アジア太平洋地域経済見通し
Regional Economic Outlook, May 2006
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- Published: May 26, 2006
要旨と主要見通し
- 2006年もアジア経済は好調を維持すると予測される。地域成長率は昨年と同じ7%と予測されるが、これは昨年9月の「アジア太平洋地域経済見通し」の予測6%を上回っている。
- 日本は企業設備投資の堅調さと労働市場の安定化により、家計所得及び消費が刺激され、国内需要を拡大している。日本は順調に回復している。
- 新興アジア諸国は、電子機器を中心に外需の高まりの恩恵を受けており、この状況は当面続くと予測される。中国とインドを除き、国内需要は2005年初めから好転している。
リスク要因
- 原油高:これまでのところ原油価格の高騰はアジアの成長に若干の影響を与える程度であったが、将来の供給懸念が価格変動の主因となっており、今後の状況は変わる可能性がある。
- 金融市場引き締め:世界的に流動性が引き締まる中で当地域の金融市場が試される。アジアの銀行部門の健全性は改善したが、家計への信用供与が急増した国々もあり、緊密な監督が求められる。外国人投資家が資金を引き上げれば株価下落を経験する可能性がある。
- 世界的な経常収支不均衡:無秩序に不均衡の解消が進み、米国需要が急激に減速すると外需依存のアジア経済に重大な影響を与える可能性がある。
- 鳥インフルエンザ:流行リスクは数値化が困難だが、他のリスクより壊滅的な影響を与える可能性があり、危機管理計画の質が重要である。
インフレ・経常収支・資本フロー
- インフレ率は引き続き抑制され、2006年のインフレ率は平均3%と予測される。地域内でも状況は異なり、価格圧力はASEAN4カ国が最も強力である。国内石油価格調整の影響が弱まり、金融引き締めの効果が浸透するにつれて、ASEAN4カ国でもインフレは年間を通じ減速すると見込まれる。
- 対外経常収支の黒字はほとんどの国で減少している。中国を除く新興アジア諸国では、今年の黒字は国内総生産(GDP)の2.75%と、2004年の水準からほぼ半減すると見られる。
- 中国では、輸出増により昨年の経常黒字は2倍を超える増加となり、GDPの7%に達した。今年もこの水準が維持されると予測される。
- 米国金利に対するアジアの金利スプレッドが縮小し、人民元切り上げへの期待が減退したことから、資本流入はおおむね減少。為替レート上昇及び外貨準備高の累積は減速した。
マクロ課題(新興アジア諸国)
- 中央銀行は、国内需要の最近の改善を損なわずに国際原油価格の高騰から生じるインフレ圧力に対処する必要がある。
- 政府は、人口高齢化及び公共インフラ改善に伴うコスト負担を捻出するため財政状況の改善に努める一方で、政府債務の削減に取り組む必要がある。
- 政府は成長を支え対外不均衡を削減するために、国内需要の活性化を図る必要がある。過去2年間に為替レート柔軟性が増し、韓国ウォンや中国・台湾省ドルなどいくつかの通貨は特に急激に上昇し、家計の購買力を高め、消費を刺激した。
投資と構造改革の必要性
- 中国を除く新興アジア諸国では、需要構造転換のために投資の回復が必要である。1997年の危機後、投資はGDPのほぼ10%近く減少し、それ以降回復していない。
- 投資減少の一部は1997年以前の持続不可能なブーム(特に建設ブーム)に対する調整だが、現在の落込みは過度であり、企業のリストラだけでは説明できない。生産活動の高度産業への移行に伴う不確実性とリスク対応が要因と考えられる。
- 改革の方向性:
- 金融セクターの更なる発展により、企業部門から幅広い投資主体へリスク移転させる能力を向上させること。
- 不確実性を低減し、投資収益率を高める投資環境の改善。
中国に特有の課題と政策提言
- 中国では消費喚起が重要課題。1980年以来、消費のGDP比は10%以上低下し、40%程度となっている。家計の可処分所得(対GDP比)の下落が大部分の要因であり、増大した企業収益が家計に移転されなかったことが背景にある。
- 家計は年金支給や医療、学校教育への先行き不安を主因として高い貯蓄率を維持している。
- 必要な対応:
- 為替レートをより柔軟にすること。
- 歳出を社会的支出に振り向けて消費を刺激すること。
- 銀行及び金融市場改革を推進し、与信制度を拡充して投資収益を引き上げ、予備的貯蓄を低下させることで消費拡大を後押しすること。
出典: アジア太平洋地域経済見通し(2006年5月)
Content in this bundle
- IMFアジア太平洋地域経済見通し 2006年5月
- アジア太平洋地域経済見通し - 2006年5月; 2006年5月1日 - Box 1.日本の再生
- アジア太平洋地域経済見通し - 2006年5月; 2006年5月1日 - Box 2.オーストラリア及びニュージーランド:進展及び見通し
- アジア太平洋地域経済見通し - 2006年5月; 2006年5月1日 - Box 3.Asean 4 カ国と電子機器サイクル
- アジア太平洋地域経済見通し - 2006年5月; 2006年5月1日 - Box 4.石油が成長に与える影響
- アジア太平洋地域経済見通し - 2006年5月; 2006年5月1日 - Box 5.活況を呈す消費者金融:このブームは問題か?
- アジア太平洋地域経済見通し - 2006年5月; 2006年5月1日 - Box 6.鳥インフルエンザへの対処
- アジア太平洋地域経済見通し - 2006年5月; 2006年5月1日 - Box 7.日本の量的緩和解除――新興アジア諸国の円キャリートレードに対する影響
- アジア太平洋地域経済見通し - 2006年5月; 2006年5月1日 - Box 8.アジアの対外社債の活況
- アジア太平洋地域経済見通し - 2006年5月; 2006年5月1日 - チャプター I.最近の進展及び見通し
- アジア太平洋地域経済見通し - 2006年5月; 2006年5月1日 - チャプター II.新興アジア諸国の金融動向
- アジア太平洋地域経済見通し - 2006年5月; 2006年5月1日 - 定義
References
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- [アジア太平洋地域
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