2018年7月 世界経済見通し(WEO) 改訂見通し
World Economic Outlook, July 2018
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- 2018年7月 世界経済見通し(WEO) 改訂見通し
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- Published: July 16, 2018
概要と主要所見
- 世界経済は2018年と2019年にそれぞれ3.9%の成長を実現すると予測されている(2018年4月のWEOと一致)。
- しかし、成長のばらつきが拡大し、見通しに対するリスクは高まっている。
- 主要経済国の一部では成長率がピークに達した可能性があり、経済成長の同期性が薄れている。
- アメリカは短期的な勢いが増し、米ドルはここ数週間で5%程度ドル高になっている。
- ユーロ圏、日本、イギリスの成長予測は下方修正された。
- 新興市場国・発展途上国では、石油価格やアメリカの金利上昇、貿易摩擦の激化に伴い、成長見通しにさらなるばらつきが出ている。アルゼンチン、ブラジル、インドは成長予測が引き下げられ、産油国の一部は上方修正された。
リスクと不確実性(下振れ優勢)
- 短期を含め、下方リスクがさらに優勢になっている。主要要因は以下の通り:
- 貿易制限措置(関税引き上げと報復措置)の激化と長期化。
- 金融市場の環境変化(ボラティリティ急上昇、リスク評価の再評価)。
- 地政学的懸念、政治的不確実性の高まり。
- 米国での物価上昇が予想より強ければ市場の利上げ期待が変化し、ポートフォリオ調整や急激な為替変動を誘発する可能性。
- 特に懸念されるシナリオ:
- リスク選好の急落 → 破壊的なポートフォリオ組み替え → 新興市場からの資本流出の加速 → さらなるドル高 → レバレッジや固定為替制の国のストレス顕在化。
- EU内の政治ショック(例:イタリアのソブリンスプレッド拡大)が銀行バランスシート悪化や政府債務状況の悪化を引き起こす可能性。
- 中国の与信抑制政策が秩序を欠く資産価格調整や借り換えリスク拡大をもたらす懸念。
一次産品価格とインフレ動向
- 世界的な石油価格は2018年2月から2018年6月上旬にかけて16%上昇した。
- OPEC産油国と非OPEC産油国は日量約100万バレルの増産で合意したが、市場はベネズエラの生産低下や米国の対イラン制裁の影響で増産の実現が困難との見方をしている。
- 中期的な先物価格(6月末時点)は1バレルあたり約59ドルであり、これは現在の価格水準よりも20%低い。
- 燃料価格上昇は先進国・地域と新興市場国で総合インフレ率の上昇をもたらしている。コアインフレ率は米国で上昇、欧州でも上向き。新興市場でも通貨安のパススルーや燃料価格上昇の二次効果で上昇している。
- 農業一次産品価格は過剰供給の減少を受けてわずかに上昇。
先進国・地域の金融環境
- 米連銀は金融政策正常化を継続。6月にFF金利の目標レンジを0.25%ポイント引き上げ、2018年にさらに2回、2019年に3回の利上げを示唆。
- 欧州中央銀行(ECB)は資産購入を現行の300億ユーロから10月に150億ユーロへ縮小、12月末に購入プログラム終了を見込み、政策金利は少なくとも2019年夏の終わりまで現行水準を維持すると示唆。
- 10年物米国債利回りは7月上旬時点で約2.85%(2月からやや上昇)。10年物ドイツ国債利回りは同時期に約0.30%(低下)。
- イタリアのソブリンスプレッドは5月に2012年以降最大の上昇幅を記録した後縮小しているが、7月上旬時点で約2.4%ポイントのまま。
- 先進国・地域の株価は概ね2-3月の水準を上回り、2月のボラティリティ急上昇後は低下。全体として緩和的な金融環境が続く。
新興市場の金融環境・為替・資本フロー
- アルゼンチン、インド、インドネシア、メキシコ、トルコ等の中央銀行はインフレや為替圧力に反応して政策金利を引き上げた。
- 長期利回りは上昇、スプレッドは拡大。新興市場株価指数の多くはわずかに下落。
- 為替動向(2018年2月〜7月上旬、実質実効為替レート):ドルは5%超のドル高。ユーロ、日本円、英ポンドは概ね同水準。
- 個別通貨の変動:アルゼンチンのペソは20%超安、トルコのリラは約10%下落、ブラジルのレアルは10%超安、南アランドは7%安。中国人民元はやや安い。
- 新興市場への資本フローは第2四半期に勢いを失い、非居住者による債務証券の売却が増加。
地域別見通し(主な数値)
- 世界:2018年と2019年の成長率はともに3.9%(2018年4月WEOと同じ)。
