2020年4月「世界経済見通し(WEO)」
World Economic Outlook, April 2020
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- 2020年4月「世界経済見通し(WEO)」
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- Published: April 14, 2020
世界経済の現状と危機の性質
- 世界は感染症の世界的流行(COVID-19)によって劇的に変わった。感染は指数関数的に拡大し、多くの人命が失われている。
- 今回のショックの特徴:
- ショックの大きさが極めて大きい(生産活動の落ち込みは世界金融危機を凌駕する可能性)。
- 持続期間や深刻さについて不確実性が高い。
- 通常の景気刺激策が効きにくく、特に影響を受けた産業では刺激が望ましくない場合がある。
- 歴史的比較:
- 世界経済が前回これほどの危機に直面したのは1930年代。
- 2008年から2009年の世界金融危機との比較が何度も言及される。
成長予測とベースラインシナリオ
- 世界経済は2020年にマイナス3%と大幅な縮小が予想される。
- ベースライン(2020年後半にパンデミックが収束し、拡散防止措置を徐々に解除できるとする想定)では、2021年は5.8%成長と予想される。
- 成長予測には極端な不確実性が伴う。リスク要因には以下が含まれる:
- パンデミックの行方と拡散防止措置の厳格さ・有効性
- 供給チェーンの混乱の度合い
- 世界の金融市場環境のタイト化
- 支出パターンや行動変容(消費者が公共の場や店舗を避ける等)
- 一次産品価格の激しい変動
- より悪いシナリオ(高い確率で起こり得る)として:
- 流行と拡散防止措置が長引く場合
- 新興市場国・発展途上国がより深刻な打撃を受ける場合
- 金融環境のタイト化が続く場合
- 企業倒産や失業の長期化により回復力が弱まる場合
政策行動の2段階フェーズ
- 必要な対応は2段階:
- 封じ込めと安定化のフェーズ(公衆衛生対策の実施)
- 回復のフェーズ(経済活動の正常化支援)
- 両フェーズで公衆衛生と経済政策が決定的に重要。
公衆衛生に関する優先事項
- 感染拡大を遅らせ、人命を守り、医療システムの対応能力を維持することが最優先。
- 具体的措置の例:
- 隔離、都市封鎖、社会的距離の確保
- 医療支出の増加による医療システムの能力と資源の確保
- 医療従事者への特別報酬(家族への教育扶助や遺族給付の充実など)を検討すべき
経済政策の優先事項と手段
- 経済が停止している間、基本的ニーズを満たし、感染の急性期が過ぎたら企業活動が回復するよう支援すること。
- 必要な政策:
- 大規模かつ的を絞った財政、通貨、金融対策で労働者・企業・金融の経済的つながりを維持。
- 非公式経済が大きい国では新たなデジタル技術を活用した対象を絞った支援の検討。
- 監督当局は信用リスクの透明性を維持しつつ、苦境の世帯・企業への融資条件見直しを銀行に促すべき。
- 財政刺激策は景況感の急激な落ち込みを防ぎ、総需要を高め、深刻な景気後退を回避する効果がある。ただし、効果が最大化されるのは大流行が収まり人々が自由に移動できるようになってからである可能性が高い。
金融セクターおよび中央銀行の役割
- 中央銀行による大規模かつ迅速な行動(金融刺激策や流動性対策)は、システミックなストレスを抑え、信頼感を下支えした。
- 主要な中央銀行間のスワップライン創設・稼働は国際流動性確保に重要な役割を果たした。
- 各国の同時行動は効果を高め、新興市場国・発展途上国が金融政策を活用する余地を広げる。
多国間協調と国際支援
- 多国間協調が不可欠。必要な協調の内容:
- 医療物資や知見の共有
- ワクチンや治療薬が開発された際に、豊かな国も貧しい国も直ちに利用できる体制の構築
- 新興市場国・発展途上国への金融支援の拡充
- 巨額の債務返済を抱える国々には債務の支払猶予や再編の検討が必要となる場合がある
- IMFは緊急融資の迅速な実行など融資制度を通じて支援に関与。加盟国はIMFの財源拡充に取り組んでいる。
再発防止とグローバル・インフラ整備
- 将来のパンデミック再発を防ぐための措置の検討価値:
- 珍しい感染症に関する情報交換の活発化・自動化
- より早期かつ大規模な検査の実施
- 個人用保護具の国際的備蓄
- 重要物資の取引に制限を課さないルール整備
- こうした公衆衛生インフラの改善は公衆衛生と国際経済の安全性を高める。
回復の光明と期待
- 希望になる要素:
- 大規模な感染拡大が起きた国々では、強力な社会的距離措置で新規感染者数が減少している例がある。
- 治療法やワクチンの開発が先例のない速度で進行している。
- 多くの国が迅速かつ大規模な経済政策措置を実施しており、これが回復の基盤を整える。
- 危機後には、IMFを中心とする国際金融セーフティネットや加盟国の支援が、世界経済の立ち直りを大きく後押しするだろう。
出典: 2020年4月「世界経済見通し(WEO)」