財政モニター 要旨
Fiscal Monitor, April 2020
Source details
- Canonical URL
- 財政モニター 要旨
Other formats
Bibliographic details
- Published: April 15, 2020
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と財政政策の役割
- COVID-19の世界的流行は、世界経済の見通しが低迷し、物価上昇率と名目金利も低いという状況のもとで発生した。
- パンデミックは人命を脅かし、GDPと財政への影響は甚大だと予測されている。
- 迅速かつ協調的な政府対応が求められ、その対応は保健危機の深刻さに見合ったものでなければならない。
- 財政ツールは主要な役割を果たす。人命を救うことが最優先課題であり、検査や治療に関する支出を十分に手当てする必要がある。
- 支出には国際協調が必要であり、医療能力が限られている国々に対する贈与や譲許的融資による支援や、全世界的に安価なワクチンの開発などが挙げられている。
- 社会的距離確保は国内外で集団防護の重要要素であるが、GDP低下や税収減を伴い、影響を受けた人々と企業を守る必要性が高まる。
被害緩和のための短期措置(対象・一時的かつタイムリーな対応)
- 被害を受けた人々や企業を守るための措置は「大規模」「タイムリー」「一時的」「対象を絞った」ことが重要。
- 例示される措置:
- 政府負担の病気休暇や家族休暇
- 給付
- 失業手当
- 賃金補助
- 納税猶予
- 企業に対する流動性支援(倒産リスク低減)
IDEASの枠組み(成長促進とマクロ経済ショックへの対応)
- 本章は政策当局向けに「IDEAS」という枠組みを概略提示している。
- IDEASの各要素:
- I: Invest for the future(未来への投資)— 医療システム、インフラ、低炭素技術、教育、研究への投資により生産性の伸びを高める。
- D: Discretionary policies(裁量的政策)— 入念に計画された裁量的政策の採択。
- EAS: Enhance Automatic Stabilizers(自動安定化装置の強化)— 累進課税や失業扶助など所得や消費を安定させる税制や社会給付制度を指す。
- この枠組みは景気後退や需要低迷に対応するための政策の参考となる。
- 各国政府は現在、社会的セーフティネットを拡充するなど自動安定化装置の強化に積極的に取り組んでいる。
- 同時に、活動停止が解除され、財政刺激策の有効性が高まり、財政余地を考慮して実行すべきだと判断された場合に備え、より包括的な投資計画や裁量的政策を準備しておくことが重要である。
国有企業(SOEs)の規模、役割、および課題
- ここ10年で世界最大規模の企業の間で国有企業の重要度は倍増した。
- 現在の資産規模は45兆ドルと、全体の20%を占める。
- 国有企業はほぼすべての国に存在し、ドイツ、イタリア、ロシアなどでは数千社に達する。
- 国有企業の存在感拡大の主因は、中国や他の新興市場国の台頭である。
- 国有企業は飲料水、公共交通機関(バスなど)、電力など基本的サービスを提供することが多い。
- 国立銀行のような国有企業は、新興市場国で一般家庭や農業従事者、小規模事業者への融資の重要な担い手となっている。
- 国有企業は「政府機関でも民間機関でもないハイブリッドな立場」であり、規模、業種、政府の責任の度合いにバラツキがあるため監視が行き届かないことがある。
- 多くの政府は、所有または支配する国有企業をすべて把握していない場合がある。
- 国有企業で重大な問題が発生すると、景気の減速や後退を招き、政府による大規模な救済が必要となるケースがある(G20諸国では近年ブラジルや南アフリカで事例あり)。
- 政府が自問すべき主要な点:
- 個々の国有企業が財やサービスを提供するのに最適な手段なのか。
- 国有企業が納税者の資金を有効活用していると保証するにはどうすればよいのか。
- 国有企業と民間企業を公平に競争させるにはどのような政策を実施すればよいのか。
出典: 財政モニター 要旨(2020年4月)
Content in this bundle
- 財政モニター, 2020年4月. 1. 要旨
- 財政モニター, 2020年4月. 2. 要旨
- 財政モニター, 2020年4月. 3. 要旨