- 先進国・地域:2018年成長率は2.4%(2017年と同様)、2019年は2.2%。2018年の成長率予測は4月WEO比で0.1%ポイント下方修正。
- 米国:2018年2.9%、2019年2.7%。(短期的に勢い増)
- ユーロ圏:2017年2.4% → 2018年2.2% → 2019年1.9%。(4月WEO比、2018年0.2%ポイント下方修正、2019年0.1%ポイント下方修正)
- 日本:2018年成長率予測は1.0%(4月WEO比で0.2%ポイント下方修正)。
- 新興市場・発展途上国(合計):2018年4.9%、2019年5.1%(4月WEOから据え置き)。
- アジア新興市場・発展途上国:2018–2019年で6.5%。中国:2017年6.9% → 2018年6.6% → 2019年6.4%。インド:2017年6.7% → 2018年7.3% → 2019年7.5%。
- ヨーロッパ新興市場:2017年5.9% → 2018年4.3% → 2019年3.6%(2019年は4月WEO比で0.1%ポイント下方修正)。トルコは2017年7.4%から2018年4.2%へ低下見込み。
- ラテンアメリカ:2017年1.3% → 2018年1.6% → 2019年2.6%(4月WEO比でそれぞれ0.4%ポイントと0.2%ポイント下方修正)。
- 中東・北アフリカ等:2017年2.2% → 2018年3.5% → 2019年3.9%(2019年は4月WEO比で0.2%ポイント上方修正)。
- サブサハラ・アフリカ:2017年2.8% → 2018年3.4% → 2019年3.8%(2019年は4月WEO比で0.1%ポイント上方修正)。ナイジェリアは2017年0.8% → 2018年2.1% → 2019年2.3%(2019年は4月WEO比で0.4%ポイント上方修正)。
- CIS諸国:2018–2019年で約2.3%(4月WEO比で両年とも0.1%ポイント上方修正)。ロシアは4月と同様の見通し、カザフスタンは改善。
政策上の優先事項(提言)
- 総論:保護主義を避け、財とサービスの貿易が継続的に成長するよう協調的解決策を見つけることが不可欠。政策と改革は経済活動の持続、中期的成長の加速、成長の包摂性向上を目標とすべき。多くの国は財政バッファーを再構築し、金融面での耐性を高める必要あり。
- 先進国・地域向け:
- 景気局面の成熟度に応じてマクロスタンスを調整。
- インフレが目標に近い国では、段階的でデータに基づく金融政策正常化をコミュニケーションを伴って進める。
- 多くの国で債務が史上最大規模であり、必要に応じて財政政策でバッファー再建を開始すべき(成長を急に阻害しないペースで)。
- 財政余力のある国(例:ドイツ)は国内経済成長促進と世界の不均衡是正のため追加措置を講じるべき。
- 供給サイド施策(物理的・デジタルインフラ投資、労働参加率向上、スキル強化)を優先。
- ユーロ圏の一部では金融セクター脆弱性の改善(バランスシート改善、銀行統合促進、収益性向上)を進める。金融規制の無差別な撤回は避けるべき。
- 新興市場国・発展途上国向け:
- 財政政策、金融政策、為替政策、プルーデンス政策の適切な組合せで耐性を高める。
- 必要に応じて過剰な与信伸びを抑制し、銀行の健全性を維持、期間・通貨ミスマッチを抑え、秩序ある市場環境を確保。
- 柔軟な為替相場は対外ショック緩和に重要だが、通貨下落がバランスシートやインフレ期待に与える影響をモニタリング。
- 債務水準上昇を踏まえ、財政バッファー維持・再構築に注力(最も脆弱な人々を守る成長志向の政策を通じて)。
- インフラ制約緩和、事業環境強化、人的資本向上、包括的な構造改革を推進。
- 多国間協力の重要性:
- ルールに基づく開かれた多角的貿易制度の維持・強化。関税や非関税障壁を高めず、意見の相違を解消するための協力。
- 金融規制改革の完了、世界的不均衡拡大防止、国際課税強化、気候変動への対処と緩和といった分野での協調。
出典: IMF — 2018年7月 世界経済見通し(WEO) 改訂見通し — https://www.imf.org/ja/publications/weo/issues/2018/07/02/world-economic-outlook-update-july-2018
Content in this bundle
- 世界経済の成長 力強い成長が続くが、成長ペースがばらつき、脆弱性が高まり、脅威にさらされている
- よりまだらな経済成長と高まる貿易摩擦
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