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第 53回国際通貨金融委員会(IMFC)議長声明(仮訳)
2026年4月17日
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IMFコミュニケーション局
メディア・リレーションズ
プレスオフィサー:
電話:+1 202 623-7100Eメール: MEDIA@IMF.org
世界経済は、過去数年間にわたり、中東における新たなものを含む、戦争及び紛争を含む度重なるショックに試されてきた。これらの人道的影響に加え、経済的な影響は世界全体に及び、最も貧しく脆弱な人々にまたしても最も大きな打撃を与える。こうした事態は、政策余地が縮小し、国際協調が弱まる中で生じている。適切な政策対応は、ショックが国内経済にどのように伝播するかに左右され、信頼に足る枠組みと国際協調に裏打ちされた、適時かつ順応性のある政策が求められる。持続可能な成長及び長期的安定のためには、戦争と紛争を終結させ、世界における恒久的な平和を確保することが依然として不可欠である。
IMFCメンバーは、以下の文言に合意した。
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1.世界経済は、戦争及び紛争を含む度重なるショックにもかかわらず、過去数年間にわたり底堅さを維持してきた。中東における紛争は、大規模で新たな世界的ショックであり、その経済的影響は、戦争の期間、強度、地理的拡大の程度に左右される。しかし、供給の安全性を高めるための輸送ルートの変更を含む、エネルギー供給の維持のための顕著な努力にもかかわらず、これまでのインフラ被害や輸送の混乱から、世界経済に深刻な脅威をもたらしていることは既に明白である。ショックの影響は国によって大きな非対称性を有し、最も貧しく脆弱な人々に最も大きな打撃を与える。戦争が長期化する場合、燃料・肥料価格の長期間の高止まりや主要原材料の供給を巡る混乱、エネルギー・食料安全保障、世界経済の成長、インフレ及び対外収支に対するリスクの増幅につながり得る。金融環境のタイト化や金融安定への潜在的なスピルオーバーは、先行きの一層の重荷となる可能性がある。同時に、世界は、技術、人口動態、気候関連リスクの面で大きな構造変化の途上にある。これらの変化は、経済を再構成してその適応能力を試しており、重大なリスクと機会の双方をもたらしている。
2.不確実性が高い環境の下、我々の優先事項は、適時かつ柔軟で信頼に足る政策、効果的な政策協調、多国間協力を通じて、力強く幅広い成長を実現しながら、マクロ経済及び金融の安定を強化することである。中央銀行は引き続き、それぞれのマンデートと整合的に、物価の安定を維持することに強くコミットしている。中央銀行の独立性と明確なコミュニケーションは、政策の信頼性とインフレ期待の安定維持のため、引き続き不可欠である。財政政策は、債務の持続可能性を確保するため、適切に調整され、信頼に足る中期的枠組みで支えられるべきである。政策行動が必要かつ財政余地がある場合には、特に最も脆弱な人々を保護するために、一時的かつ的を絞った措置が新たなショックへの対応の助けとなり得る。我々は引き続き、金融と技術のイノベーションの恩恵を活用しながら、AI、ノンバンク金融機関、デジタル資産に起因するシステミックリスクに関するサーベイランスの強化などにより、国際基準を遵守しつつ、金融の脆弱性と金融の安定に対するリスクを注意深く監視し、対処する。我々は、民間主導の投資を可能にし、生産性を高め、エネルギー安全保障を確保し、中期的な成長見通しを高めるための構造改革を推進する。我々は、グローバル課題に対処し、国際通貨システムの安定と効果的な機能を確保するため、協力し続ける。我々は、公正で開かれた世界経済を支えるべく、各国固有の改革や多国間の協調を通じて、過度なグローバル・インバランスと貿易を巡る緊張に対処し、より強靭なサプライチェーンを構築するために協働する。我々は、2021年4月の為替相場についてのコミットメントを再確認する。
3.我々は、専務理事のグローバル政策アジェンダを歓迎する。我々は、現下の困難な環境の舵取りの助けとなっている、IMFが果たす重要な役割を強調するとともに、IMFが他の関連機関と緊密に連携しつつ、必要に応じて、状況に合わせた政策提言、能力開発、資金支援を通じ加盟国を積極的に支援していることを歓迎する。
