通じて世界各地の生活水準を脅かしている。主要な原因は二酸化炭素(CO2)排出である。
- パリ協定で各国が約束した削減では、産業革命前からの気温上昇を摂氏2度以下にとどめるには不十分であり、各国の排出削減の実行状況も不透明である。
- 政策措置の遅れや不十分な実行は、大気中により多くのCO2を蓄積させ、気温安定化にかかるコストを増大させる。
気候変動を緩和する財政政策(分析と影響)
- 最も強力かつ効率的な手段として炭素税を主張。
- 炭素税は石油精製所、炭鉱、加工工場などの化石燃料供給に対して、炭素含有量に応じて課される税である。
- 炭素税が効率的なのは、企業や個人がエネルギー消費を減らし、よりクリーンな代替エネルギーに切り替える上でコスト最小の方法を見出すことを促進するためである。
- 家計負担の逆進性について
- 税負担が家計消費に占める割合は、国によって異なり、中国や米国などでは低所得世帯でやや大きくなる国もあるが、カナダやインドなどではほぼ同等かわずかに小さくなる国もある。
- 想定シナリオ(摂氏2度目標達成に向けた例)
- 即時導入され2030年には1トンあたり75ドルとなるよう急ピッチで引き上げられるグローバル炭素税を想定。
- このシナリオで、政策措置を何ら講じなかった場合をベースラインと比較すると、各世帯の電気代とガソリン代は今後10年間に累計・平均でそれぞれ45%、15%上昇することになる。
- こうした炭素税からG20参加国・地域が得られる歳入は2030年に平均でGDPの1.5%となる。
- 歳入の再分配と経済効率
- 歳入は低所得世帯支援、炭鉱地域など不釣り合いに大きな悪影響を受ける労働者やコミュニティへのサポート、他の税の減税、クリーンエネルギーやSDGs向け投資、財政赤字削減、全人口への均等な配当支払いなどに活用可能。
- カーボンプライシングを全人口への均等な配当と組み合わせた場合、低所得層には有利であるが、経済的効率は向上しない。
- 中間アプローチとして、最も貧しい40%の世帯および脆弱な労働者やコミュニティに補償し、歳入の残り4分の3を生産的投資や所得減税に充てることが提案されている。
- 健康・雇用への付加的便益
- 大気汚染による早期死亡数が減少するなど国内的な環境便益が直ちにもたらされる。
- G20参加国・地域で1トンあたり75ドルの炭素税を導入するだけでも、早逝する人の数が2030年に72万5,000人減ると考えられる。
- 再生可能エネルギー部門では、2017年に全世界で創出された雇用が既に1,100万に達している。
- 炭素税が実行不能な場合の代替手段
- 排出権取引制度(競売または割当後に排出権が売買される)は、同等の効果を発揮し得る(適用範囲が広ければ)。
- フィーベートや規制(排出率やエネルギー効率に関する基準)を用いることで、炭素税を用いた場合のCO2削減機会の3分の2を作り出すことが可能と試算される。
- ただし、フィーベートや規制を用いる場合は、必要な排出削減を完全に達成するにはより積極的な使用が必要で、既存生産プロセスに大きな混乱をもたらす可能性がある。
共通の未来のための国際協力
- 現状と課題
- 世界平均の炭素排出量価格は現在1トンあたり2ドルであり、摂氏2度以下に抑えるために必要なレベルには遠い。
- いくつかの先進国や新興市場国では既に炭素税や排出権取引制度が採用されているが、十分ではない。
- 提案される国際的措置
- 排出量が最も多い国々の間で炭素価格下限を取り決めることで、パリ協定プロセスを早期に強化することが可能。
- 最も排出量の多い3か国(中国、米国、インド)が参加すれば、3か国間の取決めだけで世界全体の排出量の半分以上を対象にできる可能性がある。
- 低所得国や新興市場国には下限を低めに設定したり、他国との排出量取引を許可したりする柔軟性を持たせる案が示されている。
- 異なる国内アプローチ(国内の排出権取引制度、フィーベート、規制など)を、検証手続きに合意した上で受け入れることができる。
- インフラ投資と政策の安定性
- 気温安定化目標達成は、エネルギー投資の総額を単純に大幅に増加させることを意味しないが、既存の投資を低炭素エネルギーへとシフトすることが緊急に必要である。
- 研究開発のインセンティブ、一時的な財政的インセンティブ、グリーン債券市場の整備など追加政策が求められる。
- 発電など長期投資を行う企業は将来の税や規制に関する政策に確信を持てる必要があり、政策当局は可能な限り長期にわたって気候変動緩和政策を固定すべきである。
政策提言(財務大臣・政策当局向け)
- 炭素税、または炭素税に準ずる政策に着手する。
- 補完的な税制措置や財政出動を通じて気候変動の緩和をより受け入れやすくする。
- クリーンテクノロジーへの投資に十分な予算を確保する。
- 各種戦略を国際的に調和させ、国際社会に向けた長期的な約束を行う。
- 歳入の再分配設計において、所得分布への影響と経済的効率を比較衡量する(例:最貧困40%への補償と残余の生産的投資の組合せなど)。
出典: 財政モニター 2019年10月
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