IMFの概要

2021年3月3日

国際通貨基金(IMF)は、国際金融の安定を促進し、国際通貨協力を推進しています。また、国際貿易や雇用、持続的な経済成長を促進し、貧困削減に貢献しています。IMFは、加盟国190か国によって運営され、加盟国政府に対して責任を負っています。

IMF

IMF設立の経緯と機関の役割

IMFは、19447月にアメリカ合衆国のニューハンプシャー州ブレトン・ウッズで行われた国際連合の会議にてその設立が提案されました。会議に出席した44か国は、国際経済協力の枠組みの構築と、1930年代の世界恐慌の一因となった通貨切り下げ競争の再発回避を目指しました。IMFが担う一番重要な役割は、国際通貨制度の安定性を確保することです。国際通貨制度とは、世界の国々や人々が相互に取引を行う上で不可欠な為替相場制度や多国間決済制度を指します。

サーベイランス

国際通貨制度の安定性を維持し、危機を防止するために、IMFは各加盟国の政策や、国、地域、世界の経済や金融の動向を、サーベイランス(政策監視)と呼ばれる制度を通じてモニタリングしています。IMFは加盟国に対し政策助言を行い、経済の安定性強化、経済危機や金融危機に対する脆弱性の軽減、さらには生活水準の向上を目指す政策を推奨します。またIMFは、世界の見通しについて「世界経済見通し(World Economic Outlook)」で、金融市場に関して「国際金融安定性報告書(Global Financial Stability Report)」で、国家財政の動向は「財政モニター(Fiscal Monitor)」で、そして主要経済国の対外資金ポジションについて「対外セクター報告書(External Sector Report)」で定期的に分析を行っており、また一連の地域経済見通しも発表しています。

IMFの政策助言

融資による支援

国際収支の問題が生じている加盟国、また、生じる可能性がある加盟国に融資を提供することは、IMFの根幹をなす役割です。当該政府当局は、IMFとの密接な協力の下、IMFが融資によって支援する調整プログラムの計画立案を行い、これらプログラムの効果的な実施に基づいて融資支援の継続可否が判断されます。世界経済危機を受けて、IMF20094月に融資能力を強化し、金融支援メカニズムの大幅な見直しを承認し、その後の数年間にさらなる改革を採択しました。こうした改革によってIMFの危機予防手段が拡充され、システミックな危機の発生時に伝播を緩和するIMFの能力が向上し、また、各加盟国の個別ニーズに応えるために各種制度をさらに調整できるようになりました。

コロナ禍対策として、IMFは緊急融資制度の下での融資利用限度と非譲許的な資金の下で設定されている融資枠の年次の合計利用限度を一時的に引き上げました。くわえて、IMFは政策枠組みやファンダメンタルズが非常に強固である加盟国のために安全策として短期流動性枠(SLL)を設定しました。 

IMFの金融支援

低所得国が活用できる融資財源が2009年と、より最近では20203月以降に急拡大しました。後者については、コロナ禍による譲許的融資への前例なき需要を受けての対応です。IMFの譲許的融資制度の下で設定されている上限の平均は2009年に倍増しましたが、第14次見直しの効力が発する条件(下記参照)が満たされた2016年に見直しが行われ、さらに引き上げられました。そして、2019年には利用可能な融資枠の重要性低下を避け、IMFプログラムへの潜在的な資金貢献を保持するために3分の1の増額が行われました。貧困削減・成長トラスト(PRGT)による融資の年間利用限度はコロナ禍を受けて202146日まで一時的に引き上げられています。くわえて、譲許的融資のゼロ金利20216月末まで延長され、緊急融資の金利は恒久的にゼロに設定されています。大災害抑制・救済基金(CCRT)は最も貧しく脆弱な加盟国を対象として債務返済猶予を提供できるように変更が加えられました。最後に、新型コロナウイルス流行とそれに付随する経済ショックが原因で発生している譲許的融資の需要を受けて、1,690SDRの追加融資財源(発効したものと約束されたものを合計)が確保されました。過去に利用できるようになった財源と合わせて、貧困削減・成長トラストへの融資が現行の方針に基づいて設定された融資枠に必要な資金を2024年まで提供可能だと見込まれています。

