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なぜ、歳入を増やすことが開発に不可欠なのか
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記事やその他書物の見解は著者のものであり、必ずしもIMFの方針を反映しているとは限りません。
すべての政府が資金を必要とする。道路を建設し、学校に人員を配置し、病院に物資を供給し、裁判所の運営資金を提供し、公共の安全を確保しなければならない。これらの公共財とサービスは、適切に機能するすべての経済と社会の支柱である。政府は借り入れたり国外からの援助を受けたりすることもできるが、最も持続可能な資金源は課税である。
しかし、税収を増やすことは、単なる技術的な取り組みではない。政府はデリケートなバランスを取らなければならない。一方では、歳入は公共サービスの財源を確保し、公的義務を果たすのに十分でなければならない。他方、税率が高すぎたり、税制設計に欠陥があったり、管理が良くなかったりすると、投資やイノベーション、経済成長を阻害しかねない。
このバランスをとる行為はより難しくなっている。今日、支出ニーズが高まっているにもかかわらず、多くの国で公的債務と財政赤字が膨らんでいる。高齢化が進み、貧困が依然として懸念事項であるほか、教育と医療、デジタルインフラ、気候変動への耐性に投資する圧力が高まっている。そのためにはより多くの公的資源が必要となるが、成長を妨げずに歳入を増やすことは大変な課題である。
各国が、持続可能で、効率的、かつ公平な税制を通じて公的資金を確保しようとする取り組みを「国内歳入動員」と言う。国内歳入動員は、政府が優先課題の財源を調達し、国外からの援助への依存を減らし、ショックに効果的に対応できるかを決めるため、開発の中核を成す。
国内歳入動員は非常に政治的である。誰が、いくら、どのような形で税金を払うかについての決定は、国家と国民の間の社会契約の核心に触れる。納税を好む者はほとんどいないため、改革は、健全な経済設計だけでなく、慎重な政治運営も必要である。最終的に、成功を左右するのは信頼であり、つまり、税制が公正であり、政府が歳入を公共の利益のために賢く使うという信頼にかかっている。これが課税の芸術である。
研究によると、各国にとって有用なベンチマークは、対GDP比で最低15%の税収を生み出すことである。この水準を下回ると、政府の有効性、金融の発展、経済成長が停滞する。しかし、今日、発展途上国の70か国超において、税収が対GDP比で15%未満である。これでは開発が限られ、政府は経済ショックに対して脆弱な状態となる。
朗報は、多くの発展途上国が、未開拓の歳入ポテンシャルを秘めていることだ。適切に設計された税制改革を通じて、GDPの4〜5%を追加で調達できると試算されている。ジャマイカ、モルディブ、モロッコ、ネパール、ルワンダ、ウズベキスタンなどの最近の事例は、困難な状況下でも目に見える進展を実現できることを示している。
各国は時間が経つにつれて、対象が狭く歪みを生じさせるような税から、より広範で効率的な税へと移行していく傾向がある。歴史的に、関税などの貿易税は、国境での徴収が比較的容易であったため、発展途上国にとって重要な歳入源だった。20世紀半ば以降、貿易税は、グローバル化と貿易自由化のおかげで世界中で減ったが、多くの発展途上国では依然として、税収の約4分の1を占めている。しかし、関税に過度に依存すると、貿易が妨げられ、消費者物価が上昇し、経済の統合が遅れ得る。
現代の税制は、消費と所得、富に対する課税に大きく依存している。付加価値税(VAT)は、世界中の歳入制度の主力な税収源であり、多くの低中所得国においても全税収の3分の1以上を占める。VATは、企業が投入物への税金を控除できるようにしつつ、消費に対して幅広く課税するものであり、サプライチェーンへの連鎖的な影響を軽減することから、比較的効率的である。
VATは、たばこやアルコールなどの社会的コストとなる財や、化石燃料の燃焼などの環境に有害な活動に課す物品税によって補完されることが多い。こうした税金は合わせて、歳入を増やすとともに、公衆衛生や環境面での成果を改善することができる。
発展途上国では、法人税も重要な役割を果たしており、特に大企業や多国籍企業の利益に課税する手段として有用である。しかし、国際的な税競争や、企業が利益を低税率の管轄区域に移す利益移転を背景に、法人税は圧力にさらされている。こうした結果、法人税改革はますます複雑になり、国際的な協調の必要性が浮き彫りになっている。
対照的に、発展途上国では一般的に、個人所得税は比較的小さな税収源だ。これは、少数の中産階級、大きなインフォーマルセクター、自営業の多さ、限られたフォーマル金融部門など、いくつかの構造的要因を反映している。それでも尚、前進はできる。例えばアフリカでは、2000年以降、個人所得税の税収が対GDP比で約 2倍になっている。高所得者ほど所得のより大きな割合を税金で支払うことになるため、こうした税の強化は、歳入だけでなく、累進性の促進にとっても重要である。