4.我々は、脆弱で紛争の影響を受けた国や小規模開発途上国を含む低所得国や脆弱国、特に債務と資金圧力が高まっている国に対し、特別な注意を払いつつ、健全なマクロ経済政策、国内資金動員、よりよいガバナンス等を通じて、安定と成長の促進に向けた各国の努力を引き続き支援する。我々は、「共通枠組」の下での取組を含めた債務再編プロセスに関し既に達成した内容をさらに発展させる形で一層の改善を行うことや、債務再編が予測可能で、適時に、秩序立ち、かつ連携した方法で実施されることを確保するための「公的債務に係るグローバルラウンドテーブル」(GSDR)における作業を前進させることに引き続きコミットする。我々は、アップデートされたGSDRの「債務再編プレイブック」を歓迎する。我々は、民間債権者を含む全ての利害関係者に債務透明性の向上を求める。我々は、IMF及び世界銀行による「3本柱のアプローチ」の実施を加速させることにより、持続可能な債務と、改革・成長を促進させる強固なアジェンダを有しつつも、短期的な資金繰り課題に直面している国々に対する支援を増やしていくことを奨励する。我々は、「低所得国向け債務持続可能性枠組み(LIC-DSF)」の見直しの完了に期待する。我々は、「貧困削減・成長トラスト」の自立的な融資能力を確保するための追加的な利子補給金に関する保証をまだ提供していない加盟国に対し、これを提供するよう求める。
5.我々は、サーベイランスの焦点を、分析の精緻さ、公平さ、状況に応じた政策提言といった観点からさらに磨くことを支援する。我々は、将来のサーベイランスの優先事項を定める「包括的サーベイランスレビュー」と、焦点を絞り、リスクベースかつ費用対効果の高いやり方で、マクロ金融サーベイランスを強化する「金融セクター評価プログラム(FSAP)のレビュー」の完了を期待する。我々は、対外セクター課題の二国間サーベイランスへの一層の統合、現在進行中の対外バランス評価手法の精緻化、「グローバル・インバランスに関する理解」と題する文書、また、資本フローとストック不均衡やグローバルな金融安定への含意に関する計画中の分析を含む、グローバル・インバランスに関するIMFの多角的な取組を歓迎する。
6.我々は、IMFの融資枠組みを強化するための現在進行中の取組を支持するとともに、プログラムの有効性を高めるための「プログラムデザインとコンディショナリティ(ROC)のレビュー」の完了に期待する。また、金融政策や為替政策の設計時に考慮すべき点をさらに改善するための、「危機に直面する、或いは瀕した国のための金融政策枠組み」に関する現在進行中の作業を支持する。
7.我々は、能力開発(CD)について、2024年4月の能力開発戦略の見直しをさらに発展させ、政策提言やプログラムデザインとの統合、CD資金の持続可能性確保を通じ、継続的な支援を維持するためのドナー貢献を正当に評価しつつ、これを強化することを支持する。
8.我々は「クォータ・ガバナンス改革に関するディリヤ指導原則」を承認する。これは、加盟国全体による重要な共同の成果であり、IMFのガバナンス改革に関するアジェンダにおける重要な節目である。我々は、IMFC代理、IMF理事会、マネジメント及び職員による議論と尽力に謝意を表する。本原則は、「第17次クォータ一般見直し」も含め、クォータ・ガバナンス改革に関する将来の議論を導くための指針として機能する。我々は、グローバル金融セーフティ・ネットの中心にあり、強固で、クォータを基礎とし、かつ、十分な資金基盤を有するIMFへの我々のコミットメントを再確認する。我々は、「第16次クォータ一般見直し」の下でのクォータ増資への同意に係る国内承認を更なる遅滞なく完了することを期待する。
9.我々は、効率性向上及び加盟国に対する最良の価値提供のための、IMFにおける進行中の業務効率化の取組を歓迎する。我々は、スタッフの、IMFの能力本位の制度の下での質の高い取組と献身への感謝を改めて強調するとともに、スタッフの地位における地域的なあるいは女性の代表性、また、理事会や理事会の指導的な地位における女性の代表性を向上するための更なる努力を奨励する。
10.次回IMFC会合は、2026年10月にタイ・バンコクで開催される予定である。
IMFクォータ・ガバナンス改革に関するディリヤ指導原則
前文
背景:
1.IMFは、グローバル金融セーフティ・ネット(GFSN)の中心にあり、強固で、クォータを基礎とし、かつ十分な資金基盤を有する機関であり続けなければならない。
2.IMFにおける発言権と代表性は、権利と責任の双方を伴うものであり、これにはIMFへのコミットメントや効果的な支援、また、IMF協定に定められた目的の推進を含む。
3.クォータ・ガバナンス改革は、IMFの正当性、代表性及び有効性、財務・業務上の健全性、並びに加盟国間の合意形成と協力を促進する能力を支えると同時に、効率的な協議及び意思決定プロセスを確保するものでなければならない。