能力開発

加盟国がより良い経済制度を構築し、関連分野で人的能力を強化できるように、IMF技術支援と研修を提供し支援を行っています。こうした支援は、例えば、税制や行政、歳出管理、金融政策、為替政策、銀行・金融システムの監督と規制、法的な枠組みや統計などの分野で、より良い政策を設計し実行するために提供されます。

IMFは加盟国と協力し経済政策と制度の近代化にとりくむ

特別引出権(SDR

IMFは加盟国の準備資産を補完する手段として、特別引出権(SDRと呼ばれる国際準備資産を特別引出権会計に参加している国々(現時点ではIMFの全加盟国)に配分します。SDR一般配分は、準備資産に対する世界の長期的なニーズを満たす目的との整合性を保つべきで、加盟国が持つ総議決権の85%以上となる大多数による総務会の承認が必要となります。合意が得られた場合には、SDRIMF加盟国の間で各国のクォータ(出資割当額)の比率に従って配分されます。現在、世界のSDR配分の総額は、約2,042SDR(約2,930億ドル)に達しています。SDRは加盟国間で任意に通貨と交換することも可能です。

財源

IMFの主な財源は加盟国のクォータであり、それは各加盟国の規模や世界経済における地位を概ね反映しています。IMFは定期的にクォータの一般見直しを行っていますが、2010年に行われた第14次見直しが2016年に発効しました。この見直しの結果、クォータ財源は2倍となり、総額は約4,770SDR(約6,870億ドル)となっています。2020年に完了した第15次見直しではクォータの引き上げは行われませんでした。

クォータ財源に加えて、IMFと一部加盟国や諸機関の間で信用取極が締結されており、これはクォータを補完する財源となっています。これらの信用取極は新規借入取極(NAB)と呼ばれ、クォータを補う財源として一番重要です。2020116日、IMF理事会は新規借入取極について、その規模を2021年から2025年の新たな期間において3,650SDR5,260億ドル)へと倍増することなど、改正に合意しました。この改革は202111日に効力を発しています。

ガバナンスと組織  

IMFは各加盟国政府に対して説明責任を負っています。IMF総務会組織の頂点に置いていますが、この総務会は一般的に各加盟国の中央銀行総裁や財務大臣である総務1人・総務代理1人によって構成されています。総務会は年に1度、IMF・世界銀行の年次総会の際に開かれます。さらに、総務のうち24人は国際通貨金融委員会(IMFC)に出席し、国際通貨金融制度の監視と管理について理事会に助言を行います。IMFの日常業務は、24人の理事によって構成される理事会の指揮の下で行われますが、この理事会が全加盟国を代表し、IMF職員の支援を受けます。IMF専務理事は、IMF職員を統括するとともに理事会の議長を兼任します。また、専務理事を4人の副専務理事が補佐します。

IMFに関する基本情報

  • 現在の加盟国数 : 190カ国
  • 本部 : ワシントンD.C.
  • 理事会 : 国もしくは国のグループを代表する理事24人
  • スタッフ : 150カ国より約2,700人
  • クォータ総計 : 4,770SDR6,870億ドル)
  • 借入取極額: 4,920SDR7,080億ドル)
  • 融資取極に基づき設定された融資枠 : 2,000SDR2,880億ドル)。そのうち、未融資実行残高940SDR1,360億ドル)
  • 最大借入国 : アルゼンチン、エジプト、ウクライナ、パキスタン
  • 予防的融資の最大相手国 : メキシコ、チリ、コロンビア
  • 能力開発支出 : 2020年度に3300万ドル。IMF総予算の3分の1近くを占める
  • IMFの主な役割 : 
    • 国際的通貨協力の推進
    • 国際貿易の拡大とバランスの取れた成長の促進
    • 為替安定の促進
    • 多国間決済システム確立の支援
    • 国際収支上の困難に陥っている加盟国への (適切なセーフガードを伴う) 財源提供