2018年1月 世界経済見通し(WEO) 改訂見通し
World Economic Outlook, January 2018
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- 2018年1月 世界経済見通し(WEO) 改訂見通し
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- Published: January 22, 2018
概要
- 世界的に経済活動が安定的に拡大している。
- 2017年の世界経済成長率は3.7%と試算され、秋の予測より0.1%ポイント高い。
- 2018年と2019年の世界経済成長率予測はともに3.9%に上方修正(秋予測比0.2%ポイント上振れ)。
- 上方修正には、世界的な成長の勢いの強まりと、アメリカで承認された税制改革の影響が反映されている。
成長見通しと影響要因
- アメリカの税制改革の影響:
- 2020年までアメリカの実質GDPを累計で1.2%押し上げると予測される。
- アメリカの成長率予測は、2018年が2.3%から2.7%に、2019年が1.9%から2.5%に引き上げられた。
- 税制改革の一部が一時的な規定であるため、2022年以降数年間は成長を鈍化させる効果があると見られている。
- 上方修正分の約半分はアメリカの税制改革が国内GDPや貿易相手国のGDPに与える効果に由来。
- 需要と投資:
- 2017年には世界GDPの4分の3を占める約120カ国で成長率が前年を上回った。
- 世界貿易は最近数カ月で力強く拡大、先進国での投資増やアジアでの製造業生産増が牽引。
- 購買担当者景気指数は製造業の今後の堅調を示唆。
- 商品価格とインフレ:
- 原油価格は8月から2017年中旬までに約20%上昇し、1バレルあたり60ドルを超えた。
- 中期先物価格は12月中旬時点で1バレルあたり約54ドルで、8月よりわずかに上昇。
- 燃料価格上昇で先進国のCPIが上昇する一方、賃金とコアCPIは伸び悩む。
- 新興市場国ではCPIとコアCPIが過去数カ月でわずかに上昇。
金融市場、為替、資本フロー
- 金利・債券市場:
- 米連邦準備制度が12月に政策金利を引き上げることが確実視され、市場の利上げ観測が8月以降高まった。
- 債券市場は目立った反応を示しておらず、短期金利が長期金利よりも上昇幅が大きく、利回り曲線はフラット化の傾向。
- 株式市場:
- 先進国で株価は回復。新興市場国の株式市場指数は8月以降さらに高まった。
- 為替相場:
- 実質実効為替レートで米ドルとユーロは2017年8月の水準に近い(2018年1月上旬時点)。
- 日本円は金利差拡大に伴い5%の円安。
- 英ポンドは約4%のポンド高。
- 中国人民元は約2%の元高。
- マレーシア・リンギットは約7%反発、南アフリカ・ランドは約6%反発。
- メキシコ・ペソは7%のペソ安、トルコ・リラは4.5%のリラ安。
- 資本フロー:
- 2017年第3四半期にかけて新興市場国への資本移動は活発で、非居住者による証券投資は堅調。
地域別見通し(主要ポイント)
- 先進国:
- 2018年と2019年ともに成長率は2%を超える見込み。特にドイツ、日本、韓国、アメリカで顕著な上振れ。
- 日本の成長率は2018年と2019年ともに上方修正。
- 新興市場国・発展途上国:
- グループ全体の2018年と2019年の成長率予測に変化はないが、地域差が存在。
- アジア新興市場・発展途上国の2018-19年成長率は約6.5%(2017年とほぼ同水準)。
- ヨーロッパ新興市場・発展途上国は2017年に5%超の成長を記録し、2018-19年も活動が活発化。
- ラテンアメリカ: 2018年は1.9%、2019年は2.6%(2019年は秋見通し比0.2%ポイント上方修正)。
- 中東・北アフリカ・アフガニスタン・パキスタン地域は成長率約3.5%。
- サブサハラ・アフリカは2017年2.7%から、2018年3.3%、2019年3.5%に上昇。
- CIS諸国は今年・来年ともに2%を超える成長が予測。
- 南アフリカは2018-19年に1%未満の成長と予測。
リスク(上振れ・下振れ)
- 短期的リスクは上振れと下振れで概ね均衡。
- 中期的には下振れリスクが大きい。
- 上振れシナリオ:
- 経済活動の活発化と緩和的金融環境が互いに補強し合うことで短期的な加速が発生する可能性。
- 下振れシナリオ:
- 資産バリュエーションの高騰やタームプレミアムの縮小により金融市場で修正が発生すると、成長とセンチメントが損なわれる可能性。
- アメリカでのインフレ加速により金融政策の引き締めが速まれば、タームプレミアム上昇、ドル高、株価下落を通じて世界的な金融環境の引き締めが発生し得る。
- 税制改革に対する投資反応がベースラインよりも控えめに終わる可能性。
- 内向き志向の政策、地政学的緊張、複数国での政治的不確実性。
- 中長期的懸念:
- 金融環境が緩和的に続くことで金融脆弱性が蓄積されるリスク。
- 非経済的要因(地政学的緊張、異常気象、移民流動)による影響。
金融脆弱性の蓄積
- 低金利・低ボラティリティが長期化すると、投資家はよりリスクの高い資産へエクスポージャーを拡大し、脆弱性が中期的に蓄積される懸念がある。
- 先進国の債券指標では投資格付けの低い企業の割合が顕著に増加。
- 新興市場の一部では非金融企業の債務が急増している国もあり政策対応が必要。
- 中国当局は銀行以外の金融仲介に対する規制を厳格化し、初歩的対応を行っている。
政策提言(優先課題)
- 共通の政策目標:
- 潜在的GDP成長率を高めるための構造改革(生産性向上、労働参加率向上)。
- 経済成長の恩恵を広く分配する施策。
- 金融規制強化、必要に応じたバランスシート修復、財政バッファーの強化によるレジリエンス向上。
- 先進国向け:
- 金融政策正常化はデータ依拠で慎重に進めるべき。
- 財政政策は中期的目標に照準を合わせ、潜在成長率を押し上げる公共投資や労働参加率向上策を重視。
- 財政健全化が必要な国では成長を大きく損なわない調整のペースが求められる。
- 新興市場国向け:
- 為替レートの柔軟性確保、財政バッファーの再構築、構造改革を継続。
- 一次産品依存国では現在の上昇局面に安易に政策を後回しにしないこと。
- 低所得国向け:
- 税基拡大・歳入確保・債務管理改善・不適切な補助金縮小を優先。
- インフラ・医療・教育への支出による潜在成長率向上。
- マクロプルーデンス枠組みや為替柔軟性の強化で脆弱性を低減。
- 多国間協力の強化(優先分野の例):
- 金融規制改革アジェンダの継続。
- 税制・労働基準・環境基準での激しい「底辺への競争」を回避。
- ルールに基づく多国間貿易枠組みの近代化。
- 世界的な金融セーフティネットの強化。
- コルレス銀行関係の維持、国境を超えた資金洗浄・組織犯罪・テロリズムの抑制。
- 気候変動への緩和策・適合策の実施。
Source: 2018年1月 世界経済見通し(WEO) 改訂見通し (IMF)
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