最後に、土地と不動産に対する固定資産税は、大半の発展途上国で、依然として十分に活用されていない。こうした税金は回避が難しく、地方自治体の歳入を増やす上で特に効果的であり得る。しかし、固定資産税はしばしば政治的反対や、更新されていない財産登記などの管理上の課題に直面する。
優れた税設計は、経済の歪みや格差を最小化しつつ歳入を増やすことを目的とする。中心的な原則は中立性である。つまり、税金は、仕事や貯蓄、投資、消費に関する経済的な決定に極力影響しないべきである。実際面では通常、広範な課税ベースと適度な税率を組み合わせることを指す。
しかし、大半の税制がこの理想の状態から逸脱している。各国政府は頻繁に、免除や控除、軽減税率、特例を導入する。これらを総称して租税支出と言う。こうした税制の中には正当な政策目標を支えるものもあるが、租税支出の累積コストはかなりの額となることが多く、多くの国でGDPの3〜4% (徴税の約4分の1)に上る。
すべての租税支出が有害というわけではない。中小企業の税制を簡素化することで、コンプライアンスコストを削減できる。低技能労働者に対象を絞った減税は、雇用促進に役立つ可能性がある。しかし、慎重に評価せずに税制上の優遇措置が急増すると、問題になる。免税の設計が不十分だと、歪みが生じ、公平性が損なわれ、複雑さが増す恐れがある。その結果、政府の税金の管理が難しくなり、納税者にとっても税金回避がしやくなる。
定期的な見直しと透明性が不可欠だ。政府は、それぞれの税制優遇措置がそれぞれ意図した目的を達成しているか、また、それが最も効果的な手段であるかどうかを問わなければならない。
どんなに優れた租税政策も、効果的に実施できなければ失敗に終わる。管理が弱いと、歳入が減り、公平性が損なわれ、投資に打撃となり、制度への信頼が失われる恐れがある。
多くの発展途上国では、行政能力が限られていることや、企業や労働者が課税対象として登録されていないインフォーマルセクターが大きいことが悩みの種だ。税務コンプライアンス違反は大きな課題であり、VATの損失だけでも発展途上国は平均で対GDP比約3%を失っている。
しかし、多くのインフォーマル事業者の収入は少なすぎて納税義務が発生しないため、納税者登録を無差別に拡大することは効果的でない場合が多い。より成功した戦略としては、雇用主や銀行などの大規模な仲介機関によって源泉徴収されたものを保留したり、高リスク納税者に重点を置いたリスクベースの監査をしたりするほか、電子ファイリング・決済、リアルタイムの請求、データ分析などのデジタル化が挙げられる。人工知能の活用を含むデジタル技術の進歩によって、コンプライアンスを改善し、行政コストを削減するための強力なツールにアクセスできることとなる。
明確でシンプルな税法も重要だ。複雑な税法、および頻繁な法改正は、不確実性の源となり、汚職の機会を与えてしまう。多くの国では、税務行政の基礎(スキルの高い職員への投資、近代的な組織体制、強力なガバナンス)を強化することが依然として必要だ。
さまざまな国の経験から、大きく3つの教訓が得られる。
まず、システムを考える。税金の水準、組み合わせ、設計、行政は密接に関連している。行政を強化せずに新たな税を導入するといった単独の改革は、長期的な成果を生むことはめったにない。
第2に、粘り強さ。徴税能力の構築には時間がかかる。源泉徴収や物価スライド制などの手段を通じて迅速な利益を得ることはできるが、持続可能な改善には多くの場合、何年もの一貫した努力が必要である。成功を収めた国々は、徐々に改善してきた経緯があり、いくつもの政治サイクルを通して改革の勢いを維持した。政策の不安定性や危機によって進歩は容易に逆転しかねない。
第3に、国際協力は役立つが、それだけでは十分でない。情報交換や租税条約、法人課税に関する国際的な協定は、統合が進む世界においては特に、価値がある。しかし、強力な国内制度の代わりとなることはできない。国際的な解決策への期待が高過ぎると、本質的な国内改革から注意が逸れてしまう恐れがある。
国内歳入動員とは、本質的には国民の信頼に関するものである。人々が税制について、恣意的または腐敗していると見なすと、コンプライアンスが低下する。税制を、学校や病院、インフラ、社会保障への資金提供といった、皆で共有する繁栄への貢献と見なすと、支持が拡大する。この信頼を強化することは、おそらく国内歳入動員の最も難しく、最も重要な部分である。
透明性、説明責任、明確なコミュニケーションが不可欠となる。結局のところ、税金を払うことは、個人の富を失うように感じるのではなく、皆で共有する未来に投資するように感じるものであるべきだ。そうして初めて、国内歳入動員が持続可能な開発の基盤としての約束を果たすことができる。