4.クォータ・ガバナンス改革は、現実的かつ段階的で、透明性と包摂性を持ち、広く受け入れられ、加盟国全体の利益を反映しなければならない。クォータ・ガバナンス改革に関する議論及び決定は、引き続き、IMFの統治基盤に確実に根差した形で行われなければならない。
5.クォータ一般見直しは、IMF資金の十分性及び加盟国間のクォータ・シェアの配分を見直す機会を提供する。クォータ全体の調整においては、IMFがマンデートを果たし、加盟国のニーズに応え得るような資金の水準及び構成を確保しなければならない。クォータ・シェアの調整は、2008年に合意された4つの原則に裏付けられたクォータ計算式に引き続き従いつつ、加盟国が妥当と考えるその他の考慮要素と組み合わせて行われるべきである。また、本調整は、加盟国の世界経済に占める相対的な地位をより良く反映させ、代表性に関するギャップを縮小し、最も貧しい加盟国のクォータ・シェアを守り、いかなる一度のクォータ見直しにおいても、個別の加盟国のクォータ・シェアに過度な変化―増加、減少どちらであっても―が生じることを避けながら、定期的かつ適時に実施しなければならない。
6.理事会及びIMFCの規模と構成に関するいかなる進展も、地域バランスを確保し、最も貧しい加盟国の代表性を保護すべきである。2025年の理事会及びIMFCが参照基準となるべきである。
7.専務理事の選任プロセスは、開かれた、包摂的で、能力本位かつ透明性のある手続を維持すべきである。
8.完了した見直し及び合意した改革から生じる、クォータやガバナンスに関する全てのコミットメントは、全ての加盟国によって適時に履行されなければならない。
国際通貨金融委員会
参加者一覧
2026年04月17日(金) ワシントンDC
議長
ムハンマド・アルジャドアーン、財務大臣、サウジアラビア王国
専務理事
クリスタリナ・ゲオルギエバ
委員会
アイマン・アルサヤリ、総裁、サウジアラビア中央銀行(ムハンマド・アルジャドアーン、財務大臣、サウジアラビア王国 ― 代理)
ムハンマド・ビン・ハディ・アル・フッセイニ、財務大臣、アラブ首長国連邦
スコット・ベッセント、財務長官、アメリカ合衆国
フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ、財務・歳入大臣、カナダ
ロサンナ・コスタ、総裁、チリ中央銀行
カルロス・クエルポ、第一副首相兼経済・通商・企業大臣、スペイン
ダリオ・ドゥリガン、財務大臣、ブラジル
アデバヨ・オラワリ・イーデン、財務大臣兼経済担当調整大臣、ナイジェリア連邦共和国
ジャンカルロ・ジョルゲッティ、経済・財務大臣、イタリア
エールコ・ハイネン、財務大臣、オランダ
アブドル・ラシード・ガフォール、総裁、マレーシア国立銀行(アンワル・イブラヒム、首相兼財務大臣、マレーシア ― 代理)
片山さつき、財務大臣、日本
カリン・ケラー=ズッター、財務大臣、スイス連邦
レセチャ・クガニャゴ、総裁、南アフリカ準備銀行
ラース・クリングバイル、財務大臣、ドイツ連邦共和国
具潤哲(ク・ユンチョル)、副首相兼財政経済部長官、大韓民国
モハメッド・ラミン・レブー、総裁、アルジェリア中央銀行
ロラン・レスキュール、経済・財務・産業主権・エネルギー主権・デジタル主権大臣、フランス共和国
ルイ=ポール・モタゼ、財務大臣、カメルーン共和国
潘功勝、総裁、中国人民銀行
レイチェル・リーブス、財務大臣、英国
イワン・チェベスコフ、財務副大臣、ロシア連邦(アントン・シルアノフ、財務大臣、ロシア連邦 ― 代理)
サンジャイ・マルホトラ、総裁、インド準備銀行(ニルマラ・シタラマン、財務大臣、インド ― 代理)
メフメト・シムシェキ、国庫・財務大臣、トルコ共和国
クリスチャン・ケッテル・トムセン、総裁兼理事会議長、デンマーク国立銀行
オブザーバー
パブロ・エルナンデス・デコス、総支配人、国際決済銀行(BIS)
エリサベト・スヴァントソン、議長、合同開発委員会、及び財務大臣、スウェーデン
クリスティーヌ・ラガルド、総裁、欧州中央銀行(ECB)
ヴァルディス・ドムブロフスキス、経済・生産性担当委員、欧州委員会(EC)
アンドリュー・ベイリー、議長、金融安定理事会 (FSB)及び総裁、イングランド銀行
アレクサンダー・デ・クロー、国連開発計画(UNDP)総裁、国際連合
ペドロ・マヌエル・モレノ、事務局長代行、国連貿易開発会議 (UNCTAD)
アジェイ・バンガ、総裁、世界銀行(WB)グループ
ンゴジ・オコンジョ・イウェアラ、事務局長、世界貿易機関 (WTO)