2019年7月 世界経済見通し(WEO) 改訂見通し
World Economic Outlook, July 2019
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- 2019年7月 世界経済見通し(WEO) 改訂見通し
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- Published: July 22, 2019
概要と総括
- 世界の経済成長は低迷を続けている。
- 2019年の世界経済の成長率は 3.2% 、2020年は 3.5% と予測。いずれも 2019年4月のWEO予測から 0.1% ポイントの下方修正。
- 下振れリスクが中心で、貿易・技術面の緊張、地政学的緊張、ディスインフレ的圧力、金融市場の脆弱性が懸念事項。
- 2020年の回復見込みは、金融市場心理の改善、一時要因の解消、ストレス国の安定化、混乱回避(イラン・ベネズエラ等)など複数の前提に依存。
主要所見(世界全体)
- 企業や家計が長期的支出を抑制しているため、設備投資や耐久消費財需要が先進国と新興市場国で低迷。
- 世界貿易数量の増加率:2018年第4四半期は前年比で 2% を割り込み、2019年第1四半期は対前年比で約 0.5% 前後。
- サービス部門は堅調だが、製造業の減速が継続。
- 物価上昇率(コアインフレ率)は先進各国で目標を下回るか目標以下(例:米国は目標以下、ユーロ圏・日本は大幅に下回る)。新興市場国・発展途上国でも多くでコアインフレ率は歴史的平均を大幅に下回る。
- 石油価格はベネズエラ・リビアの混乱や米国の対イラン制裁の影響を受け上昇。4月に入って大幅上昇したが、全体のコスト圧力は低迷。
地域別・国別の見通し(要点)
- 世界:2019年成長率 3.2% 、2020年 3.5%(両年とも4月WEO予測より 0.1% ポイント下方修正)。
- 先進国 全体:2019年 1.9% 、2020年 1.7%(2019年は4月予測より 0.1% ポイント高)。
- 米国:2019年 2.6%(4月WEOから 0.3% ポイント上方修正)、2020年 1.9% 。
- ユーロ圏:2019年 1.3% 、2020年 1.6%(4月予測より 0.1% ポイント上方修正)。
- ドイツ:若干の下方修正。
- フランス:財政政策が下支え、街頭デモの影響解消。
- イタリア:財政見通しは不透明で設備投資・内需を抑制。
- スペイン:上方修正(年初の好調な設備投資と輸入の低迷を反映)。
- 英国:2019年 1.3% 、2020年 1.4%(2019年は4月WEOより 0.1% ポイント上方修正)。見通しは「EU離脱が秩序立って進む」ことを想定するが最終形は依然不透明。
- 日本:2019年 0.9%(4月WEOから 0.1% ポイント下方修正)、2020年 0.4% 。2019年10月の消費税率引き上げの影響は財政政策で幾分緩和される見通し。
- 新興市場国・発展途上国 全体:2019年 4.1% 、2020年 4.7%(4月予測よりそれぞれ 0.3、0.1% ポイント下方修正)。
- アジア新興市場・発展途上国:2019–2020年で 6.2%(両年とも4月WEOより 0.1% ポイント低い)。
- 中国:2019年 6.2% 、2020年 6.0%(いずれも4月WEOより 0.1% ポイント下方修正)。
- インド:2019年 7.0% 、2020年 7.2%(両年とも 0.3% ポイント下方修正)。
- ヨーロッパ新興市場・発展途上国:2019年 1.0%(4月WEOより 0.2% ポイント上方修正)、2020年 2.3%(4月WEOより 0.5% ポイント下方修正)。主にトルコの見通し反映。
- 中南米:2019年 0.6%(4月WEOより 0.8% ポイント下方修正)、2020年 2.3% 。ブラジル・メキシコでの下方修正が主要因。
- ベネズエラ:2019年の成長率は約マイナス35% と見込まれる。
- 中東・北アフリカ・アフガニスタン・パキスタン:2019年 1.0% 、2020年 約3.0%(2019年は4月WEOより 0.5% ポイント下方修正。イランの見通し悪化が主因)。
- サウジアラビア:2019年は政府支出拡大と景況感改善、2020年は石油部門拡大で非石油部門が好転すると見込まれる。
- サブサハラアフリカ:2019年 3.4% 、2020年 3.6%(両年とも4月WEOより 0.1% ポイント下方修正)。アンゴラ・ナイジェリアなど石油輸出国の見通しは改善。南アフリカは第1四半期の低成長を受け低迷見通し。
- 独立国家共同体:2019年 1.9% 、2020年 2.4%(2019年は 0.3% ポイント下方修正。ロシアの第1四半期低成長を反映)。
リスクと下振れシナリオ(要点)
- 主な下振れリスク:
- 米中のさらなる関税対立、米国の自動車関税、英国の合意なきEU離脱などが景況感を悪化させ、設備投資を損ない、世界サプライチェーンを混乱させるリスク。
- リスク選好の急激な後退により、新興市場で資本流出や借換困難が生じる可能性。
- ディスインフレ的な圧力が強まると、債務返済が困難になり、金融政策の余地が狭まり、景気後退が長期化する恐れ。
- 気候変動、政治的リスク、紛争(ペルシャ湾の地政学的不安、内紛による人道危機等)が一次産品市場の変動や移民圧力を高め得る。
- 国際金融市場の動向(7月中旬時点の事実):
- 米国の10年物政府債利回りは3月以降約 0.45% ポイント低下して 2.10% 。
- ドイツは約 0.30% ポイント低下してマイナス 0.25% 。
- 日本は約 0.10% ポイント低下してマイナス 0.12% 。
- 市場は中央銀行のハト派シフトを織り込み、国際金融環境は4月WEO以降さらに緩和。
政策優先事項(多国間レベル・国レベル)
- 多国間レベル(喫緊の課題):
- 貿易摩擦や技術面の緊張を緩和すること、米国・EU間やカナダ・メキシコ・米国間などでの貿易協定変更をめぐる不透明感を早急に解消すること。
- どの国も二国間の貿易収支均衡化のために関税を用いるべきではない。
- WTOの既存ルールの継続的適用、上級機関の膠着状態の解決、WTOルールの近代化(デジタルサービス、補助金、技術移転等)、新分野での交渉促進。
- 気候変動対策、国際的な課税回避・脱税対策、金融制度改革の後退阻止、国際機関の資金確保(債務依存度の高い世界経済への対応)。
- 国レベル(グループ別アドバイス):
- 先進国:金融緩和が引き続き適切。ただし金融緩和は金融面の脆弱性を高める可能性があるため、マクロプルーデンス政策や先を見越した規制的アプローチが重要。財政は需要平準化、社会的弱者保護、構造改革を支える歳出、公共財政の中期的持続可能性の確保のバランスが必要。景気が更に悪化すればマクロ経済政策をより景気刺激的に転じる必要あり。
- 新興市場国・発展途上国:インフレ率低下により中央銀行は緩和的スタンスを強め得る。政府債務増加に対応し、財政は必要なインフラや社会支出を優先しつつ政府債務の抑制に注力。マクロプルーデンス政策で潤沢な資本・流動性バッファーを確保し、通貨と満期のミスマッチを最小化する取り組みが重要。変動為替相場の重要な緩衝機能が阻害されないよう保証。
出典:IMF「2019年7月 世界経済見通し(WEO) 改訂見通し」日本語版(ページ概要)。
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- 2019 年 7 月Imf世界経済見通し(Weo)改訂見通し; 低迷を続ける世界経済; 2019 年 7 月 23 日