特別引出権 (SDR)

2019年3月8日

特別引出権(SDR)は、加盟国の準備資産を補完する手段として、IMFが1969年に創設した国際準備資産です。これまでに2,042億SDR(2,910億ドル相当)が加盟国に配分されていますが、この額には世界金融危機後の2009年に配分された1,826億SDRが含まれます。SDRの価値は、5通貨(米ドル、ユーロ、中国人民元、日本円、英国ポンド)で構成されたバスケットに基づいて決められます。

SDR の役割

SDR1969年に、ブレトンウッズ体制における固定為替相場制の枠組みの中で補完的な国際準備資産としてIMFによって創設されました。ブレトンウッズ体制は1973年に崩壊し、主要通貨が変動相場制に移行することで、国際準備資産としてのSDRへの依存度は低下しました。しかし、SDR配分は流動性を供給し、加盟国の外貨準備高を補完する上で一役を担えます。例えば、世界金融危機の最中であった2009年には合計で1,826SDRIMF加盟国に配分されました。

IMFなど一部の国際機関ではSDRが会計単位として使われています。

SDRは通貨ではなく、またIMFに対する請求権でもありません。むしろ、SDRIMF加盟国が自由利用可能通貨を潜在的に請求する権利です。SDRは自由利用可能通貨と交換できるのです。

通貨バスケットがSDRの価値を決める

SDRの価値

SDRの米ドルでの価値は、ロンドン時間で正午に見られる直物為替相場に基づいて、日毎に決定され、IMFホームページに掲載されます。

SDRの価値は当初、純金0.888671グラムに相当し、また当時の1米ドルと等価値であると決められていました。ブレトンウッズ体制の崩壊に伴い、SDRは通貨バスケットとして再定義されました。

SDRを構成する通貨バスケットは、世界の貿易制度と金融制度における通貨の相対的な重要性を反映するために、5年ごとにIMF理事会によって見直しが行われます。もし妥当だと判断される場合には、この見直しは5年を待たずに行われます。見直しの対象には、SDRの価値を決める方法の主な要素が含まれます。例えば、SDRバスケット通貨を選ぶ上で使われる基準と指標、SDRバスケットを構成する各通貨の量(単位数)を決めるために使われる当初の通貨の構成比などです。これら通貨の量は5年間のSDR価値評価期間を通じて固定されますが、バスケット構成通貨間の為替相場が変動するのに応じて、各通貨の実際の構成比は変動します。SDRの価値は市場為替レートに基づいて、日毎に決定されます。また、見直しはSDR金利バスケットを構成する金融商品の適切さを評価する機会としても使われています。

   通貨 2015年の見直しで決定された比重 2016年10月1日からの5年間における通貨単位数の固定値
  米ドル 41.73 0.58252
  ユーロ 30.93 0.38671
  中国人民元 10.92 1.0174
  日本円 8.33 11.900
  英国ポンド  8.09 0.085946
2015年11月に終了した前回の見直しでは、中国人民元がSDRバスケット入りの条件を満たしたとの決定がIMF理事会によって下されました。この決定後、米ドル、ユーロ、日本円、英国ポンドに加えて、中国人民元がSDRバスケットを構成することになり、中国人民元のSDRバスケット採用が2016年10月1日に発効しました。

SDR 金利

SDR金利はIMFから非譲許的な融資を受けた加盟国が課される金利と、IMFに対して債権を持つ加盟国が受け取る金利を計算する際の土台となります。また、保有するSDRに対して加盟国が受け取る利息、またSDR配分の際に課される利子にもなります。

SDR金利の値


SDR金利は、SDRバスケット構成通貨のマネーマーケットにおける短期国債の代表金利の加重平均に基づいて毎週見直されますが、下限を0.05%とします。SDR金利はIMFホームページに掲載されています。

 

SDRの配分と取引

国際通貨基金協定の下で、一定の条件が満たされた場合には、IMFはSDR会計に参加している国々に各国のクォータに応じてSDRを配分できます。これは一般配分として知られています。2009年に行われた一度限りの特別配分によって、IMFに1981年以降(つまり、それまでに行われた配分より後)に加盟した国々が公正なかたちでSDR制度に参加することが可能になりました。SDRは資金を自己調達する仕組みになっており、配分額に手数料を課し、その手数料は保有SDRに対する利息の支払いに使用されます。

自由参加の市場で参加国はSDRを売買できます。また、必要な場合には、IMFはSDRを購入するよう加盟国を指名できます。

SDRバスケットへの採用

輸出基準

国際通貨基金(IMF)加盟国か、IMF加盟国を含む通貨同盟が発行する通貨であり、当該通貨を発行する国または通貨同盟の輸出額が世界で5本の指に入る大きさであること。

自由利用可能通貨であるというIMFの判断

国際取引の支払いで広く使われており、主要な取引市場で広く売買されている通貨であること。

2015年のSDR構成通貨見直し

SDRの価値とSDR金利バスケットの構成

中国人民元のSDR採用が2016年10月1日に発効し、中国国債の3か月物のベンチマーク利回りがSDR金利バスケットに組み入れられることになりました。

人民元を構成通貨として採用することで、SDRバスケットは多様性を高めるとともに、その構成比が世界主要通貨をより代表するものとなりました。

構成比の計算式

各通貨のSDR構成比を決定するために、通貨を発行する国または通貨同盟の輸出額と金融のコンポジット指数のそれぞれに同等の比重を置く新しい計算式が採用されました。

運用上の影響  

2016年10月1日より人民元は自由利用可能通貨となり、IMFの財務取引で使用できるようになりました。